障害のあるかたの力で、安心、安全な新しい食文化を発信。
フォーラムには、全国から福祉関係者、農業生産者、消費者など約500名が集いました。佐伯氏は「いま自然栽培パーティの加盟施設は、北海道から沖縄まで、27施設に広がっています。安心、安全な食材を障害者と一緒につくり、日本を健康にしていきましょう」と挨拶。瀬戸理事長は「日本には、富山県ぐらいの耕作放棄地があると言われています。この土地を障害のあるかたの力で再生できたら、素晴らしいですね」と話しました。
記念講演は、奇跡のリンゴで有名な木村秋則氏です。「だれもが不可能と言ったリンゴの自然栽培の実現に26年かかりました。いま私の栽培方法が、障害のあるかたのために役立っていることを、誇らしく思います。私は、自然の力を借りて農作物が育つお手伝いをしているだけです。農薬も肥料も使っていないので、私のリンゴは、自然の栄養しか吸収していません。日本は医学先進国ですが、病気の多い国でもあります。それは、長年、食してきた食べ物に含まれる人工のなにかが影響しているせいかもしれません。安心、安全な食べ物を栽培し、供給することで、日本を健康的にリニューアルしていきたいですね」と語りかけました。
農業は百姓。百の仕事があるから。利用者さんに合う仕事も見つかる。
続いて木村氏が実践した自然栽培で、米づくりをおこなった施設が成果を発表。水稲自然栽培チャレンジに参加した施設の中では、株式会社アップルファーム大地の恵みが最も平均給料が高く6万4000円になりました。数字には見えない、苦労や喜びなどを各施設が報告すると、会場から拍手が贈られました。
パネルトークでは、豊田市で水稲、野菜、果樹など幅広く自然栽培をおこなう農業生産法人みどりの里の野中慎吾氏が、農家の視点から農福連携の体験を紹介。「A型、B型の事業所の利用者さんに仕事を手伝っていただいています。工夫したのは、一つの仕事を細かな作業に分けることで、全員が参加できるようにすることです。最初は、無口だった利用者さんが、仕事を覚える度に明るくなり、いまではスタッフにいちごの収穫方法を教えるまでになっています」と話しました。佐伯氏も「農業に従事する者のことを百姓と呼びますが、文字通り百の仕事があり、それぞれに適した仕事がきっと見つかるはずです」と解説しました。
「いま日本の農業は転換期を迎えています」と木村氏。「障害のあるかたと一緒に、日本から新しい食文化を、栽培方法を発信し、世界中に農業ルネッサンスを起こしましょう」と呼びかけました。
佐伯代表は「自然栽培を始めたいと言う施設があれば、私やパーティのメンバーがどこにでも駆けつけて指導しますよ」と呼びかけました。
自然栽培パーティのブランド化を目指してオリジナルマークも制作。
不可能と言われたリンゴの自然栽培を約26年かけて実現した木村秋則氏。
「いま世界中の人々が安心安全な食材を求めている」と瀬戸理事長。
全国に広がる自然栽培パーティの加盟施設などがつくった自然栽培の野菜、果物を直売するマルシェをホール前のロビーで開催。安心、安全な農産物に関心を持つ大勢の来場者で大盛況となりました。
施設関係者から一般消費者まで、来場者が日本の農業と食の未来に新たな期待を寄せています。
自然栽培を実践した施設は、共通して「自然栽培を始めて利用者さんみんなに笑顔が広がりました。もっと規模を拡大していきたい」と報告しています。
農福連携で私たちも変わっていきたいと来場した施設関係者も積極的に意見を発表。