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有富理事長を囲んで

障害のあるかたが誇りを持って働くために今、私たちにできること

今回の鼎談には、助成先の施設を訪問されたヤマトグループ企業労働組合連合会、森下明利会長、そして第8回小倉昌男賞受賞者であり、今年度から開講する新しい実践塾の塾長、西澤心氏をお招きし、障害のあるかたの夢をかなえるために今、なにが必要か、それぞれのお話を伺いました。

学ぶ、実践する、助成する、三位一体で効果を。有富理事長

有富慶二理事長、以下、理事長:本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まず私たちヤマト福祉財団の役割について説明をしたいと思います。

企業というのは、儲けるだけではなく、社会における存在意義を持つ必要があります。私はこれを社徳と呼んでいますが、これがなければ企業が存続することはできません。ヤマトグループでは10項目の企業姿勢を掲げて社徳を高めています。この中に、ヤマトグループらしさを象徴するものがみっつあります。ひとつは安全第一で、これは現場の仕事です。二番目が世の中から非難されるようなことを決しておこなわない、であり、これは執行部の仕事です。そして、もうひとつが障害者の支援です。この障害者支援を、私たちヤマト福祉財団が仕事としています。こうした役割分担をご理解いただいた上で、さらに知っていただきたいのが、日本の障害者が置かれている現状です。

西澤 心氏、以下、敬称略:障害のあるかたの働いている人数ですね。

理事長:そうです。厚労省が発表した日本の障害のある方の人数は、約800万人で、そのうち15歳から64歳までの人、いわゆる仕事ができる年齢の方は約500万人います。企業が雇用義務として2パーセント雇用し、その数は約40万人。さらに社会福祉法人、NPO 法人などの福祉施設は、全国におよそ7000ヵ所あり、そこで約20万人が働いています。でも合計すると60万人弱しか働くことができていません。500万人のうち約440万人に仕事がない計算です。施設で働く約20万人の人数を早急に増やしていかなければなりません。さらに、考えなければいけないのは、障害のあるかたの給料です。施設作業所で働く人の平均給料は月収約1万3000円となっていますが、これでは障害者年金を入れても年間で90万円くらいにしかなりません。日本の可処分所得の中央値は224万円。OECD の基準値で貧困線を算出すると112万円となり、そこにも到達していないことになります。これもなんとかしなければなりません。

すぐ取り組むべきミッションは利用者の給料を上げること。西澤氏

西澤:問題なのは、500万人働ける人がいるのに、福祉的な支援を得ている人は20万人しかいないこと。きょうされんで調査した施設で働く9000人のうち約56パーセントが貧困線以下だということです。国の制度の改善も必要ですが、現場の人間としてすぐにでも取り組むべきミッションは給料を上げることだと思っています。実際に月給5万円を超えるいくつかのパイオニアたちが、ヤマト福祉財団の支援により誕生していますしね。

理事長:私たちは、全国の施設に、働いて稼げる事業所に変わっていきましょう、と呼びかけ、経営とはなにかを学ぶパワーアップフォーラムを開催してきました。しかし、座学で勉強しただけで、簡単に実践できるものではないんですね。そこで一昨年、経済的に自立した福祉施設として成功を収めている新堂さん武田さんのふたりに商売を学ぶ塾を実験的に開いてもらいました。すると参加した施設の中から、大きな成果を上げるところが誕生してきたのです。だったら、パワーアップフォーラムと塾と助成のみっつを一括してやったら、より効果が上がるのではないかと考えました。つまり、学ぶ、実践する、助成する の三位一体です。それが昨年からスタートした夢へのかけ橋プロジェクトです。

塾の名も夢へのかけ橋 実践塾と変え、新たに亀井さんにも塾長になっていただきました。みっつの塾に58人の塾生が参加し、初年度月給3万円、2年後に月給5万円実現を目標にしています。給料増額につながる塾生のプランには、すぐに助成をおこなえるようにし、実際に新たな事業をスタートした施設もあります。

しかし、1年間塾を進めて行く中で、新たな課題も見えてきました。塾生にとっては、業態ごとにノウハウを学べる方が、より効果的だとわかってきたのです。そこで、今年度からは西澤さんにも新たな塾の塾長になってもらい、食べ物屋の塾みたいなイメージでご協力いただくことにしました。

西澤:私としては、これまで飲食関係で頑張ってきたノウハウなどをお伝えしたいと考えています。とりあえず12年間つぶれずにレストランをやってこれましたから。でも私たちの施設でやってきたのは、利用者さんが主体的に働ける環境をつくること、それだけなんです。先日、森下会長にも見ていただきましたが、うちでやっていることは、すべて利用者さんが、自ら考え、実践してきたことです。

ほのぼの屋の利用者さんは誇りを持って働いている。森下会長

森下明利会長。以下敬称略:西澤さんが施設長をされているフランス料理のレストランほのぼの屋を拝見させていただきましたが、そこで働いている利用者さんは、ひとりひとりが自分の仕事に自信を持っています。たとえば、ナプキンをクリーニングしている人は、これはお客様が口を付けるものだから、きれいにしなければならない、そんな誇りを持って仕事に取り組んでいました。しかも、それを自分が実践するだけではなく、彼らが新人に教えているんです。ここを訪れるお客様が、食事はもちろん、この場の雰囲気と時間を楽しみに来店されていることをわかっているからこそできるんでしょうね。

西澤:新しいメンバーがはいると、彼らは自分たちで仕事を教えていきます。自分の仕事を人に伝えることで、こうしなければいけない、と自らにもフィードバックしていると思います。

森下:シルバーの並べ方にもこだわりがありましたね。

西澤:ナイフ、フォークはツーフィンガーの間隔で並べてますね。グラスの置き方もこの位置が良いと彼らが考えて決めていったんです。私が手を出すと、二度手間になるからダメとさわらせてもらえません。本当に私はなにもしていませんが、ただ最初にひとつのことだけは決めました。それは、障害を持っている人が頑張っていますから食べにきてくださいではなく、きちんと市場で通用する一流のお店を目指そうじゃないか、ということです。そのために一流の料理長に来ていただきました。他は私も含めてみんなど素人でしたけど、障害分野で私たちは勝負するのではない、という意識でずっとやってきています。

理事長:そのために、なにを行ったのでしょう。

西澤:まずはマーケティングを1から勉強しました。その上で、きちんとターゲットを設定し、お店のコンセプトをみんなで考えたんです。サラリーマンにワンコインで食べてもらえる店、隠れ家的な店など、いろいろな意見が出る中で、40から60歳代の女性をターゲットにしようと決めました。いわゆる関西のおばはんですね。彼女らは味方にできれば頼もしいけど、敵に回したらとんでもない。良いお店のことは、だれにも言ったらあかんで、と口コミで時間をかけてジワジワと評判が広がっていくのですが、悪い店だと思ったら、あそこはあかん、と一日であっという間に広がってしまう。

森下:関西は、そういうところがありますね。ほのぼの屋が、中高年の女性をターゲットにしたお店だということは、レストランにはいった瞬間に、私にもわかりました。そういう点で、コンセプトは明確に形になっています。大事なのはもう一度来たいと思えるリピーターをつくることだと思いますが、西澤さんのレストランは、料理も雰囲気も、もう一度来たいと思える素晴しいお店になっていますね。

釣りたい魚に合わせた仕掛け。それが市場セグメント。有富理事長

理事長:商売で大切なのは、だれになにを売りたいか、市場のセグメントですね。料理も、使うお皿も、店の雰囲気も、どうしたら良いかわからないというところは、対象がぼやっとしているからでしょう。全員に売りたいなんて商品は誰も買ってくれない。釣り師は、特定の魚を釣りたいから、釣りの仕掛けを工夫する。なにも考えずにただ仕掛けを放り込んで釣れるはずがない。

西澤:そのたとえは、わかりやすいですね。

理事長:だれに買ってほしいのかを考えていくことで、どうしたら良くなるのかが見えてきて、次の来店にもつながる。そういった考え方を浸透させていくことも、利用者さんが主体的に働ける環境づくりのひとつといえるでしょう。他の福祉施設は、お客様が買ってくれるものをつくるのではなく、自分たちのつくれるもの、つくりたいものになっているから売れないんです。西澤さんのところとの大きな違いはここでしょうね。

西澤:時間のセグメントも大切です。土日は、飲食店にとって大切なかき入れ時。それを理由に休んでいては商売になりません。

理事長:商売とはなんだということをしっかり勉強してほしいんです。商売の基礎の基礎といえば、経理ですが、西澤さんはこれについてはどう考えていますか。

西澤:施設関係者は、経理をきちんと学ばなければいけませんね。そもそもこの業界には計算高いような人ははいってこない。だから施設のトップは経理に疎いし、現場のスタッフも計算ができていない。そのため、今年はこういう予算でいこうとか、最初の計画段階ですでにつまずいているケースが多いのです。損金という言葉もわかっていない、つくったものはすべて売れると勘違いしている。また、商品価格の設定も、原料費がいくらかかるからこれだけの金額を上乗せしなければならない、ということもできていない。これでは、一般のお店の商品との差別化を図ることはできませんね。

理事長:この、商売とはなにか、経理とはなにか、のふたつに関しては、もっと企業がお手伝いできるのではないかと考えています。企業が自ら障害のあるかたを雇用することも大切ですが、自分たちで実践している経理のノウハウを施設に教えることで、施設は、PDCA (Plan、Do、Check、Action)でなにをやらなければならないかも理解するようになり、商売として事業をおこなう力もついてきます。

それが積み重なれば、いま施設で働いている20万人の数も増えていくはずです。大事なのは、60万人の方しか働くことができない現実をどうやって改善していくか。私はいままで給料を高くする方法をずっと考えていましたが、それだけではダメだとわかってきました。

そこで、西澤さんや他の塾長のように成功している施設のやりかたを、他の施設がわかりやすく業態別に検索できる方法はないか。ベンチマークとして、よりみんなの参考になる情報を発信できないかと考えています。

私たちのお金がどう役立っているかみんなに伝えていきたい。森下会長

理事長:森下会長は、今回、西澤さんのところと、もうひとつ別の施設も見学に行かれたんですよね。

森下:はい、ジャンプアップ助成金で九条ネギの育苗ハウスを設置された野田川共同作業所に伺いました。

理事長:育苗ハウスの他に、上水道なども設置したと聞いてます。

森下:立派なものが完成していました。九条ネギの出来は、良い苗をつくれるかどうかで決まるらしいのですが、それを実現するための遮光カーテンや温度を一定に保つストーブなども備えることできたと、みなさん喜んでいました。近年、野田川共同作業では、いままで受注していた下請けの仕事が海外に流れてしまって苦労されています。そこで、お客様の求めるもの、利益率の高い九条ネギを事業の柱に方向転換するために、助成を申請したということです。

理事長:九条ネギは商品価値も高いので、たくさん売れれば給料も上がりますよ。仕事を増やす、給料を上げる、まさに生きたお金として助成が使われていく姿を目撃されたわけですね。

森下:利用者さんと一緒に水やりをおこなうなど良い体験ができました。利用者さんたちは、自ら土に触れて種蒔きをおこない、自分たちの手で大切に九条ネギを育てています。そんな手塩にかけた商品が、身近なラーメン屋やふるさとセンターなどで売られているのだからうれしいですよね。いく先の見えない下請けの仕事より、実際に世の中でどう役立っているのかがわかるこの仕事の方が、喜びはずっと大きいはずです。それで給料も上がっていくのですから、理想的です。

今回の訪問で、私たちがカンパしたお金が、具体的に利用者さんの夢を広げることに役立っている、それを実感できたことは、とても大きかったと思います。

理事長:自分のやったことが、人の役に立てているとわかった時は、うれしいものです。

森下:社員は自分たちが汗水流したお金をカンパするのですから、そのお金がどんな目的で、どのような形で使われているのかを知る権利があるし、私たちは伝える義務があると思います。なにをしているかわからないけど仕方ないので出す千円と、実際にどう役立っているのかを知って出す気持ちのこもった千円では違いますよね。今回、見聞きしたことを研修会などでしっかり伝えていくつもりです。

理事長:私たちもみなさんからのカンパを受け取る時、「有効に使わせてもらいます」と言ってますが、それで自分たちにプレッシャーをかけているんですよ。

障害のあるかたが当たり前に働いている社会、それが究極。西澤氏

森下:もうひとつ感じたのは、私たちは障害のあるかたのことを知らな過ぎる、変に特別扱いし過ぎているのではないかということでした。

理事長:それはどういうこと。

森下:西澤さんは、ほのぼの屋で働く利用者さんを特別扱いなんかされていませんよね。私たちが社員と接しているのとなにも変わらない。私たちは、障害のあるかたと一緒に仕事をすることに慣れていないのかもしれませんが、私たちはつい身構えて、特別扱いしてしまう。でもほのぼの屋で働くみなさんを見ていると、当たり前にひとりの社員として接することこそ、大事なのではないかと感じました。それは彼らの仕事を周りが認めている証拠であり、障害のあるかたにとっては、働く上でのひとつの誇りになるのではないかと考えています。

理事長:確かに働く場を提供する側には、障害のあるかたのその辺の気持ちは見えていないかもしれませんね。

西澤:私が思う究極の形は、普通に障害のあるかたが働いている社会です。企業に障害者がいるのは当たり前で、企業の就労が難しいかたにも働く環境が整った施設で、ごく普通に働いてもらうことが理想です。

私たちが置き忘れてきた大切なものをみなさんに教えてもらった。森下会長

理事長:先ほど給料が上がる話が出ましたが、利用者さんの夢をかなえていくためには、給料も上げていくことが大切ですね。

西澤:給料が上がると利用者さんたちは変わっていきますよ。うちの事業所ではじめて2万円を超えた時、みんなの働き振りが変わって驚きました。働いた分、給料がついてくるからと残業も苦にしなくなりましたし、もっと売れるようにと営業トークも自らおこなうようになりました。5万円を超えると、いままで家族に任せていたお金の管理を自分でやるようになり、着るものに無頓着だった人がおしゃれに目覚めたり、買い物を楽しむように変わりました。さらに8万円を超えると、自分の将来設計や夢を思い描き、その実現の一歩を踏み出すようにもなったのです。ひとり暮らしをはじめたい、結婚して自分たちの家を持とうと張り切ったりと、大きく変わっていきました。そして10万円を超えると、今度は職場でリーダーシップを発揮するようになったんです。凄いのは、自分たちで考え、いろいろな提案をしてくるようになったことですね。

たとえば、いままでアイロンがけは座って行っていたのですが「どこのクリーニング店を見ても立ち作業で行っている、椅子をどけても良いか」と彼らから言ってきました。2ヵ月ぐらい経って様子を聞くと、「作業スピードが3割ぐらいアップした、このまま続ける」と言われまして、いまは私たちが指導される立場になっています。

理事長:自分たちの手で改善して成果を出す、評価される、これは仕事の醍醐味のひとつですね。

西澤:ホールで働いている者と違ってバックヤードの人間は、お客様の評価を直接聞くことがほとんどないんです。しかも、きれいだからほめられることはなくても、汚ければクレームがつきます。そんな裏方の仕事ですが、ある時、お客様に「ここは10年以上経つのに、いつもグラスがきれいだ」とほめてもらえました。私は早速、メンバーに伝えにいったんです。するとグラスを磨きながら「だって私たちはグラスの向こうに、お客様の笑顔が見えてるんだから」とすまして言うんですよ。うちのメンバーさんは、私の自慢です。誇りを持って働く彼らが、私の誇りです。

森下:みなさん生き生きと働いてますものね。その姿勢は仕事の原点というか、私たちがいつの間にか置き忘れてしまっているかもしれない大切なものだと感じました。しっかりポケットにしまって、会社に持って帰りますよ。

理事長:我々もみなさんの気持ちのこもったお金が、生きたお金となるように、しっかりと助成などを行っていきたいと思います。今日は、おふたりともありがとうございました。

森下、西澤:こちらこそありがとうございました。

写真説明

有富慶二理事長

社会福祉法人まいづる福祉会理事 ワークショップほのぼの屋施設長、CAFE RESTAURANT ほのぼの屋支配人、西澤心氏

ヤマトグループ企業労働組合連合会、森下明利会長

囲み記事

障害のあるかたに、もっと働ける場所を

障害のあるかたの約800万人のうち働ける年齢のかたは約500万人います

15歳から64歳までの働ける年齢のかた、約500万人、62.5パーセント

約500万人のうち働くことができているのは約60万人だけ

企業や福祉施設などで働いているかた、約60万人、12パーセント

企業の雇用人数、約40万人

施設などで働く人数、約20万人

約440万人が働く機会を得られていません、88パーセント

全国約7000ヵ所の福祉施設などをもっと多くの利用者さんが働ける場所に

社会保障審議会障害者部会、第50回、平成25年7月18日資料より推計

障害のあるかたに、もっと高い給料を

障害のあるかたの年間所得の平均は最低限の生活を営むライン、貧困線を下回っています

貧困線とは、生活に必要な最低限の物を購入するだけで、娯楽、嗜好品を買う余裕がない収入状態を示す指標。OECD の作成基準に基づき算出。112万円

障害のあるかたの平均所得、94万2500円

障害基礎年金 2級、78万6500円+平均給料 1万3000円の12ヶ月分

福祉施設作業所の平均給料 1万3585円。平成23年度厚生労働省

囲み記事

社員のカンパはどう役立てられている。森下会長がふたつの施設を訪問

野田川共同作業所に森下会長が訪れたのは、昨年のジャンプアップ助成金を使い、九条ネギの育苗ハウスを2週間前に建設したばかりの時でした。「新しい育苗ハウスでは、種蒔きからたった7日間でもう芽が出ているんです。これなら育苗も順調に進み、収穫も期待できます」と小谷勝己所長。自分たちの助成が、利用者さんの夢を広げることに、しっかりと役立っている、そんな姿を目の当たりにできました。野田川共同作業所の詳細な報告は8ページへ。

もうひとつの訪問先、ほのぼの屋は、第8回小倉昌男賞を受賞した施設です。「障害者のお店だから仕方ない、そんな風にスタッフもお客様も妥協するお店にはしたくありませんでした」と職員の内海あきひさんは話します。その言葉が示すように、舞鶴港が見える店内には、一流シェフのつくった料理をゆっくりと楽しめる、大人のくつろぎの時間が流れています。料理を堪能した森下会長は、行き届いたサービスに感激されていましたが、そのすべてが利用者さん自ら考えたものだと聞いて驚いていました。

利用者さんとの懇談では、早速、それぞれの仕事振りについて質問。近久学さんは、お客様と厨房の動きすべてを見ながらホールを仕切っています。「お皿を下げるタイミングは、料理を食べ終わり、お水を口にされてから10秒待つようにしています。決してお話のじゃまにならないように心がけています」。皿洗いの責任者の下森君子さんは、「昼も夜も大体60人分と大量の皿が使われます。でも必要以上の人間が皿洗いをしていては、お店はまわっていきません。その日の予約状況を見ながら、今日は何名で皿洗いをおこなうかを私が判断します」と説明しました。

今日集まった利用者さんは、みんな月給10万円を超えていると聞き、またびっくり。お金の使い方を伺ってみると、アイロンがけ担当の内海あずささんは「みんなでハワイ旅行に行きましたが、楽しかったので次はパリにいきたい」と目を輝かせます。バックヤード全体をマネジメントする六田宏さんは、3人のお子さんがいます。「いま家を買いたい、子供が小学校に通える範囲で物件を探しているところです」と大きな目標を持っていました。

「みんな生き生きとしていますね。どうすればお客様が喜ばれるかを、全員が考えて行動していることが素晴しい。ここではお店で過ごす時間も大切な商品になっていますね」。この訪問でいろいろなことを学べたと、森下会長は話しています。

写真説明

野田川共同作業所で九条ネギの種蒔き作業を見学

全員で連携してオープン前の準備

お客様が口につけるものだからと心を込めてクリーニング

左から下森君子さん、六田宏さん、森下会長、近久学さん、内海あずささん

ひとつひとつ丁寧にセッティング

素晴しい料理とサービスに感激する森下会長

舞鶴港を一望できる CAFE RESTAURANT ほのぼの屋