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この街で、一緒に生きていく。公益財団法人ヤマト福祉財団、障害者のクロネコ DM 便配達事業。

できないと決めつけないから、できることが増えていく。

神奈川県横浜市の港北区。東急電鉄 東横線の大倉山駅から歩いて約2分の住宅街に、NPO 法人いろえんぴつ心理福祉コミュニティズ いろえんぴつはあります。7、8人のメイトさんたちが職員と共に、徒歩でクロネコ DM 便を配達しています。

NPO 法人いろえんぴつ心理福祉コミュニティズ いろえんぴつは、2009年9月からクロネコメール便(後に DM 便)事業を開始しました。きっかけは、いろえんぴつの河野芳子理事が、幼馴染みから紹介されたこと。室内作業の多い利用者さんのために、屋外でできる仕事を探していた時期でした。これなら、外を歩くことで運動になり、気分転換もできると考えたそうです。

車椅子でも行ける平坦なエリアを希望。

いろえんぴつのある横浜市の港北区は起伏があり、坂の多い地域です。河野理事は、車椅子の利用者さんがいることなどを考えて、起伏のない、平らなエリアを担当させてほしいと、ヤマト運輸に相談。今の配達地域が選ばれました。

天候が良い、冊数が少ない、職員の数が足りているなどの条件が揃うと、時々、車椅子の利用者さんが配達に参加します。集合住宅の、車椅子からでも手の届く低い位置のポストに、DM 便を何冊か投函する。それだけで、メイトさんとして仕事を担っている、という実感がわくようです。投函の瞬間、彼が少し嬉しい表情になるのを、職員たちは感じるといいます。

知ってほしいから町に出ていく。

配達を始めた頃、町の人から、「何をしているの」とたびたび聞かれたそうです。「これは、私たちのことを話す、とてもいいきっかけになると思った」と河野理事。

ある時、施設の利用者さんが路上で倒れたことがありました。すると、近所のかたが いろえんぴつへ電話をかけてきてくれたそうです。「もしかしたら、そちらに通っている人ではありませんか」と。「 DM 便配達のおかげで、少しずつ地域の中にとけこんでいると感じました。すべての情報をオープンにして、これからも、地域の人に、知ってもらう機会を大切にしていきたい」と河野理事は話します。

ひとりひとりのカラーを生かして。

「ひとりひとりにカラーがあるから、できることや、できないことを決めつけない」。これは いろえんぴつのモットーです。

職員の黒田朱加さんは、「本当にみんな個性的です。どんな時でもマイペースな人。大きな声で明るく話すのが好きな人。そんな、各々の良さを生かしてあげたい」。そして、「毎日見ていると、仕事をとおして、小さなことでも、少しずつ身につけています。 DM 便を渡すと、詳しく場所を説明しなくても、すぐにポストに向かって歩き始めたり、注意をしなくても、 DM 便を丁寧に扱ったり。できることが自信となっていくのを感じます」と語りました。

いろえんぴつでは、DM 便配達だけではなく、いろえんぴつのカフェの仕事など、彼らが、街の人と触れ合う機会を増やしています。

ベテランになるほど生き生きと輝いて。

「みんな毎日、約1万歩も歩くので、健康になっています」と話すのは、職員の東美奈子さん。「メンバーは19歳から69歳までいるのですが、学校を卒業したばかりの若い人より、ベテランのかたがぐんぐん歩くし、疲れを見せないんですよ」。

河野理事は、「町の人や、ヤマト運輸のドライバーさんに、きちんと挨拶できるようになっています。新しい職員に、ベテランのメンバーが、配達先のことを教えているところなどを目撃すると、本当に、この事業を始めて良かったと思います」としみじみ語ります。

長く続けてほしい大切なパートナー。

ヤマト運輸、神奈川主管支店、大豆戸支店、長島 将司 支店長は、彼らは頼れる存在だ、と話します。「誤配もほとんどなく、安心して任せられる。これからも、パートナーとして、ずっと続けてほしいです」。

ヤマト運輸、神奈川主管支店、サービスセンター、菅 幸男、センター長は、「仕事に向かう気持ちがまっすぐだと感じます。苦労もあったと思いますが、自分たちで解決し、素晴らしい実績をあげている。今後も、怪我なく安全な配達を最優先して、長く続けてほしい」と語りました。

いろいろな魅力と才能が人の色になる。そして、その色があつまると、新しい色が生まれていく。そんな想いを名前に込めたいろえんぴつ。今日も、メイトさんの数だけ、カラフルな笑顔を街角に咲かせています。

配達時、車や人通りの多い商店街では、メイトさんと職員が一列になって進みます。前から、今泉 晃一さん、土屋 里子さん、職員 東 美奈子さん、武田 裕輝さん、岩田 照美さん、職員 黒田 朱加さん。

細い裏道も、きちんと列を保って歩きます。

商店街の中の歯科医院で、「 DM 便です」と声をかけて、手渡す、岩田 照美さん。

「大切なものだから、雨に濡れないように気をつける」と武田 裕輝さん。バッグをきちんと傘の下に入れて歩きます。

「仕事だから、雨でも、どんなに重くても大丈夫」と今泉 晃一さん。 DM 便の配達が大好きです。

「ポストに引っかからないように気をつけながら、しっかり奥まで入れます」。 DM 便を、丁寧に投函する、岩田 照美さん。

「町を歩くのが好き。みんなといつも一緒に行けるのが嬉しい」と土屋 里子さん。

前列左より、いろえんぴつ 武田 裕輝さん、土屋 里子さん、職員 東美 奈子さん、河野 芳子 理事。後列左より、職員 黒田 朱加さん、岩田 照美さん、今泉 晃一さん、ヤマト運輸 神奈川主管支店 サービスセンター 菅 幸男 センター長、ヤマト運輸 神奈川主管支店 大豆戸支店 長島 将司 支店長、ヤマト福祉財団 関東支部 柏崎 寿惠 事務長。

いろえんぴつ 河野 芳子 理事と職員の黒田 朱加さん。

神奈川主管支店、菊名センター。

面積1,048平方キロメートル、人口13,864人、世帯数7,468世帯。

NPO 法人 いろえんぴつ、心理福祉コミュニティズ いろえんぴつ。

2009年からクロネコメール便( DM 便)配達を開始。1日平均配達冊数、約100冊。他の活動は、アルミ缶集め、パン、クッキー、味噌製造、販売など。

障害者のクロネコ DM 便配達事業。

参入施設数、322施設。従事者数 1,639人。2018年2月現在。

お問い合わせは、公益財団法人ヤマト福祉財団、DM 便担当。

電話 03-3248-0691、ファクス 03-3542-5165、http://www.yamato-fukushi.jp/.

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコ DM 便配達へと変わりました。

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