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この街で、一緒に生きていく。公益財団法人ヤマト福祉財団、障害者のクロネコ DM 便配達事業。

雪の日も配達は休まない。ありがとう、が、うれしいから。

山形県最南端の米沢市。上杉 氏の城下町として知られる、このまちで、特定非営利活動法人、聲明会指定、障害者福祉サービス事業所フラワーコート米沢は、12年以上も、クロネコ DM 便を配達しています。7名のメイトさんによる配達数は、月平均約15,000冊。東北で第1位を誇ります。

米沢市は、米沢盆地の中心に位置しており、夏は高温多湿、冬は雪に覆われる気候の厳しい地域です。このまちで、フラワーコート米沢は、平成18年の3月に、クロネコメール便(後に DM 便)配達事業を始めました。当初は1名だったメイトさんも、13年目となる現在は、全員で7名。配達エリアが広いため、車と自転車、徒歩に分けて配達しています。

大きな声で毎朝、確認事項を斉唱。

フラワーコート米沢の朝は早く、7時半には DM 便の仕分けが始まります。エリアごとに、てきぱきと DM 便を仕分け、地図にマークをしながら、配達先を確認していきます。

仕分けが終わると、さあ、朝礼。ここでは、毎日、必ず、おこなう儀式があります。それが、配達時の確認事項の斉唱。「イチッ、お客様へのあいさつ」、「ニッ、お客様の名前と、番地の確認」と続き、「5、タオルとビニールの携帯」、「10、配達中は携帯をマナーモードにしないで、音が聞こえるようにしておく」など、細やかな確認を、全員で高らかに読み上げます。

最後は、緊急連絡先として、フラワーコート米沢の住所と、電話番号を斉唱。「今日もいちにち、よろしくお願いします」と元気に締めくくりました。

確認をくり返すことで、プロの仕事になっていく。

「仕事をするなら、だれでもプロにならないといけません。ミスは許されないんです」と、フラワーコート米沢の赤尾雷水理事長、施設長は話します。「そのためには、繰り返しの訓練がとても大事。確認を何度もすれば、みんな、しっかりできるようになります」。

その言葉どおり、フラワーコート米沢では、確認を徹底しています。雨や雪の日は DM 便がくっつきやすいので、1冊であることを確認すること。配達に出かけたら、11時、13時、14時、15時に、携帯電話で状況を報告することなど、その内容は細部にわたります。また、職員の情野由典さんは、「他の地域を忘れないために、ひとりが同じ場所ばかりを配達しないよう考えています」と話します。

こうした日々の努力を続けることで、今や東北で配達数第1位、全国でも第2位の成績を誇るまでになりました。人口密度が低く、配達効率の悪い地域にもかかわらず、達成した成績。平成27年には、工賃向上の成果で、山形県知事から表彰されています。

長靴を履きつぶすほど、過酷な冬の配達。

特別豪雪地帯に指定されているこのまちの、冬の配達は過酷です。道も家も深い雪で覆われます。顔を上げられないほどの吹雪の中、徒歩での配達は、通常の倍の時間と体力を要するといいます。メイトさんを始めて13年目のベテラン、長谷部正子さんは冬の3ヶ月で、長靴を3足も履きつぶすそうです。玄関の位置を高くしている家が多く、凍った階段で転んでしまうメイトさんもいるとか。

この時期はさぞかしつらいだろう、と、冬の配達はイヤではありませんか、と、メイトさん達にたずねました。すると、「そんなことはありません」と、意外にも明るい返事。地元のかたのために、プロの仕事をしている、という自信と充実感が、彼らの表情に表れているようでした。

このまちのDM便にとって、欠かせない存在。

ヤマト運輸山形主管支店 サービスセンター 永山直樹センター長は、「12年以上もの長い間、つねに安定した品質で仕事をしてもらっています。大変、感謝しています」と、フラワーコート米沢の仕事を高く評価します。

「私たちのエリアは、米沢市の約4分の1を占めますが、そのほとんどの DM 便をこちらで担当してもらっています。安心しておまかせできますし、本当に助かっています」と話すのは、ヤマト運輸山形主管支店 米沢西支店 水野浩一支店長。この地域に欠かせない存在だと語ります。

フラワーコート米沢の確認事項には、こんな取り組みもあります。ひとり暮らしのお年寄りの家では、必ず、「おはようございます、メール便です」と声をかけて 置いてくること。地域の安全を考えて、自主的に始めた活動だそうです。

お年寄りの見守り、という、地域の一員としての役割を、DM 便配達をとおして、メイトさん達が、しっかりと担っていたのです。

上杉神社を背に、ペアを組んで配達中。左の長谷部正子さんは、スタート時からのメンバーで、リーダー的な存在。「最初は不安でしたが、今は配達するのが楽しい」。 右の舟山陽さんは、三輪自転車に重い DM 便をのせてサポート。「この仕事は自分にあっているので、続けたいです」。

嵐田洋一さん。「 DM 便を始めてから、よく眠れるようになりました。65歳までがんばりたい」。

小杉恭道さん。「一生懸命やっているね、と言ってもらえるとありがたいです」。

慣れた手つきで DM 便を入れていく鈴木幸平さん。

車内で相談しながら配達をする、左の柏倉綱裕さんと、右の吉田智子さん。

DM 便を手渡しする吉田さん。いつも笑顔で挨拶をします。

車を運転しながら、ひとりで配達をする、ベテランの鈴木幸平さん。担当地域の配達は、ほぼすべて把握しているといいます。「地元のみなさんに、いつも助けてもらっています」。

真宗大谷派、養善寺の住職でもある、フラワーコート米沢の赤尾雷水理事長、施設長。「 DM 便配達で感じるのは、メイトさんの変化です。生活が規則正しくなって、健康的になります。会話が苦手だった人も、あいさつができるようになりました。続けてよかったと思います」。

田園地帯を、車に乗ってペアで配達。左の柏倉綱裕さんは運転も担当。「ありがとうと言われると、始めてよかったと思います」。右の吉田智子さんは、メイト歴、約10年。「雪の日は転ぶこともあるけれど、配達は楽しい」。

前列左より、フラワーコート米沢、柏倉綱裕さん。鈴木幸平さん。吉田智子さん。長谷部正子さん。職員、小林 カルミナ エヴァンゲリスタさん。赤尾慶子理事。後列左より、職員、情野由典さん。赤尾雷水理事長、施設長、小杉恭道さん。舟山陽さん。ヤマト運輸山形主管支店、米沢西支店、水野浩一支店長。ヤマト運輸山形主管支店、サービスセンター、永山直樹センター長。ヤマト福祉財団東北支部、小原守事務長。

山形主管支店 米沢広幡センター。

面積135平方キロメートル、人口20,497人、世帯数7,886世帯。

特定非営利活動法人、聲明会。指定障害者福祉サービス事業所フラワーコート米沢。

就労継続支援 B 型事業所。2006年から、クロネコメール便( DM 便)配達を開始。1日 配達 冊数、約600冊。他の活動は、縫製会社からの内職、寺院用具の組み立てなど。

障害者のクロネコ DM 便配達事業。

参入施設数、318施設。従事者数 1,630人。2018年5月現在。

お問い合わせは、公益財団法人ヤマト福祉財団、DM 便担当。

電話 03-3248-0691、ファクス 03-3542-5165、http://www.yamato-fukushi.jp/.

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコDM便配達へと変わりました。

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