メロディーがメール便配達、後に DM 便配達、を始めたのは、2007年。社会福祉法人となり、もう少し仕事の幅を広げようとしていた時にメール便のことを耳にしました。ヤマト運輸から、町の人とのふれあいがある仕事という説明を聞いて、取り組む決断をしたそうです。配達地域は、別府駅周辺と駅から少し離れた山側までの、徒歩で回れる圏内。なだらかな坂と細い道がいり組む、昔ながらの温泉町です。
慎重な確認が毎日の基本
メイトさんのリーダーは今村正孝さん。9年目のベテランです。DM 便は1日平均、約70冊。まず4つの地域に分けて、地図に配達先をマーク。配達ルートを作り、配る順番に DM 便を並べます。地図を見ながら今村さんが配達先の名前を読み上げ、職員の津崎幸司さんが、DM 便が配達順に並べられているのを確認します。このチェックは、毎日欠かしません。そして、今村さんは1人で、あと2人のメイトさんは職員と一緒に、毎朝、元気にスタートします。
配達先の飼い犬や猫も顔なじみ
今村さんは大きな建物から覚えていって、少しずつ地図を頭にいれていったそうです。しかし、配達を始めた当初は、いり組んだ道がわからず、抜け道だと思って私有地をとおり抜けてしまい、叱られたこともあったとか。今では地図をすべて把握。新しい職員さんに道を教えられるほど詳しくなっています。人なつこい今村さんは自分から元気に挨拶。町にもすっかりとけ込んでいます。しだいに飼い犬や猫とも仲良くなって、名前も覚えているほど。町の人に、「がんばって」と声をかけられるのがうれしいと話します。
能力を活かして、伸ばす
今村さんは薄い DM 便がくっついていることに気づかずに、2冊同じ場所に投函してしまったことがあったとか。しかし今では、職員と一緒に確認を徹底することで誤配はほぼありません。また、メイトさんの末松明洋さんはビルに関心が高く、数字に強いという能力の持ち主。マンションなどで名字の同じ人がいるときは、下の名前で部屋番号を覚えています。その能力を活かして、集合住宅が多い地域を担当しています。もうひとりのメイトさんの渡辺健さんは、いつもニコニコしている笑顔の人。最初は話しかけられても、返事ができずにドギマギしてしまったそうですが、今では明るく対応できるようになっています。
「ひとりひとり何ができるかを考えて、その能力を活かすことが大切です」と舛田敬行施設長は話します。
しっかり分析してから仕事を提案
メロディーでは工賃アップのために、DM 便配達の他にもいろいろな事業を請け負っています。
「私も含めて職員のほとんどがコンピュータ業界出身者。そのせいか数字に基づいた、効率のよい仕事を提案するのが得意です」と舛田施設長。ある仕事が施設の利用者さんに向いているのではないかと考えると、仕事の内容を徹底的に分析するそうです。
たとえば、スーパーの買い物カゴ洗浄の仕事。「まず、何人で何分かかるからいくら、と予算を出します。そして、現状の器械洗いと私たちの丁寧な手洗いを比較して、私たちのほうが衛生的でクオリティの高いことをデータで示します。その上で、私たちにやらせてほしいとお願いすると、たいていの場合、相手は他と比べて安いと感じるようです」「これは、私たちがあなたの会社のムダなコストを減らしてあげますよ、という提案でもあります。仕事を広げていくためには、事前調査と徹底的な分析が必要です。これからも、仕事をすることでひとりひとりがいきいきと人生を歩めるように、サポートしていきたい」と舛田施設長は熱く語ります。
信頼できる仲間。さらに関係を深めたい
ヤマト運輸大分サービスセンター加藤俊二センター長は「ミスが少なく、笑顔で配達し、町にとけ込んでいる。地域で一番愛される企業をめざすヤマト運輸としては、願ってもない仲間です」と話します。
ヤマト運輸別府石垣支店、榎隆雄支店長は「確実で丁寧な仕事ぶりで信頼感が高い。さらに仕事の関係を深められるよう考えていきたい」と期待を込めました。
メロディーのメイトさんたちは、町の人や、犬や猫とも挨拶を交わしながら、今日も笑顔と元気を配達しています。