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助成先レポート、Vol. 33。私たちの賛助会費が活かされています。障害者給料増額支援助成金。

5年で目指す、店舗売り上げ10倍計画。

さっぽろ ひかり福祉会は、理解ある近隣町内会が後援会を務める、全国でも珍しい社会福祉法人です。2015年度には、パンの売り上げ、年間8600万円、うち、店舗部門が1600万円となり、パン好きも唸る、美味しいパンを武器に、順調に伸ばしてきましたが、その見通しに、暗雲がかかり始めていました。

Data.
社会福祉法人 さっぽろ ひかり 福祉会、ひかり工房、北海道札幌市。

設備投資は覚悟の表れ。

「最初に納品された石窯オーブンは、土砂降りの中、降ろされて。600万円もする高価なものなのに」。

常務理事の小畑友希さんらが、心待ちにしていた厨房機器は、納品の不手際で雨ざらしに。結局、交換となり、昨夏の予定だった導入が、完了したのは12月です。同時に購入したスチームコンベクションと合わせて、投資額はおよそ1300万円。当財団の助成を利用して導入しました。

仮に助成申請に落選しても、福祉会の評議員に、「借金をお願いします」と言うつもりだった、と小畑さん。そこには、それだけの覚悟がありました。

2003年の開業時、560万円だった年間売り上げは地道な営業活動によって、右肩上がりに増加していきました。そして2015年度は8600万円を達成。この間に月給は7万5000円に。雇用型、A 型 事業所、大福屋 ひかり も立ち上げて、障害者雇用も30人に至りました。

しかし、ほころびが見えたのはその翌年のこと。前年度の売り上げと比較していると、下期をどうがんばっても、前年度割れすることが見込まれたのです。

振り返ってみれば、売り上げ増には都度、さまざまな要因がありました。たとえば、「卸先となる福祉ショップがオープンしたとか、リニューアルしたとか。とくに、移転したときには、一気に売り上げが伸びました」。しかし、その後は売り上げが徐々に落ち込み、その影響が、2016年度の売り上げにも響いていたのです。

足踏みしていたら取り残される。

だからといって、直販ではない以上、自分たちにできることは限られています。そんな中で浮かんだアイデアが石窯オーブンの導入でした。商品であるパンは十分な好評を得ていましたが、「これまでと違った取り組みをしないと、マンネリ化して先細りする」。そんな怖さが、差別化へ向けた、新たな挑戦を決意させたのです。

「石窯オーブンの良さは、自分たちのパン作りの師匠である、鈴木伸一さんから聞いていました」と語るのは、ゼン ひかり工房施設長の高井賢二さん。

外はカリッと、中はしっとり。食べ比べてみれば、違いがはっきりと分かります。まだ商品価格の見直しがほとんど進んでおらず、利用者の給料アップにもつながっていませんが、いずれ新商品の開発に合わせて、この付加価値分を、お客様の納得できる形で、価格に反映させていきたいと考えています。

さらに、高井さんはこうも語ります。「一流の機械を使えば、それに関わる人が育つんじゃないか。そういう願いもありました」。

より売れ、より愛される店へ。

実際、石窯オーブンの導入に伴い、東京都内で店を構える著名なシェフ、ムッシュイワンの小倉孝樹さんを招いて研修を実施。仕事ぶりや、パン生地に、貴重な指摘をいただいたそうです。

小畑さんも、「石窯は、パンが変わっただけではなく、人との出会いや、次に進歩するきっかけにもつながった」と実感しています。

導入後、ひかり工房では、小畑さんの発案で、店舗売り上げ10倍計画を新たにスタートさせました。まずは、駐車場を拡張して、大きな看板を設置するところから進める予定です。いずれはカフェを併設して、店舗だけで1億円を売り上げたい。でっかい野望ですが、10倍を目指すのは、売り上げだけではありません。

「たくさんの人が あつまってくる、地域の人の拠り所に、このお店をしていきたい。困ったことがあれば、話を伺う相談機能もここにはあります。だから、子どもからお年寄りまで、いろんな人で賑わうお店にしたいんです」と小畑さん。よそに出店して店舗拡大するのではなく、さらに深く地域に根ざす道を選んだひかり工房。「5年ぐらいで達成したいね」。そう意気込む小畑さんたちです。

整備した、3段式の石窯オーブン。釜の内部は、天井も、側面も、床も、継ぎ目のないセラミックで造られ、皮はぱりっと、中はしっとり焼ける。写真は、利用者から職員として雇用された山岡さん。

店に並ぶ焼きたてのパン。

宮阪委員長が利用者さんに教えていただきながら、パン製造に挑戦。

石窯と同じく、助成で整備したコンベクションは、デニッシュ、クッキー類に使用。

「私の頭に計画がストンと、何か、降りて来たんですね」と話す小畑友希さん。「10倍というのは売り上げだけでなく、本当に、法人全体をひっくるめた意味での10倍なんです」。

「給料が上がり、職場が安定してくると、みなさん、いろんな変化があって、職場結婚されたり」。あさかげ生活支援センター、施設長の高井賢二さん。

井上秀勝 町会長、今もさっぽろひかり福祉会 後援会の会長として、ご協力いただいている。

工房に併設された店舗。

成形、具をのせたらオーブンへ。

労働組合支部執行委員長、助成先訪問、Series 28.

ヤマト運輸労働組合、札幌支部 執行委員長、宮阪 和之さん。

一筋縄ではいかぬパン作り。一生懸命の指導に感謝。

初めてパンをこねて分かりましたが、やっぱり職人技ですよね。すぐにできるものじゃない、これまでのご苦労がよく分かりました。

できないのは自分なのに、「私の教え方が駄目だったんですね」と、指導してくれたかたが言ってくださって、本当に申しわけなかった。反面、お話することや、人との関わりが、みなさん、すごく好きなんだな、と実感できたたことは、とても良かったです。

明るい職場で、みなさん、元気に働いていることを、今度は、自分からヤマトの社員に伝えて、賛助会員や、夏のカンパへの応援を増やしていきたい。そんな気持ちを強くしました。

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