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巻頭企画:新型コロナウイルスで障害者施設は今。

恐いけど、僕たち負けないよ。26施設に電話で緊急取材をしました。

新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態宣言か、ヤマト福祉財団では26ヵ所の施設に電話取材で状況をお伺いしました。

つうしょの自粛を行ったところは6施設、停止措置をとったところは2施設。利用者さんが不安を訴え在宅支援をおこなっているところもありますが、大半の施設は通常通りに開所を続けています。しかし、作業の仕事量、売上となるとそうはいきません。コロナかをどう乗り切るか、みなさんの声をお届けします。

有限会社、ドアーズ。

幸運に恵まれ業績は好調。

鳥取県では感染者が少なかったため、ドアーズとしては落ち着いた雰囲気で仕事ができています。今回の新型コロナウイルスの影響により、在宅者が増え、家庭でペットと過ごす時間が増えたことにより、受注は3割増となりました。

また、操業停止となった地元企業の社員をアルバイトの形で受け入れて、地域貢献もおこなうことができています。

社会福祉法人、はらから福祉会。

地域や取引先と築いた関係に助けられる。

7事業所のうち、イベントの中止や、取引先の休業で、4事業所が2から4割の売上減、3事業所が売上増。ネット注文や、ふるさと納税が増え、牛タンは通常の8倍、プロテイン製造をおこなう事業所も2から3倍の受注がありました。法人全体としては黒字です。

毎月1万枚を使うマスクで困ったとき、真っ先に連絡を下さった取引先、給食がなくても、クリエイト柴田のパンが食べたい、と購入していただいたお客さまもいます。今まで、地域の方や、取引先と地道な関係を築いてきたこと、ひとつひとつ、職場や、衛生環境を整えてきたこと、お客さまに支持される美味しい食品を作り続けてきたことが、コロナかの大変なときに生きていると思います。

社会福祉法人、みなと福祉会。

ネット販売で、注文が10倍増。

コロナの影響で在宅時間が増えたことにより、ネット注文が増えています。中華まんは、昨年の10倍の注文が全国から殺到しました。4月からは、平均給料も3万円を超えることができました。

利用者さんには、自宅待機希望者以外は、通常勤務をお願いしています。行動制限もあって、不自由な思いをさせているので、楽しみを増やす努力をしたいと思います。

エヌピーオー法人、カムイ大雪バリアフリー研究所、チーム紅蓮。

Facebook で発信、仕事の紹介もいただいています。

学校や、スポーツ関連、飲食店などのイベントで使う、オリジナルのプリントTシャツや、タオル、横断幕や、プレートのデザイン、制作を主な事業としている、チーム紅蓮。2018年度、当財団の助成で、刺繍ミシン、UV プリンター、自動プレス機を整備し、さらに売上を拡大していたところでした。ところが、新型コロナ感染拡大により、春のイベントがことごとくキャンセルになり、売上は半分に。車椅子でのバリアフリー観光ツアーも、観光客がいないので、車椅子レンタルもできません。

しかし、施設長の五十嵐正幸さんは前向きです。昨年受注した、高速道路のサービスエリアに、ひまわりを植える事業を今年も受注、地元のバス会社の制服に、マスクがセットになったため、そのマスク制作も受注しました。「Facebookで、利用者さんも、事業所の様子を発信することで、ネットワークが広がり、仕事の紹介や、情報もいただいています。年度の後半に巻き返せるよう、新規事業や、助成金に応募して、持ちこたえます」と、五十嵐施設長が応えてくださいました。

エヌピーオー法人、クレエール。

思わぬことから営業自粛に。

子ども食堂 カフェは、小学校の休校により、2月以降利用者が増えていましたが、4月に入って、一般市民より、営業をとがめる電話が入り、県や市、保健所にも通報され、自粛することになりました。お弁当事業は県庁を中心に、注文を受けて配達していましたが、一般の料理店や、居酒屋の弁当の寄付提供に押されて、売れ残ることが多く、こちらもやむなく中止。売上は7わり減です。

利用者さんと職員の賃金を守るため、持続化給付金を申請し、2ヵ所に分かれていた事業所を1ヵ所に集めることで、家賃を節約します。自粛中の5月31日までに引っ越し、6月1日から再スタートを切りました。

社会福祉法人、かしのみ福祉会。

ネット販売の重要性に気づく。

ドライフルーツや、クラッシュゼリーは、デパートや、観光地など、今までの販路がなくなってしまいました。そこで、インスタグラムを始めるなど、ネット販売にも力を入れたことで、4月は昨年同月比で、3わり減にとどめることができました。

仕事を確保するために、農家や、企業に声をかけ、コンテナの洗浄や、ブドウのかさかけ、清掃の仕事をいただいています。コロナ以前の売上に届かなくても、忙しく仕事に取り組んでいます。ドライフルーツだけでなく、探して動いていくことで仕事がある、と気づけたことは収穫です。

社会福祉法人、ひびき福祉会。

後援会や、ご家族にも協力を。

マドレーヌや、フィナンシェなど、ホテルのスイーツを製造する、ハイワーク ひびき、バカ美味餃子など、中華点心の製造販売をおこなう、リーブひびきなど、B型事業所では、ホテルのパーティー、イベントの中止、販売店の閉鎖、休業などにより、売上は6割り減になります。これを解消するため、ひびき福祉会で扱う商品のネット販売に力を入れました。焼き菓子の頒布会では、家族などにもご協力いただき、後援会活動で積極的に物品販売をおこないました。

株式会社、ゆにばいしがき。

コロナを理由に離職させない、減給しない。

沖縄県石垣島で、いつつの事業所を運営する、ゆにばいしがきは、約100名の利用者さんが関わっています。石垣市緊急事態宣言の発令にともない、島間の移動禁止、もちろん観光客もゼロとなりました。B型事業所は自粛となり在宅支援に、子ども居場所事業も学校の休校にあわせて休所とし、家庭にお弁当を届けるようにしました。農作業を中心としている事業所は、畑での作業や、パインの箱詰めなどで作業を続けましたが、観光ショップや、居酒屋は、観光客の来島停止にともない、休業となり、売上は昨年同月比で9割り減です。

代表の津嘉山さんは、「観光が復活するのは3年くらいかかるかもしれません。農産加工品を生産しても、うちの場合は、観光とセットなので販売できない。中小企業が多い沖縄では、すでに倒産も始まっています。しかし、コロナを理由に離職させない、給料の減給をしない、今こそ、人と人との距離を大切に、支え合うことをみんなに伝えています」と、話しています。

社会福祉法人、エルム福祉会、hikari no cafe。

いつもと変わらない気持ちで。

新幹線の那須塩原駅からバスで約30分、バス停から10分ほど歩くと広がる田園風景の中に、旧蜂巣小学校があります。小学校をリノベーションして、カフェと、パンや、スイーツの販売をおこなう、hikari no cafe 蜂巣小珈琲店。当財団の助成で、家庭科室をパン、スイーツ 工房に改修し、利用者さんも増え、順調に売上を伸ばしていました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ここにも襲ってきました。昨年の同月比でカフェの売上8割り減、パン、スイーツも、カフェにお客さまがいらっしゃらないので、5割り減となりました。「カフェの、A型利用者は半日出勤、半日有給で、100パーセントの給料を確保しましたが、パン、スイーツ工房の、B型、就労移行の利用者の給料も減らないよう、売上を挽回することで解決しようと考えました」と、川上聖子施設長は話します。法人内の販売をはじめ、SNS を使い、販売を強化。2種類のテイクアウトランチも販売しました。特に、変更した、ふるさと納税の返礼品と、大田原市庁舎でのパン、スイーツ販売は好調です。

売上も、お客さまも減りましたが、職員はいつもと変わらない、という意識で、今、できることを精一杯やろうと、利用者さんに伝えています。

エヌピーオー法人、五島あすなろ会、五島あすなろ作業所、大志。

ネット販売促進と、マスク製作。

長崎県の福江島で、伝統の手延べうどんを製造し、うどん屋を営む、五島あすなろ作業所。福江島ではコロナ感染者はゼロですが、感染が広まると、とうないでの対応が難しく、入島が制限されている状況です。うどんの卸先の飲食店や、ホテルなども休業で、観光客の売上が見込めず、受注は激減。巣ごもり需要を見込み、ネット販売に力をいれて、売上対策を講じています。

うどん製造が減り、余力が生まれ、縫製工場で働いていた利用者さんの経験を活かして、みんなでマスク作りを学び、とうないの衣料店などへ委託販売を行っています。

エヌピーオー法人、農楽郷、ここ カラダ。

コロナは農業の強さと、地方の価値を知る機会。

ニンニクの販売は、中間業者を通さず、直接、首都圏の餃子専門業者と安定した取引をしているため、新型コロナウイルス感染拡大のこの時期でも、0.5割り減で済んでいます。

職員や、利用者さんには、感染予防の免疫力を高め、商品の効能を知るために、自社製の黒ニンニクを、毎月500グラム配布して、食べてもらっています。そのせいもあり、みんな元気に、普段通り農業に従事。

コロナ問題は大変な試練ですが、農業の強さと、地方の価値を改めて知る、良い機会になったのではないかと思います。

エヌピーオー法人、しょうみょう会、フラワーコート米沢。

空き時間に寺院用具の組み立て作業を。

クロネコ DM 便は、5月に入ってから配達量が減りましたが、マスクを着用し、いつも通り、元気に配達しています。

縫製会社からの内職は、その会社自体が休みとなり、仕事がなくなりました。そこで空いた時間を利用して、寺院用具の作成、組み立て作業を行っています。すぐには販売できなくとも、将来の売り出しに備えた作り置きとするつもりです。

社会福祉法人、あいせい会、ワークセンターつばき。

マスク、手洗いの徹底で、クロネコ DM 便配達。

ゴールデンウィーク明けには、クロネコ DM 便の量がだいぶ減りましたが、その後は元に戻りつつあります。配達時には、国から配布された、洗えるマスクを着用し、手洗いを徹底して、気を付けて配達しています。

農作業は外での自然相手の仕事なので、コロナの影響はあまり受けませんでした。

事業所に大きな変化もなく、普段通りに活動できていることは良かったと思います。

合同会社、ロイヤルウォッシュ。

今は、耐えるしかない。

「ともかく耐えるしかありません」と、話す、合同会社ロイヤルウォッシュの宮迫奈緒美副代表。ロイヤルウォッシュは、豊後大野市を拠点に、別府から湯布院、県を超えて黒川温泉まで、約170施設のホテル、旅館のシーツ、タオル、浴衣など、おんせん県おおいた を陰で支える、リネンを中心としたクリーニング業を行っています。新型コロナウイルス感染拡大で、観光地のホテルは営業自粛中のため、仕事としているクリーニングも止まってしまいました。洗濯量は、いちにち約2万枚、重さにして10トンあったものが、今は6割り以上減っています。

23名の、A型利用者さんに支給する平均月給が9万円を超えるロイヤルウォッシュに、当財団では、さむえなどの畳みを自動化する、ガウンフォルダーの購入費用を助成しました。ホテルや、旅館のリネンに加え、増えてきた高齢者施設の私物クリーニングに人員を配置し、さらなる給料アップを目指していたからです。給料は、国の雇用調整金を利用し、現状を乗り越えようと考えていますが、未だ対応が遅れています。

時間がかかるかもしれませんが、観光業の復活を待ちます。

社会福祉法人、いわて共生会、あけぼの。

元気にクロネコ DM 便配達。

クロネコ DM 便の配達量は2から3割り、減りました。冊数は減ったものの、利用者さんは健康観察をおこないながら、いつもと変わらず、元気に配達しています。最近は、少しずつ配達冊数が増えてきました。

また、イベントで、キムチなど、加工食品を販売していましたが、開催できないため、売上が減らないよう、花の栽培の手伝いなど、他の仕事にも取り組んでいます。

エヌピーオー法人、やすらぎ、やすらぎ作業所。

レモン事業は順調、新しい休憩室も完成。

カフェの来客は半減しましたが、テイクアウトで何とか1割り減に抑えられました。下請け作業は、近隣の作業所が閉所したので、1割増。レモン事業は順調です。ゴールデンウィークまでがピークで、取扱量は、昨年より少し多く、大変忙しい時間でした。

新しい休憩室が完成して、そこで休むことができるようになりました。今年中には、建物の改築も予定しています。

社会福祉法人、ゆずりは会、障害福祉サービス事業所、菜の花。

農業は外で元気に作業。

タマネギを JA に出荷しているのですが、コロナの影響で、価格が非常に安くなり、売上は5割り減です。販路開拓の努力はしていますが、なかなか難しい。

しかし、事業所全体としては、あまり悪い方への雰囲気の変化もなく、過ごすことができています。農作業は活動自粛を求められないので、利用者、職員ともに、外で元気に活動できるのが大きなメリットです。

エヌピーオー法人、生活自立研究会、富浦作業所。

第2は への備えを。

各種イベントが皆無となり、売上は6から7割り、減りました。個人のお客さまが頼りですが、その他には打つ手がありません。

第2は の感染拡大を防ぐためには、正確な情報を確保することと、必要な衛生用品、マスク、アルコール消毒液等の備えを万全にすることと、新型コロナウイルスに対抗するための、人々の総合連帯力が必要になると思われます。

社会福祉法人、若竹福祉会。

マスク製作で、明るい兆しが。

レストランは一時臨時休業し、弁当は販売先の学校が休校し、食数が激減、観光客が使用するレンタカーのチャイルドシート洗浄はほとんど無く、売上は、昨年同月比、3割り減となりました。

対策は、レストランのスペースを活用したマスク製作。近隣に声がけし、寄付された生地を材料にしました。このマスクを、近隣自治会の販促会で販売したところ、ある企業から大量受注し、市内の福祉施設と協働製作し、納品。その企業から、地元の福祉施設に工場の仕事を手伝って欲しいと申し出があり、明るい兆しが見えています。

社会福祉法人、新潟市中央福祉会、ワークセンターひがし。

施設外就労対策、園芸も始めました。

ウエス加工の材料が激減して、受注は8割り減。材料になる、医療現場で使われた浴衣や、タオルが、コロナ対策ですべて廃棄処分となり、旅館のリネン類は、観光客がいないので、出回りません。公共事業の施設外就労を増やす交渉をし、増収対策をしています。利用者さんを元気づけるため、事業所の花壇で園芸を始めました。収穫したら、調理実習をやろう、と盛り上がっています。

社会福祉法人、三木市社会福祉協議会、はばたきの丘。

良い環境で仕事ができて、受注1割増。

昨年度は、利用者さんの人員変更と、日頃の育成支援が実を結び、生産能力、質ともに高める事ができました。コロナかの中でも、単価の高い仕事を受注して、昨年同月比で、1割増となっています。リーダー格の利用者さんも増え、良い環境で仕事ができていることも要因です。休所しなかったことで、利用者さんも働く意欲を見せ、検温も進んでするようになったのは良かった点です。

社会福祉法人、福成会、チャレンジ コヤリバ。

受注量を減らさないために。

出勤者を2割の6名に抑えるため、利用者さんには、自宅待機、時間短縮、日数削減などをおこなってもらいました。そのため、受注量は3から4割り減。利用者さんのつうしょ人数減を補い、受注量を減らさないために、職員が作業を分担しました。また、自宅待機中の利用者さんの状況把握のために、チェックシートを作成。職員が電話で、本人の体調や、精神状態を確認する材料にしています。

エヌピーオー法人、バイタルフレンド マザーワート。

パン販売は道の駅で好調。

4月に市内で感染者が出たため、昨年同月比でレストランは6から7割り減、下請けの仕事はなくなってしまいました。

しかし、パンの販売先である式場や、幼稚園が休業のため激減したものの、道の駅での販売が大幅に増えたため、5割増と好調で、パン事業は、利用者さんに、これまで通りの給料が払えています。

また、コロナ対策の衛生用品を販売する新事業も、企画しているところです。

社会福祉法人、武蔵野千川福祉会、チャレンジャー。

前向きな気持ちで、巻き返します。

不動産業の DM を中心に、広告の自粛がおこなわれ、受注は3割り減となり、作業量にあわせて、就業時間を短縮しました。マスクの臨時発送業務を受注して、解除後は、さらに巻き返しを図ります。

利用者、職員とも、コロナかでも開所し、事業を続けられた事に感謝し、前向きな雰囲気があります。新生活様式での、ゆったり食べる昼ご飯は好評です。

エヌピーオー法人、美作自立支援センター。

チームを越えてみんなで農業、農地拡大を。

美作自立支援センターは、設立当初からの繊維加工に加え、現在、しゅ事業となっている自動車部品検査、農業と仕事の幅を広げてきました。月額平均工賃は12万円以上。将来を見据え、農業用の田植機や、コンバイン、脱穀機などを、当財団の助成で揃えた矢先のことでした。新型コロナウイルスの影響で、検査部門の受注が減少してしまい、事業所の売上が5割近く落ち込むこととなりました。工賃は内部留保を取り崩して、対応しています。

しかし、悪いことばかりではありません。農業チームは、忙しいこの時期に他事業チームの利用者さんや、職員にも作業を手伝ってもらい、4月、5月の売上が前年度比で10パーセント近く上昇するという、嬉しい結果となりました。また、農作業を通じ、普段の部門を越えた交流も生まれてきました。

社会福祉法人、あおぞら福祉会、フォルム,ののシティ。

プラス思考で整理整頓。

カフェの閉店などにより、売上は5割り減となりました。テイクアウトのナポリタンや、パフェを始める予定です。

状況は厳しいですが、そこを逆にプラスにとらえて、前に進みます。空いた時間で、事業所内を整理整頓できました。利用者さんの送迎も、ご家族の協力や、送迎車の2巡回で、3密化を避けることができ、徐々に平常に向かっています。

奨学生も負けていません。

全国の大学で始まったオンライン授業。奨学生も例外ではありません。事務局では、4月1日現在、在籍している29名の奨学生にも、緊急聞き取り調査を実施。浮かび上がってきたのは、大学の協力も得ながら、不自由な環境で勉学に励む姿でした。ヤマト福祉財団では、29名の奨学生に、10万円の緊急見舞金を支給。さらに、点字翻訳機など、ハード、ソフトを買い替える学生2名には、特別支給金、10万円を加算しました。

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