このページと、以下のページは音声読み上げブラウザに最適化済みです。

ヤマト福祉財団 NEWS.

Yamato Welfare Foundation News.

CONTENTS.

表紙写真, 熊本地震で震災直後から、1日3食、300食の炊き出しをおこなった NPO にしはら たんぽぽハウス。事業所で開いているボランティア食堂。

リレーコラム,夢をつないで,第2回.

社会福祉法人キャンバスの会,理事長,楠元 洋子.

重症心身障害の子どもをもつ親の思い.

2016年4月1日、念願であった重症心身障害児、者(以下:重心)の短期入所施設が、19床の診療所、医療型短期入所施設として認可され開院することになりました。

キャンバスの会の最終目標である親亡きあとの医療付入所施設が、夢の実現に向け一歩前進したところです。

2004年5月、NPO 法人キャンバスの会を設立し、我が子が地域で安心して暮らし、親亡き後も変わらぬ生活が送れるようにとの思いで、居宅介護、学童保育、レスパイトケア、デイサービス、短期入所など、家族が一番欲しいサービスを提供し、子どもたちのかよえる事業を形にしてきました。

働く場の創出.

重心の子どもたちに必要な紙おむつの仕入、販売を障害者の仕事とし、通所者の給食作りからヒントを得て介護施設や病院、学校へのお弁当販売。短期入所に欠かせないシーツ、タオル、布団や病院、高齢者施設、レストラン、食品関係のクリーニング(リネン)。最近では地元の農家と協同して新商品の開発事業、酒類販売事業所がふるさと納税にも参入するなど、私たちは収益事業で障害者の働く場の確保と雇用を結び付け、規模を拡大し、どんなに障害が重くても働くということを大切にしてきました。

新たな挑戦.

4月に開院した重心の施設は、予想をはるかに超えた重度の利用者さんの申し込みが多く、痰の吸引、経管栄養、導尿、気管切開部の衛生管理、酸素吸入、噴霧吸入、人工呼吸器の管理など、他施設で受け入れができなかった生後6ヵ月から50歳代までの百十数名のかたが登録しています。看護師の対応を初め、施設でも安全な医療的ケアの必要性が出てきました。重心の施設を医療型に向けるにあたって一番の難関は、専門性(小児科、内科)のある医師の確保でした。行政、保健所、医師会など多くの関係者に子どもたちへの親の思いが伝わって、その結果院長(小児科医)、副院長(内科医)、その他2名の内科医を含む4名の医師が協力を申し出て下さり、開院に至ることができたのです。

障害種別の違いがあっても、分かり合える境遇の親同士、地域の繋がりの中で子どもたちの幸せ支援を続けたい。そのためには、行政任せではなく、親たちが悩み、考え、自ら動いて実現するしかないと考えています。

自分らしく生きることが自立ではないだろうか。

脚注: レスパイトケア:障害者(高齢者など要介護者)の在宅介護をしている家族の疲れを軽減するため、一時的に休息を取れるようにするサービス。

公益財団法人 ヤマト福祉財団 トップページへ戻ります.