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この街で、一緒に生きていく。公益財団法人ヤマト福祉財団。障害者のクロネコ DM 便配達事業。

歩くチカラがついたら、笑顔も言葉も増えていた。

山形県酒田市、 JR 東日本の羽越本線酒田駅から車で5分ほどの住宅街に、障害者サポートセンター あらた はあります。強い風の吹く日が多いという、港町の酒田市。毎日平均約30冊のクロネコ DM 便を、徒歩で配達しています。

障害者サポートセンター あらた の母体となるのは NPO 法人 あらた。この NPO 法人は、障害者のための就労移行支援事業所、ジョブセンター あらた も運営しています。齋藤緑代表理事は、「ジョブセンターでの就労支援の訓練期間は2年。その後に利用者さんが働ける仕事を探していた時、ヤマト運輸の DM 便配達に出会いました」と話します。サポートセンター あらた の利用者さんとともに DM 便配達をスタートしたのは、2016年7月。今では4名のメイトさんが交代で配達を担当しています。

全員が自分の地図に、すべての配達先をマーク。

毎朝、ヤマト運輸のドライバーが届けた DM 便を、その日、担当するメイトさんが全員で、住所別に分類。職員の大滝由佳さんと、高橋ひとみさんが、一冊一冊、ゆっくりと配達先の住所と名前を読み上げます。すると、全員がそれぞれの地図にその日の配達先をマーク。そうすることで、配達しない地域のことも覚えることができます。職員が配達のルートを決め、 DM 便を配達順に並び替えて、仕分けは完了。配達総数を数え直して最終確認をします。最後にメイトさんが大きな声でジャンケンポン。組み合わせを決めたら、ふたてに別れて出発です。

歩くことで体も心も元気に。

齋藤代表理事は、「とにかく歩くことが人間の基本。歩くことができれば、体も心も元気に明るくなっていきます。大切なのは歩くことと、社会と交わること。 DM 便配達は自立支援にまさにぴったりの仕事ですね」と話します。

メイトさんの大瀧洋さんは歩くことがとにかく苦手で、体も弱かったそうです。 DM 便配達を始めてから5ヶ月。ついて歩くのがやっとだった開始当時の姿が信じられないほど、速く長くしっかりと歩くことができるようになりました。メイトさんの佐藤朋さんは体重が少し減って、笑顔がいっそう明るくなり、リーダー意識も芽生えています。

異業種に転職してきた職員だから言える言葉。

DM 便を担当する職員の大滝さんと高橋さんは、異業種からの転職組。福祉施設で働くのは初めてです。ある日、仕事を休もうとするメイトさんに、「これは代表理事からあなたが任された仕事。それなのに投げ出していいの」と声をかけたことがありました。すると齋藤代表理事から、「そういうふうに、普通の感覚で接して欲しい」と言われたそうです。

「福祉を学んだ専門職の人は、その人の病気や悩みからの対処を考えがち。一般の社会人としての感覚で、働くとは何かを教えて欲しいと思っています」と齋藤代表理事は話します。

ひとりひとりの良さを、さらに良い方向へ。

メイトさんの渡部千代子さんは、次はどこの家、と配達先に興味を持つことが増えました。道ばたや家の庭先にきれいに咲く花の存在に気づいて、歩くことが楽しみに。メイトさんの足立樹さんは、地図を確認して間違えないように配達することを心がけています。耳が不自由で話すことが苦手だったそうですが、 DM 便の仕事をしてから声を発する機会が増えたとのこと。2人で組んで仕事をするのが楽しいと微笑みます。

もっと寄り添って長く付き合えるパートナーに。

ヤマト運輸山形主管支店 山形サービスセンター 増川一郎センター長は、「すばらしい仕事ぶりに感謝しています。ヤマト運輸としても、パートナーとして長いお付き合いができるようにサポートしたい」と語ります。

ヤマト運輸山形主管支店 酒田支店 酒田大宮センター 伊藤貴徳センター長は、「 DM 便スタートの際は、一緒に配達しながらこの地域を歩きました。わからないことはどんどん聞いてくるなど積極的ですし、今ではすっかり安心して任せています。これからも寄り添って、いい関係を保ちたい」と話します。

ヤマト運輸山形主管支店 酒田支店 鈴木貴志支店長は、「酒田の冬は、雪は積もりませんが、風が強くてホワイトアウトになるほど吹雪く日があります。これからの配達は大変。体調と事故に気をつけて業務を続けて欲しい」と結びました。

あらた は、新しい、と、改める の2つの意味があるそうです。

ヤマト運輸のユニフォームを着ると、シャキッと仕事モードに切り替わるというメイトさんたち。いろいろと工夫し、改めながら、今日も元気にまちの中へ。新しい一歩を踏み出しています。

DM 便をいれたリュックを背負ってしっかりと歩く、左の大瀧洋さんと、いつも笑顔で元気なハリキリボーイ、右の佐藤朋さん。

左から、仕分けする職員の大滝由佳さん、渡部千代子さん、リーダーは佐藤朋さん。

左上、地図で配達の順番を確かめながら配達します。左から、職員の高橋ひとみさん、大瀧洋さん、佐藤朋さん。

右上、手渡し配達は、仲間のみんながやりたがる人気の仕事です。笑顔で届ける、左の足立樹さん。

雨の日はカッパの上にユニフォームを着て出かけます。左から、みんなに気配りをするやさしい足立樹さん、職員の大滝由佳さん、メイトさん4人で仕事をすることが嬉しい、と話す渡部千代子さん。

宛先の住所と名前をしっかり確認して投函する佐藤朋さん。

「2016年 4月に、3ヶ月間限定のカフェを観光客の多い日和山公園に開きました。彼らは着物を着て呼び込みをしたんですよ。挨拶もきちんとできました。7月から始めた DM 便配達でも、外で活動して人と関わることが、とてもいい影響を与えているようです。みんな明るくなって、大きな声で笑うようになりました。大瀧さんは、いつか1人で配達ができるようになりたいと言って、積極的になりました。これからもしっかりサポートしていきたい」と NPO 法人 あらた 齋藤緑代表理事。

前列左から、障害者サポートセンター あらた 所長兼サービス管理責任者 渡部雅美さん、クロネコ DM 便メイト 佐藤朋さん、渡部千代子さん、大瀧洋さん、足立樹さん。後列左から、障害者サポートセンター あらた 前所長兼サービス管理責任者 佐藤かすみさん、職員 高橋ひとみさん、職員 大滝由佳さん、NPO 法人 あらた 齋藤緑代表理事、ヤマト運輸山形主管支店 酒田支店 酒田大宮センター 伊藤貴徳センター長 酒田支店 鈴木貴志支店長、ヤマト福祉財団東北支部 小原守事務長、ヤマト運輸山形主管支店 山形サービスセンター 増川一郎センター長。

山形主管支店、酒田大宮センター。

面積
24.2平方キロメートル。
人口
18,311人。
世帯数
6,916世帯。

障害者サポートセンター あらた。

2016年7月から DM 便配達を開始。1日平均配達数、約30冊。他には、館内清掃、レストランの食器洗浄など。

障害者のクロネコ DM 便配達事業。

参入施設数
305施設。
従事者数
1,557人。2016年10月現在。
お問い合わせ
公益財団法人ヤマト福祉財団 DM 便担当、電話 03-3248-0691、ファクス 03-3542-5165、http://www.yamato-fukushi.jp/

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコ DM 便配達へと変わりました。

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