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受賞のことば。人の心の温かさを膨らませるシステム開発を目指して。

有限会社奥進システム 代表取締役、奥脇 学さん。

IT はもっと社会をよくできる。

僕は独立するときに、時間と場所に縛られないような、働きたいと本当に思う人が働ける職場づくりをしようと思って、がんばってやってきました。

そうした過程で、母子家庭や外に出ることはできないけれども働きたいという障害者のかたがたを雇うことができないかと考えるようになり、自然な流れで障害者雇用を始める格好になりました。

僕は本当にコンピュータが大好きで、誰にも邪魔されなかったら、一日中、コンピュータを触って、黙々とやっていたい人間です。コンピュータとインターネットは、世の中をもっとよくすることができるはずという信念を持って、それを仕事の誇りにしています。

そこで、ふつうの会社でも本当に働きたい人間、能力のある人間なら働けるんだという証明をしたくて、いろいろな仕組みづくりをしました。つまり現状の世の中に対して、システムって何か役に立てないか。僕の誇りとする仕事を使って、社会のために人のために何か役立つことができないか、と考えたわけです。

寄せられた期待に応えたい。

そうした模索をとおして、うぇぶサポ というサポートブックを作成する無料のウェブサービスを打ち出したり、福祉施設さんの業務を支援する うぇるサポ というパッケージシステムを開発したりしました。

先ほどご紹介いただいた SPIS は、精神障害のかたの職場定着を支援するシステムです。気になるポイント、体調の変化を業務日報のように毎日記入すれば、その変化をグラフで視覚化でき、振り返りや支援者との意見交換に役立てることができます。端的に言えば、人が人を気遣える仕組みづくりを応援するシステムとして、僕たちの経験、ノウハウを元に開発しました。多くのみなさんの協力もあって、利用の輪も着実に広がっています。

こうしたシステムがどんどん作られ世の中に普及すれば、これまで以上に一般企業で、障害者も働ける職場づくりが進むのではないでしょうか。

これからへの期待を含めての受賞と伺っておりますので、これからも支援してくれる仲間とともに、働きたい人が働ける世の中を広げていくためにがんばっていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

受賞のことば。ひとり5万円あれば取り戻せる視力、1000人の子どもに光を。

社会福祉法人岡山ライトハウス 理事長、竹内 昌彦さん。

父の思いを大切に生きる。

私は71歳になります。その中で不運が2つありました。

ひとつはこの目が見えなくなったこと。もうひとつは、待って待って生まれてきた最初の子が難産で、脳性小児麻痺という病気でした。寝たっきり。言葉も出ない。そんな重い障害を持って生まれてきた。でも、私を育ててくれた父親の手前、これで引けるかと思いその子を大事に育てましたが、7つで死んだ。これ以上ないと思うほどの悲しみでした。

ところがそれを埋めて余りある幸運にも恵まれました。それは素晴らしい親。もうひとつは素晴らしい教師に出会えたこと。みっつ目は素晴らしい仲間に囲まれた。このみっつは私の人生を完全にひっくり返して、ばら色の71年に変えてくれたんです。

どんなにいい親だったか。今から60年以上前。当時は大抵の親が障害児を家の奥に隠した時代です。それなのに私の親はどこへでも連れて行ってくれました。何でもさせてくれた。馬にも乗ったし、象にも乗った。サーカスのニシキヘビの尻尾も引っ張った。

父は無口で大人しい男で何も言わない人です。私が昭和39年、東京のパラリンピックに出発する日、そんな父親が岡山駅のプラットホームでいよいよ電車が動き出すというときに、「竹内昌彦、バンザーイ」と3回も言った。あのとき、障害児を育て上げた親の思いが、本当に響いたんです。

日本の善意を集めた基金を。

教員を退職した後は、素晴らしい仲間に出会い助けられました。まず点字ブロックの石碑を岡山市の原尾島の交差点に建てた。点字ブロックは岡山発祥なんです。モンゴルに学校も作りました。キルギスにも学校を作りました。

そういう活動をしてきてこの賞をいただいたことで、決めたことがあります。

貧しい国の目の見えない子どもに視力を与える、回復させる手術費を送ってあげようと思います。貧しいために我が子の目を治療してあげられない親の哀しみが私には分かる。ひとり5万円もあれば、目玉が回復するんですよ。日本の善意を集めて、そういうかたたちに手術費を送る基金を、今回の賞をきっかけに作ります。どこまでできるか、千人ぐらいは子どもの目を見えるようにしてあげたい。

このことを私、ここではっきりと大きな声で言いまして、感謝の言葉に代えたいと思います。

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