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農業で利用者さんにたくさんの仕事と給料を。

自然栽培パーティ 第1回全国フォーラム開催。

「無農薬、無肥料、無除草剤の自然栽培でつくったお米は付加価値が高く、給料増額に繋がる」と話す自然栽培パーティ代表の佐伯康人氏をリーダーに、昨年「水稲自然栽培チャレンジ」を実施しました。5つの施設が自然栽培で米づくりに挑戦。さまざまな苦労を乗り越えながら、秋には黄金色の稲穂が豊かに実り、想像以上の収穫を得ました。5月20、21日、愛知県の豊田市福祉センターで自然栽培パーティ第1回全国フォーラムを開催しました。

自然栽培パーティは、一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会として法人化しています。

自然栽培パーティ第1回全国フォーラムのプログラム。

5月20日。

5月21日。

障害のあるかたの力で、安心、安全な新しい食文化を発信。

フォーラムには、全国から福祉関係者、農業生産者、消費者など約500名が集いました。佐伯氏は「いま自然栽培パーティの加盟施設は、北海道から沖縄まで、27施設に広がっています。安心、安全な食材を障害者と一緒につくり、日本を健康にしていきましょう」と挨拶。瀬戸理事長は「日本には、富山県ぐらいの耕作放棄地があると言われています。この土地を障害のあるかたの力で再生できたら、素晴らしいですね」と話しました。

記念講演は、奇跡のリンゴで有名な木村秋則氏です。「だれもが不可能と言ったリンゴの自然栽培の実現に26年かかりました。いま私の栽培方法が、障害のあるかたのために役立っていることを、誇らしく思います。私は、自然の力を借りて農作物が育つお手伝いをしているだけです。農薬も肥料も使っていないので、私のリンゴは、自然の栄養しか吸収していません。日本は医学先進国ですが、病気の多い国でもあります。それは、長年、食してきた食べ物に含まれる人工のなにかが影響しているせいかもしれません。安心、安全な食べ物を栽培し、供給することで、日本を健康的にリニューアルしていきたいですね」と語りかけました。

農業は百姓。百の仕事があるから。利用者さんに合う仕事も見つかる。

続いて木村氏が実践した自然栽培で、米づくりをおこなった施設が成果を発表。水稲自然栽培チャレンジに参加した施設の中では、株式会社アップルファーム大地の恵みが最も平均給料が高く6万4000円になりました。数字には見えない、苦労や喜びなどを各施設が報告すると、会場から拍手が贈られました。

パネルトークでは、豊田市で水稲、野菜、果樹など幅広く自然栽培をおこなう農業生産法人みどりの里の野中慎吾氏が、農家の視点から農福連携の体験を紹介。「A型、B型の事業所の利用者さんに仕事を手伝っていただいています。工夫したのは、一つの仕事を細かな作業に分けることで、全員が参加できるようにすることです。最初は、無口だった利用者さんが、仕事を覚える度に明るくなり、いまではスタッフにいちごの収穫方法を教えるまでになっています」と話しました。佐伯氏も「農業に従事する者のことを百姓と呼びますが、文字通り百の仕事があり、それぞれに適した仕事がきっと見つかるはずです」と解説しました。

「いま日本の農業は転換期を迎えています」と木村氏。「障害のあるかたと一緒に、日本から新しい食文化を、栽培方法を発信し、世界中に農業ルネッサンスを起こしましょう」と呼びかけました。

佐伯代表は「自然栽培を始めたいと言う施設があれば、私やパーティのメンバーがどこにでも駆けつけて指導しますよ」と呼びかけました。

自然栽培パーティのブランド化を目指してオリジナルマークも制作。

不可能と言われたリンゴの自然栽培を約26年かけて実現した木村秋則氏。

「いま世界中の人々が安心安全な食材を求めている」と瀬戸理事長。

全国に広がる自然栽培パーティの加盟施設などがつくった自然栽培の野菜、果物を直売するマルシェをホール前のロビーで開催。安心、安全な農産物に関心を持つ大勢の来場者で大盛況となりました。

施設関係者から一般消費者まで、来場者が日本の農業と食の未来に新たな期待を寄せています。

自然栽培を実践した施設は、共通して「自然栽培を始めて利用者さんみんなに笑顔が広がりました。もっと規模を拡大していきたい」と報告しています。

農福連携で私たちも変わっていきたいと来場した施設関係者も積極的に意見を発表。

第3回 新塾: 熊田塾。

農業をおこなう塾生がフォーラムに参加。

フォーラムには、農業を事業の柱にする夢へのかけ橋実践塾の新塾生と熊田塾長も参加。翌日おこなわれた佐伯氏による米づくり講座の田植えでは、瀬戸理事長と一緒に、1本1本疎植えする自然栽培独自の方法を体験しました。熊田塾長は「自然栽培、オーガニックなどいろいろと学ぶ中から、自分たちに合ったやりかたを選択することが大事です」と塾生に話しています。

フォーラムの前日、5月19日には、安城市で第3回新塾、熊田塾の研修会を開催しました。塾生の近況報告を聞いた熊田塾長は「1月にいくつかの塾生施設を視察しましたが、共通する課題は、栽培した農産物や加工品などを、どこで、どのような形で販売するかです。いま塾の中では、早月農園で育てたミカンを なでらの森の乾燥機でドライフルーツにし、ワークセンターひびき で販売するといった連携も生まれています。塾生同士で互いの特徴を理解し合い、自分の施設と連携することで、どのようなメリットを生み出すことができるのか、じっくりと考えてください」と講評しました。

研修会では、2つのグループに分かれ、一つの施設を例に改善点を分析し合うグループワークも実施。事業所のリーダーとして他の職員を説得するための表現力や意見をまとめる力などを養いました。

最後に熊田塾長が「農福連携は、社会での福祉施設の存在を高める機会でもあります。利用者さんのためだけではなく、地域社会が抱える人手不足、後継者不在、食育などの問題も踏まえ、自分たちになにができるかを、地域のかたと一緒に考えていきましょう。それをきっかけに地元、県、全国へと広がるネットワークを築くことも夢ではなくなってきます」と伝えました。

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