フラワーロードは1996年、芹が谷地域では初めての地域作業所としてスタートしました。始めた事業は花屋さん。多くの人が施設に併設する店舗を訪れることで、障害者への理解につなげたいと思ったのです。
クロネコメール便配達、のちにクロネコ DM 便配達を開始したのは、隣の地域の施設から情報を得たことがきっかけです。街に出て行く仕事をとおして、利用者さんが社会との関わりを増やすことができるのではと考えました。
スタートして8年。現在の配達数は1日平均約100冊。希望者による午前チームと、固定メンバーの午後チームの2組がそれぞれ職員1人とともに配達しています。
選抜チームは5人でひとつのチカラ.
フラワーロード三好隆生主任は、午後のチームについてこう話します。
「メイトさんの仕事には、仕分け、登録、投函など、さまざまな役割があります。それを1人で担えないなら、みんなで力を合わせればいいと考えました。そこで、それぞれの役割で力を発揮できる男性3名女性2名を選抜してチームを組み、ある小さなエリアを任せてみたのです」。
その選抜メンバーは…1. 地図係、中川太郎さん。住所と名前を確認し、地図を見ながら配達先まで案内します。出発する時は必ず「行くよ」、道路を渡るときは「渡るよ」と声をかけます。2. 機械係、松島裕子さん。端末を操作して、ピッと鳴るのを確認します。3. ガラガラ係、新井光一さん。DM 便を入れたカートを押したり引いたりします。4. 安全確認係、酒井綾子さん。車が来ることを知らせ、みんなに注意を促します。端末が操作しやすいように、宛名部分を平らにするお手伝いも。5. お助け係、スーパーマンの長岐和透さん。一番後ろから全体を見渡して、困ったことがあれば助けます。背の高さを生かして、高い位置のポストも担当。5人が連携してこなす仕事ぶりを、職員は遠くから見守っています。
仕分けはゆっくりたっぷり時間をかけて.
選抜チームは、午後の仕分けを三好主任や他の職員と一緒に進めています。メイトさん一人ずつが DM 便の住所と宛名を読み上げると、職員が地図にマーク。4の27の3、というように、住所の読みかたも覚えました。DM 便を番地別に積み重ねたら、職員が地図にマークした配達先を線で結び、歩く方向へ矢印をつけます。地図係の中川さんと相談しながら、「青いポスト」「やさい(野菜無人販売所)」など、目印になるところを付箋にメモして添付。2冊同じ家に配達する場合や1軒に表札が2つある家の DM 便にも、間違えないように付箋を貼り付けます。最後に、職員が地図を見ながら配達順に名前を読み上げて、メイトさんが DM 便を配達順に並べ替えると、仕分けは終了。
選抜チームの約30冊の仕分け作業には、たっぷり30分近く時間をかけました。
階段の多い町を助け合いながら.
午前チームのリーダーは隈部聡さん。地図や住所に詳しく、端末操作も得意です。配達用のカートは大きなゴミ箱で作られた施設のお手製。DM 便を配達順に重ねて入れてあるので、蓋を開けると次の配達先が確認できます。しっかりと密閉されているので、雨にも濡れません。
配達区域は坂が多く、階段がいたるところにあります。配達エリアの90パーセント以上が一戸建てで、多くの玄関前に階段があります。しかも、ポストは階段上のドア付近にあることがほとんど。配達エリアは小さくても、運動量はとても多いといえそうです。
「一人暮らしがしたいとか、旅行がしたいとか。そんな仕事をとおして生まれたみんなの夢を、サポートしていきたい」と三好主任は語ります。
まかせて安心。もっと密な関係に.
ヤマト運輸横浜港南支店 野本哲志支店長は「坂と階段が多く、ヤマト運輸のドライバーも苦労しているエリアです。徒歩による配達は丁寧で、クレームも誤配もほぼありません。まかせて安心です」と話します。
ヤマト運輸横浜主管支店サービスセンター 生駒千尋課長は「メイト連絡会にも積極的に参加してもらっています。これからはこちらの情報を伝えるだけでなく、みなさんからの意見も聞いていきたい。今後が楽しみです」と期待を込めました。
店頭には、たくさんの季節の鉢植えや切り花が並べられているフラワーロード。DM 便を届ける先々にも、色とりどりの笑顔を咲かせています。
仕分けをする選抜チームのメイトさんたち。漢字の得意な人がリードします。
住所と宛名をしっかり確認してから投函する煤賀康司さん。
DM 便ですと、明るく手渡す半田沙也香さん。
楽しそうに配達する新井光一さん。
急な階段を助け合って上る午前チームのメイトさんたち。左から半田沙也香さん、職員の佐藤洋子さん、カートを持ち上げる山野義行さんと竹島航介さん、午前チームのリーダー隈部聡さん。
午後の選抜チームのメイトさんたち。みんなでチカラを合わせて配達しています。向かって左から、長岐和透さん、新井光一さん、酒井綾子さん、松島裕子さん、中川太郎さん。酒井さんと中川さんが次の配達先を指差しています。
「引っ張って行くのではなく、後押しするのが職員の仕事。選抜チームはいまではサポートの必要もなく、なにかあっても自分たちで解決しています」と話す三好隆生主任と F & H 磯田巧理事長。
フラワーロードのメイトさんたち。中列: ヤマト福祉財団関東支部 春真児事務長、職員 佐藤洋子さん、後列左から: 職員 興津武彦さん、1人おいて、三好隆生主任、ヤマト運輸横浜主管支店サービスセンター 生駒千尋課長、ヤマト運輸横浜港南支店 野本哲志支店長、2人おいて、職員 小野旬江さん、F & H 磯田巧理事長。