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この街で、一緒に生きていく: 公益財団法人ヤマト福祉財団: 障害者のクロネコ DM 便配達事業。

自分のペースで黙々と。任されているから、やり遂げられる。

北海道の南東部に位置する釧路市。 JR 北海道根室本線の大楽毛(おたのしけ)駅から徒歩3分の住宅街に、就労継続支援 B 型事業所、オフィスきらり はあります。クロネコ DM 便は、毎日平均約100冊。3人のメイトさんが元気に配達しています。

ヤマト運輸道東主管支店 釧路西センター。

  • 面積 41.69 平方キロメートル。
  • 人口 37,787 人。
  • 世帯数 20,284 世帯。

特定非営利活動法人きらり。就労継続支援 B 型事業所 オフィスきらり。

  • 2005年7月から DM 便配達を開始。
  • 1日平均配達冊数、約100冊。
  • 他には清掃、草刈り、雪かき、リサイクル品回収など。

障害者のクロネコ DM 便配達事業。

参入施設数 315施設、従事者数 1,608人。2017年5月現在。

お問い合わせは公益財団法人ヤマト福祉財団 DM 便担当。

電話 03-3248-0691.

ファクス 03-3542-5165.

http://www.yamato-fukushi.jp/.

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコ DM 便配達へと変わりました。

釧路市の西側にある大楽毛は おたのしけ と読み、アイヌ語で、オタ ノシケ(砂浜の中央)に由来しています。阿寒川の河口付近に位置し、釧路湿原国立公園の玄関口にもなっています。

オフィスきらり がクロネコメール便(後にクロネコ DM 便)配達をスタートしたのは2005年7月。小さなエリアから少しずつ広げて、今では大楽毛の町のほぼ全域を担当しています。

春夏秋は自転車、冬は車で配達。

メイトさんたちは1年のうち、春から秋を自転車で配達します。施設周りのエリアを担当する長谷川博康さんと佐藤仁司さんは、三輪自転車で。施設から遠く離れたエリアを担当する竹中晴美さんは、電動自転車で。しかし、冬季になると、釧路は厳しい寒さに襲われるため、凍結と降雪で、自転車での配達はとても大変になります。そこで冬の間は有償運送許可を受け、施設の車を配達に使用。運転のできる佐藤さんは車で配達し、竹中さんは施設長の関谷友子さんが運転する車で一緒に回ります。長谷川さんは、冬も三輪自転車で配達。雪の中で自転車を押したり引いたりしながら、時間をかけて配っています。

冬季の配達が訓練期間に。

関谷施設長は話します。「竹中さんがメイトさんに参加したのは、ちょうど冬だったので、私と一緒に車で配達しました。4ヶ月間、じっくり2人で取り組んだため、仕事をどんどん覚えていきました。4ヶ月めには、車の進行方向や U ターンしにくい場所などを考慮しながら、配達ルートを組めるまでに成長。春には1人での配達を任せられるようになっていました。今では新しいエリアも担当しています」。

雨や強風の日も黙々と。

関谷施設長は、3人のメイトさんは、みんな、 DM 便配達に適任だと言います。「全員釧路生まれで、冬の寒さには強い。北海道の中で釧路の降雪量は比較的少ないけれど、凍結した日も、雨や強風の日も、誰ひとりイヤな顔をしません。この仕事への思いを支えているのは、一般の人と同じ仕事をしているという責任感と、ヤマト運輸の仕事をしているという誇りです」。

ひとりひとりのペースで、自分で考えてやりきる。

長谷川さんと佐藤さんは12年前のスタート時から、竹中さんは6年前からのメイトさん。3人は施設に到着すると、すぐに担当エリアの DM 便を配達順に並べ、地図に配達先をマークする仕事に取りかかります。全員、その作業は驚くほどスピーディ。まさにベテランの仕事ぶりです。

配達冊数の多い日の時間配分は自分で判断すること、体調によっては午後から配達してもいいなど、それぞれのペースでおこなうのが、オフィスきらり のやりかた。「責任を持ってしっかりやってくれるので、任せています」と関谷施設長は語ります。

パートナーとして、なくてはならない存在。

ヤマト運輸道東主管支店 釧路西支店 野坂幸彦支店長は、「国道を軸に、住宅地と工場の周りの遠隔地まできっちりと配達してくれています。誤配やクレームもほぼない。調査票の記載の仕方もわかりやすくて正確。すべてに渡って信頼しています」と話します。

ヤマト運輸道東主管支店 サービスセンター 須田貴則センター長は、「地域に溶け込んで、町のみなさんに愛されているのがわかります。これからもパートナーとして、良い関係を保っていきたい」と語りました。

責任を持ってやり遂げる、という目標を毎日、着実にクリアしているメイトさんたち。もっと広いエリアでたくさんの DM 便を配達したいと、意欲満々です。オフィス きらり という名前のように、ひとりひとりが生きがいを持って働く姿は、今日もきらりと輝いています。

竹中晴美さんが担当するのは、製紙工場以外は大きな一軒家が立ち並ぶエリア。目印となるものがなく、最初はなかなか覚えられなかったとか。「配達回数の多い家をまず、記憶して、その周りを一軒一軒覚えていくといい、と関谷さんからアドバイスされて助かりました」と微笑みます。

長谷川博康さんは、すべての DM 便の住所別の仕分けをおこないます。その後、自分が担当する DM 便を配達順に、すばやく重ねていきます。

地図に配達先をマークする竹中晴美さん。毎日、色の違うマーカーを使って描き込み、数日で地図を新しくしていきます。

「三輪自転車はどんな強風でも倒れないから安心」と長谷川博康さん。

「ありがとう、ごくろうさま」と声をかけてもらい、うれしそうな竹中晴美さん。

「ポストが小さくて DM 便がはいらない家があったので、いつもチャイムを鳴らして手渡していました。それが、ある日、大きなポストに付け替えてくれていて驚きました」とうれしい体験を語る長谷川博康さん。

フルマラソンの大会にも出場するスポーツマンの佐藤仁司さん。「不明な点があると必ず持ち帰って確認します」。

取材の日は関谷施設長が同行し、配達ルートをアドバイス。「新しいエリアの地図を覚えて、もっと早く配れるようになりたい」と竹中晴美さん。

関谷友子施設長は話します。「体調が優れなくて、他の人が代わりにやらなければならない時のために、転居などの情報を書き込んだ地図は、きちんと作ってもらっています。誰かがカバーしてくれるという安心感が、ひとりひとりの頑張りを支えていると思います」。

前列向かって左から、オフィスきらり関谷友子施設長、長谷川博康さん、竹中晴美さん。後列向かって左から、ヤマト運輸道東主管支店 サービスセンター 須田貴則センター長、ヤマト運輸道東主管支店 釧路西支店 野坂幸彦支店長、ヤマト福祉財団北海道支部 千葉栄一事務長。

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