沖縄に適した事業の具現化へ。みっつの分科会で、次の目標を設定。
主催者挨拶で、やまうち理事長は、「障害のあるかたが、地域のかたに必要とされる仕事に従事し、より多くの収入を得て、生活を楽しむことができる。そんな、みんなが幸せになれる社会の実現に向けた深堀を、力を合わせて進めてください」と伝えました。
シンポジウムでは、障害のあるかたの働く場の拡大や、給料増額で実績を上げている3名が、独自の取り組み方法を報告しました。コーディネーターは、時流講座を講演された、きょうされん、専務理事の藤井克徳氏です。
最初に登壇した、株式会社 ゆにばいしがき、代表取締役、つかやま わたる氏は、平成13年に石垣じまへユーターン。「埼玉県で知的障害者を支援していましたが、石垣じまは状況がまったく違います。それでも地域や障害のあるかた、ひとりひとりの個性、強みを活かせるように仕事づくり、仕掛けづくりに取り組んできました」。
地元のお店や企業と協力体制を築くことで、サンシンが得意なかたは居酒屋に、発達障害の高校生は児童の学習支援にと、さまざまな形で仕事づくりを支援。「当事者も支援者になれる、そんな環境が、着実に整いつつあります。さらに、全国の、い業種とのつながりを持ち、より仕事の輪を広げていく考えです」。
障害者アイティーサポート、おきなわの管理者、仲根 建作氏は、車椅子ユーザーの当事者です。
「私たち、移動困難者を含め、働く上ですべての障害者に、アイティー支援は欠かせないものです。そこで、いままで沖縄になかったアイティーサポート事業をはじめようと、法人を立ち上げました」。
仲根氏は、アウトリーチで相談に乗り、機器の貸し出しから、セッティングや、使いかたなども総合的に支援。テレワークも推進しています。「どんなに障害が重いかたでも社会参加がしたい、仕事をしたいと願っています。その思いに応えていくためにも頑張り続けます」。
合同会社ソルファコミュニティ、 Team Village 、代表社員、玉城すぐる氏は、農福連携をキーワードに掲げています。「人手不足で悩む農家と、働き手がたくさんいる福祉施設。互いの力を活かし合えば、地域活性化にもつながります」。農業は、水やりや、種蒔などで作業を細分化でき、それぞれに合う仕事も見つかると解説。
「私たちの農地は約7000坪あります。売り上げ拡大に、商品価値の高い自然栽培で野菜を作ったり、お菓子屋さんの出資を得て、バニラビーンズの栽培もはじめました。技術面や、販売先開拓など、いろいろな課題はありますが、地元のかたと力を合わせ、ひとつひとつ解決しています」。
午後には沖縄県政策参与、株式会社、照正組、代表取締役会長のてるやよしみ氏が、特別講演をおこない、戦前、戦中、戦後、そして現在に至る、沖縄と、障害者の歴史を紐解きました。
「沖縄の平和問題の原点は、障害者問題でもあります。平和とは、たんに戦争がないということではありません。小さな子どもから、お年寄りまで、命あるすべての者の豊かな生活が保障されてこその平和です。いま私は、障害者の働く農場経営を計画しています。弱者が守られる地域社会を実現できるか否かは、福祉に関わるみなさんの手に委ねられているのです」。
その後は、共に語ろう、これからの10年、をテーマに、みっつの分科会で現在、進めている取り組みを検討。実際に動き出すことで見えてきた課題の解決策を、それぞれ深堀していきました。