より多くのかたに受賞の喜びを。贈呈式の様子をネットで配信。
12月3日、今年も12月の障害者週間に、ヤマト福祉財団おぐら まさお賞、贈呈式を開催しました。会場は恒例の東京都、日本工業倶楽部ですが、コロナ カ にあり、受賞者や、推薦者など、限られたかただけをお招きしての贈呈式です。
「本賞をコロナ カ でも、無事に開催できたことをうれしく思います。今回は、ライブ配信もしておりますので、画面の向こうから、地元のみなさまも一緒に、おふたりをご祝福ください」と、ヤマウチ理事長が挨拶をしました。
選考委員を代表し、元環境事務次官の渡辺 おさむ委員は、「地元のかたや、企業と力を合わせ、障害のあるかたが安定して暮らせる環境を築き、地域社会の活性化にも貢献される、おふたりの功績を高く評価しています」と、伝えました。
地域のかたたちを動かしたのは、奥西さんの純真な思い。
奥西さんは、大学卒業後、三重県伊賀市の障害児入所施設に勤めました。
当時、障害児施設に入った子どもたちが、大人になってもそのまま、施設で一生を過ごすことに憤りを感じます。
「普通に暮らすこととはどういうことなんだろう。本当にこれで良いのか」と、考えていた奥西さんに声をかけたのが、推薦者の、社会福祉法人、伊賀市社会福祉協議会の平井 俊圭常務理事です。平井さんは、「子どもたちが学校卒業後にかよえる作業所を一緒に創ろう。そこをあなたに任せたい」と話しました。
奥西さんはまだ24歳。お金も人脈もありませんが、子どもたちのために走り出します。アルバイトをしながら、保護者と寄付を集め、2年をかけて、小規模作業所を開設。すると、利用者さんは次々と集まり、やがて40人近くに。奥西さんは、「ボランティアだけでは限界。法人化したい、と市にお願いしたのですが、簡単にはいきません。それが好転したきっかけは、小学校での講演でした。児童たちが、障害のある人たちを助けてあげて、と署名を集めてくれたのです」と、振り返ります。
その声に共鳴したのが、元伊賀市長、現理事長の今岡むつゆきさんです。「市長に当選したら、最初の仕事は、法人化の実現だ」と話し、陰で、日なたで応援を続けます。「社会福祉法人は、あなたたちのためだけにあるのではない。困っている地域のみんなのためにあるのです、と、話してくれた、その言葉は忘れられません」と、奥西さん。
もうひとりの恩人が、法人化資金を出資された、前田 ただしさんです。「このお金は、施設を建てるためではなく、地域に役立つ人材を育てるために差し上げます。どうか、子どもたちの未来のために活かしてください、と、8000万円も寄付をいただいたんです」。前田さんには、初代理事長になっていただき、いがこういくかいの名称も、お名前からいただいています。
「現在は五つの事業所を開設。大手企業との施設外就労も実現しています。そのひたむきな人柄に触れると、だれもが力になりたくなるんですよ」と、平井さんは紹介しました。
無認可作業所の開設も、法人化も、現役教師でありながら実現。
約30年前、佐藤さんは、北海道白老町で、ことばの教室の担任として、ろうあや、知的障害のある子どもたちの教鞭をとっていました。保護者は親の会を作り、子どもの将来を守る環境改善を学校に訴えます。「でも、私たちの声に、だれも耳を傾けてくれない。先生も、やがてはここを去るのでしょう」。その言葉に、「一過性の対応ではいけない。継続的に支援することこそ大切、と気づいたのです」と、佐藤さん。
希望を失った保護者が親の会を解散すると聞けば、無償で会を引き継ぎ、不景気で職を失った障害のあるかたたちが町に戻って来ると、無認可の共同作業所も開設します。驚きなのは、これをすべて現役教師を続けながらおこなわれて来たことです。
「次に法人化を目指して奔走されるのですが、その寄付集めに、私にも声がかかりました」と、推薦者の戸田やすひこ 白老町長。「とにかく、障害のあるかたのために、と、思い立てば、施設外就労先の拡大、グループ ホーム開設など、猪突猛進で走り出してしまう。そんな姿を見ていると、周りも、つい協力したくなるんです。本人は60歳で辞めると言っていましたが、もう70歳を過ぎていますし、きっと一生、挑戦し続けるでしょう(笑い)。私たちも、ずっと応援し続けていきますよ」と、伝えました。
そんな おふたりの活動をビデオ上映。全国の視聴者にもネットで届けました。
クライマックスは、ヤマウチ理事長から、おふたりに、正賞の、あめのみや あつし氏作のブロンズ像、愛、と、賞状、副賞、賞金100万円の贈呈です。奥西さんと一緒に仕事をし、施設外就労の生みの親である福本明子さん、佐藤さんを支え続ける令夫人には花束を贈りました。続いて、3名の来賓より祝辞をいただいたあと、両受賞者の喜びのスピーチへ。画面を通して、地元で見守る多くの関係者に、感謝の言葉を伝えるおふたりからは、周囲のかたを強くひき付ける、その人柄がにじみ出ていました。