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受賞者を訪ねて

農事組合法人、共働学舎新得農場、代表 宮嶋望さん

徹底した最高品質へのこだわりが鍵

北海道の大地で障害のある人と国内外で最高品質と評価の高いナチュラルチーズを生産している宮嶋さんを訪ねました。

DATA

農地
67 ヘクタール
乳牛
120頭
肉牛
5頭
母豚
40頭
種豚
1頭
206羽
20頭
有機野菜
3 ヘクタール
年間売上
2億1400万円
自労自活人数
大人59人、子供11人

給料と暮らし

生活費等支払規程を元に月額1万円から6万円を受け取っている。食事や居住にかかる費用は一律1万円。自家用の野菜や卵、牛乳も取り入れ、子供の教育費など法人の貸付制度も設けるなどの工夫もして、農場内で自労自活。共働で個々の暮らしを支えている。

柔らかな日差しの中で始まる朝食と朝礼

取材で、訪れたのは午前8時前。すでに朝4時からひと仕事終えた人たちが、食堂にあつまり朝食をとっています。卵、チーズ、ジャム、牛乳、パン、すべての食材が自家製で賄われ、代表の宮嶋望さんも、みんなといっしょに食事していました。

「朝礼しよう」。食事が終わってくつろぐ人が増え始めたタイミングで、当番が鐘を打ち鳴らしました。「今日は、何をするんですか」の問いに、ひとりひとりが仕事や用事の内容をみんなに説明して朝礼は終わりました。

完全手作りのチーズ工房

チーズ工房は、農場の入口近くに位置し、牛舎が隣り合っています。午前4時半に搾乳された牛乳は、パイプを通して自然にチーズ工房に流れ下って行く仕組みになっていて、低温殺菌後に、バットの中でカード(凝乳)がつくられます。

でき上がったカードは、すくいあげてモールドと呼ばれる型に流し込まれ、チーズの原型になっています。

「ポンプを使わずに牛乳を移動させる工夫が、チーズを美味しくしているんです。石造りの熟成庫も安定した品質のチーズを生産するために外気温の影響を受けないようにすることが目的です」。代表の望さんと36年間農場経営をともにした妻の京子さんの案内で、工房の奥にある熟成庫に はいりました。

熟成庫に眠るラクレットチーズ

熟成庫の扉の向こうには、ラクレットチーズがずらりと棚に並んでいます。

まだ、日の浅いものは白く、熟成期間の長くなったものはオレンジ色になっています。

熟成期間中も、3日に1回塩水を含んだ布で磨き、裏返して均等に空気にふれるようにしていきます。

静かな庫内でひとり黙々と磨き上げる作業をしている人がいますが、「ひとりでいるほうが集中できる自分にはいい仕事」と自ら志願して作業しているそうです。3カ月の熟成期間を経て出庫したラクレットチーズは、180グラム前後に小分け真空パックして出荷されています。

なだらかな斜面とブラウン・スイス牛

農場の放牧地に向かって小道を上って行く途中に、共働学舎で働く人が住む家や寮があり、自労自活の様子が垣間見えてきました。この日は、パークゴルフ大会が開かれていて、仕事の合間で楽しんでいる人もいるそうです。なだらかに傾斜した放牧地には、若いブラウン・スイス牛が放牧されています。入植時には不利に思えた20度以上の傾斜地で放牧された牛の乳から生産されるチーズは、山のチーズと呼んで、ヨーロッパでは別格の扱いを受けるとのこと。共働学舎新得農場で生産されたチーズも受賞歴が物語るように、高付加価値のある本物として、全国の美食家に販売されています。

120 頭の乳牛、ブラウン・スイス牛がなだらかな斜面に放牧されている

朝のひと仕事を終えて、みんなで一緒にとる朝食

絞りたての牛乳でつくる新得農場のチーズ

チーズ工房の奥にある、石造りの熟成庫。塩を含んだ布で、チーズを毎日磨き上げる

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