自分たちのブランド、青空米
パーソナルアシスタント青空は、佐伯さんご自身の子育てを通し痛感した様々な支援をパーソナルアシスタントという考え方で実践し、障害児デイサービス、居宅介護、移動支援を主な事業としています。そして働く場も支援に加えるべく、農作業は障害者にとり様々な活躍の場があると見込んで野菜作りに取り掛かったのが、始まりです。試行錯誤を繰り返し、水田での米作りに挑戦。今では、就労継続支援 B 型事業所メイド・イン・青空で収穫された青空米が注目を集めています。
強くて健康な水稲を育てるために
青空米の水田は、住宅街のそばに点在する休耕田を借りて栽培されています。無農薬、無肥料、無除草剤による自然栽培を特徴としていて、病気や害虫に負けない健康な稲を育てるためにきめの細かな管理がされています。
「私たちの水田は、苗の間隔を広く取って田植えをしています。苗の数が少なくなるから収穫量が少なくなると思いますよね。だけど、これを見てください」。差上げられた稲の株は、佐伯さんの水田のものが明らかに大きくなっています。
「稲の株が大きくなることを分ぶんけつといいますが、水の管理をきめ細かくおこなうことで枝分かれが促進され、間隔を大きくとることで日当たり、風通しがよくなり、強い健康的な稲に育つんですよ」。
市価の3倍から4倍の価格で完売する青空米
「トラクタは、軽量なものがいいですよ。重いと沈んでしまいます」。「除草は、チェーン除草という方法が一番簡単です」。「水田でも大切なのは空気です。しっかり、かき混ぜると田んぼが喜びます」。
佐伯さんは、見学者にも惜しげもなく丁寧にノウハウを伝えていきます。
「今、あちこちに耕作放棄地が増えています。自然栽培は、消費者が求めるニーズの中でももっとも高いと実感しています。同じ地域のお米の3倍から4倍の値段で完売しますから、耕作放棄地と自然栽培の組み合わせは、各地の作業所でも取り組みやすいと思います」。
自然栽培のネットワークを夢見て
「今日は、人を入れ過ぎだな」。最後の稲刈りをみんなでおこなう様子をみて、佐伯さんは目を細めながら、「農業と福祉の連携をやりたいんですよ。疲弊した農業を福祉の分野で活性化したい」。
佐伯さんの目下の課題は、自然栽培に取り組む施設を増やすこと。そして、ブランドとして確立していくことで、消費者に安定して供給するネットワークを作るのが目標です。「売り手と買い手がまだまだ上手くつながっていないんです」。まもなくオープンする直売所も生産する自分たちの見える化に重要な意味を持つと佐伯さんは考えています。
休耕田を借りて栽培する青空米
見学者に惜しげもなくノウハウを伝える佐伯さん
昨年最後の稲刈り
自然栽培により強く大きく育った稲