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この街で、一緒に生きていく。公益財団法人ヤマト福祉財団, 障がい者のクロネコ DM 便配達事業

どんなに寒くても、吹雪でも、配達を楽しんでいます。

北海道の西側に位置する虻田郡倶知安(くっちゃん)町。スキー場で有名なニセコに隣接する、道内でも有数の豪雪地帯です。ワークステーション 輝 は、1年のうち4カ月以上、この雪の中でクロネコ DM 便を配達しています。

ワークステーション 輝 がクロネコメール便、後にクロネコ DM 便配達を始めたのは、2013年6月。ヤマト運輸がメイトさんを募集しているのを耳にして、応募したのがきっかけです。現在の配達数は1日平均90冊前後。メイトさんは男性2人、女性12人。毎日2人ずつ交代でペアとなり、職員1人とともに配達しています。

滑らないように、転ばないように

輝 の配達方法は車と徒歩。2人のメイトさんは職員が運転する車に乗車して、配達先に来るとすばやく降りてポストに投函します。

冬期の配達の大変さは、寒さよりも、雪で歩きにくいことや、吹雪で前が見えなくなること。そして、凍結した道で滑ったり転んだりすること。雪に慣れている北海道の人でも用心が必要です。

撮影をお願いしたのは、2月下旬。今年は昨年の半分以下の積雪量とのことでした。「雪の日でも、配達すること自体が楽しい」と明るく笑うメイトさんの船越剛さん。底に滑り止めのギザギザがついた雪用の靴を履き、転ばないように気をつけながらも、驚くほどの早さで配達先に急ぎます。

除雪車や排雪車の影響で通行止めがそこここに

広い道では除雪車が雪をすくいあげて道の端に積み上げ、その雪を排雪車に乗せて運ぶという作業がおこなわれています。すると、町のあちこちの道が通行止めに。配達ルートがとおれなくなると、近道ができなくなったり、かなり遠回りをすることになってしまいます。そのため、冬は夏よりも1時間以上も多く時間がかかるそうです。

職員があきらめないこと

輝 の初山聡子所長はスタート時にはとても不安だったといいます。「文字が読めない人もいるので、数字やひらがなを教えることから始めました。でも、職員ができないとあきらめたら、ダメなんです。今日できても、明日できないこともある。それでも、とにかく繰り返して、続けてみることです」。

職員の坂本マユミさんは、配達先の名前にふりがなをふって一覧化。それを数ヶ月間、毎日プリントして配ったそうです。「読めなくても、文字の形を覚えていくと、ポストの名前と照らし合わせられるようになっていきました」と話します。

配達後にはルートを復習

林知美さんはメイトさんになって2年目。最初はポストにいろんな形や色があることに驚いたそうです。

ポストによって、いれかたが違う。ドアのそばにあるとは限らない。そんなさまざまなことを覚えながら、名前の読みかたもひとつひとつ学んでいます。

配達後には必ず、職員の坂本さんと一緒に地図を見ながら、配達先とルートを復習します。「○○さんは船越さん、○○さんは私」とペアを組んだ船越さんの分の配達先も言えるようになりました。

パートナーとしてチカラを合わせて

ヤマト運輸倶知安支店 佐藤美明支店長は「メイトさんの北川さんに、繁忙期に仕分けを手伝ってもらったことがあります。実際やってみてわかったのですが、とても真面目で頼れる。これからもお願いしたい」と期待します。

ヤマト運輸千歳主管支店サービスセンター 石川孝センター長は「ヤマト運輸は品質と信頼の高さが基本。みなさんの仕事ぶりを見て、ヤマト運輸のファンが増えるといいですね。今後も 輝 さんとはパートナーとしてチカラを合わせていきたい」と結びました。

年頭には、ひとりひとりが今年の夢を書きぞめ しました。買いたいもの、行きたい場所の他に、感謝という文字も。明るく前に進むワークステーション 輝。ひとりひとりの笑顔が輝きを放っています。

ひとりひとりが夢を描いた書きぞめ。

職員の坂本さんは、数メートルおきに車を止めて、林知美さんに配達先を伝えます。

倶知安駅前の大きな花屋さんへ手渡しで配達。DM 便です、と挨拶する船越さん。

北川綱宣さんはメイトさんになって3年目。住所を書いたカードの上に DM 便をすばやく仕分けて行きます。

向かって左から職員の坂本マユミさん、林知美さん、船越剛さん。配達エリアから、美しい羊蹄山が望めます。

配達後にルートを復習する、職員の坂本さんと林知美さん。

新聞配達の経験がある船越さんは、4年目のメイトさん。「新聞配達では、誤配は自分だけの責任。でも、DM 便はみんなに迷惑がかかる。だから誤配がないように徹底して注意を怠りません。他の地域も配ってみたい」と夢を語ります。

初山聡子所長は「引きこもりがちだった人がメイトさんになったことで、町に出るようになりました。船越さんも北川さんも30キログラム減量して、健康になった。明るく挨拶をして、礼儀正しくなりました。みんながヤマト運輸の看板を背負っているという自覚があります。とてもいい経験をしていると思います」と語ります。

前列向かって左から、林弘美さん、林知美さん、佐藤真由美さん、米村忍さん、初山聡子所長。中列向かって左から、岩本美香さん、吉野美ゆきさん、船越剛さん、北川綱宣さん、初山大二郎さん、職員 坂本マユミさん。後列向かって左から、ヤマト運輸千歳主管支店サービスセンター 石川孝センター長、ヤマト福祉財団北海道支部 千葉栄一事務長、ヤマト運輸倶知安支店 佐藤美明支店長。

千歳主管支店 倶知安センター

面積261.24平方キロメートル、人口15,277人、世帯数7,400世帯

NPO 法人倶知安町手をつなぐ親の会, ワークステーション輝

就労継続支援 B 型, 生活訓練. 2013年からクロネコメール便(DM 便)配達を開始。1日の平均配達数、約90冊。その他の活動は、除雪作業、箱折り、古紙分別など。

障害者のクロネコ DM 便配達事業

参入施設数 314施設。従事者数 1,565人。2016年2月現在。

お問い合わせは、公益財団法人ヤマト福祉財団 DM 便担当。電話 03-3248-0691、ファクス 03-3542-5165、http://www.yamato-fukushi.jp/

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコ DM 便配達へと変わりました。

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