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リレーコラム、夢をつないで、第4回。

NPO 法人ストローク会、副理事長、金子鮎子。

働く、にそなえる。

障害のある人も、当面障害がない人も、ともに豊かに暮らせる共生社会に向かっての種々の制度的な枠組みは確かに大分整ってきました。が、それだけでは十分ではありません。

企業でもどうしたら誰もが働きやすい場になるのか、以前より配慮されるようになってきました。でも障害のある人に対して、どこか腫れ物に触るような及び腰なところが気になります。

また、障害のある人の方ではこんなことを言っては採用や処遇に不利ではないかと躊躇いがちで、まだまだコミュニケーションが十分とは言いきれない状況です。誰しも経験が違うのですから、最初からスムーズに通じるのは、稀で当然。お互いの見解や感じかたの違いを明らかにしつつ、諦めずに話し合いを重ねていくことで、その関係は深まっていくものではないでしょうか。

そうした中で、私が気になるのは障害の当事者とか、支援者の動きです。いろいろな障害者団体から送られてくるニュース、情報誌などでは差別解消法等の動きについての法の解説や、こんな差別や配慮の無さを経験した、という記事はありました。

では、障害を持ちながらも社会の中の一員として普通の暮らしにどう加わって行くのか、より暮らしやすい世の中になるよう自分がどう働きかけるのか、そして支援者は、その時何ができるかという観点から、私は自分が多く関わっている精神障害のある人たちを中心に次のような提案をいたします。

それぞれのハンディはまちまちですが、

こうした状況を打破するのはやはり、何と言っても当事者自身のことばです。自分からのきちっとした情報提供です。例えば、受診日に関することとか、勤務時間についての相談等。同時に自分の関心の分野や企業に役立ちそうな特技等の表明も過不足なくおこないたいものです。

働くことにそなえて、仲間と一緒のワークショップや SST (脚注 1)のような訓練や実習を、是非とも、お勧めします。工夫してみてください。また、支援者からも、きちんとした自己主張の力は、企業からも歓迎されるものであることを伝えられることでしょう。

Profile.

1955年に日本放送協会入局、日本初の女性テレビカメラマンとして10年間、活躍。以後、要職を経て、定年退職後に精神障害者の自立と社会参加のための活動を始める。

現在、株式会社ストローク代表取締役、NPO 法人ストローク会副理事長、全国精神障害者就労支援事業所連合会理事、社会福祉法人 NHK 厚生文化事業団評議委員他。第1回ヤマト福祉財団賞受賞(2000年)。

脚注 1.

SST : Social Skills Training の略。社会生活技能訓練や、生活技能訓練と訳される。

第17回ヤマト福祉財団小倉昌男賞受賞者、右の奥脇 学さん、左の竹内昌彦さんの おふたりが祝賀会の会場にて。

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