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生菓子だけではなく、常温で販売できる焼き菓子もつくり売上拡大を。5月1日、社会福祉法人あゆみ福祉会の事業所、工房しゅしゅ は、事業改革モデル化資金で購入した電気オーブンを備えた新工房を開所。5万円まで後一息となった利用者給料のさらなる増額と人数の増大を目指します。
工房しゅしゅは、滋賀県の豊かな自然からつくられる地酒の酒粕を使ったスイーツ、湖のくに生チーズケーキを製造販売しています。発想の発端は「お父さんの誕生日ケーキをつくってみよう。お父さんならお酒、それなら酒粕を入れてみたら」との職員の意見でした。
亀井塾の塾生 大野眞知子さんは、商品化にはプロの協力も必要だと考え、滋賀県と滋賀県社会就労事業センター共催のビジネスマッチングフェアに参加。「利用者さんのお給料を少しでも上げていきたい。地産地消をコンセプトに商品開発することで、お世話になっている地元に恩返しがしたい」。そんな大野さんの熱意に菓子づくりのプロ、クリエイターなど多くのかたが賛同。地元の6つの酒蔵が酒粕を提供し、平成23年に共同開発をはじめました。
「ケーキの器にお猪口を使い、酒蔵から使用許可をいただきロゴを印刷。酒蔵の歴史を背負った商品を出すわけですから、かなりプレッシャーを感じました」と大野さん。平成24年に観光庁が主宰した、世界にも通用する究極のお土産フォーラム最終選考の9品に選ばれました。
大野さんは実践塾で「利用者さんの目標給料を達成するには、商品力はもちろん販売数を伸ばす営業戦略が大切」と学びます。「販売依頼が来たところには迷わず出店し、販路拡大に努めました。メディアへの露出も積極的におこない、宣伝や販売活動を行ってきました」。
順調に売上を伸ばす生チーズケーキですが、生菓子は賞味期限が短く、全国で流通するには壁があります。そこで常温で日持ちの長い焼き菓子の開発に挑戦。製造体制を整えるため、地元の銀行に融資を相談すると、総務省が公募する助成への申請の応援もいただき、工房建設の目処が立ちました。設備面は、事業改革モデル化資金に申請し、焼き菓子の電気オーブンも購入できました。
「今後は製造から販売まで、より多くの利用者さんが働けるように教育にも力を入れます」と大野さん。目標は、販売数を1.5倍に拡大し、全員に最低賃金を保障することです。
自分たちのつくる商品で地元に恩返しを。滋賀県の新ブランドとして地元の期待も膨らむ
とおりかかった車からも目立つ商品を全面に出した看板
新商品の焼き菓子、湖のくに焼チーズケーキ
専門の工房が完成し体制は整いました。看板も障害者や福祉を売りにしたものではなく、チーズケーキを前面に押し出した営業姿勢で他の塾生たちのよいモデルになると思います。後は、お客様が来ているのに、今日は休み、では話しになりませんから、利用者さん自身がきちんと衛生管理、体調管理できるように指導することが大切です。
菓子事業に従事する利用者4名と事業改革モデル化資金で購入した電気オーブンを点火する亀井塾長