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農福連携実践塾、見学勉強会 in 東北。

形式に,はまったことをやっていくのではなく、臨機応変に対応する力を。

農福連携実践塾の見学勉強会 in 東北を、5月21日と22日で実施しました。当初は、郡山から、山形の塾生施設を回る予定でしたが、コロナ カのため、予定を変更。参加人数を絞り、福島県泉崎村の塾長施設である、社会福祉法人、こころんの、こころんファーム、こころんファーム養鶏場、そして、塾生の、郡山コスモス会の農場を見学というプログラムです。

こころんファーム。地域の中で、困ったときはお互い様の精神。

こころんファームでは、無農薬、化学肥料を使わない野菜づくりを行っています。カフェとショップを併設する、こころやの周りに、1.5ヘクタールの畑、田んぼが点在。まず、葉タマネギの出荷準備の作業を見学しました。葉タマネギは、タマネギの成長途中で、葉ごと収穫するもので、青々とした柔らかい葉と、小さなタマネギが味わえます。こころんファームでは、春と夏の端境期の収入とするために、今年からチャレンジしている作業で、売上も上々だそうです。次に、マルチを張り終わったズッキーニ畑で、塾生も、苗の植え付けを手伝いました。

ズッキーニ畑から坂道をあがっていくと、利用者の小野崎さんが田植機を動かし、田植えを行っていました。小野崎さんは、こころんにきて12年のベテランです。仕事に打ち込みすぎて、疲れて、動けなくなったりしたこともありましたが、今では、こころんのスタッフになることを目指している、と、話してくださいました。

こころんの周辺は、高齢化が進み、こころんに農地を委託する農家が増えています。農地を借り、日中は利用者が作業をしますが、早朝に行う必要がある収穫には、近所の元農家のベテランがパートとして活躍する仕組みも作ってきました。困ったときはお互い様の精神が、互いにウィンウィンの関係をつくり、地域との信頼関係を深いものにしています。

こころんファーム。

スタッフを目指すという、利用者の小野崎さん。

葉タマネギの出荷に忙しい利用者さん。

塾生も、ズッキーニの苗を植えるお手伝いをしました。

こころんファームだけでなく、近隣の農家さんの野菜や、加工品などの販売のほか、店内のカフェでランチも楽しめる、直売カフェ、こころや。

郡山コスモス会。観光農園を目指して整備中。

泉崎村のこころんから、昨年から本格的に農業をはじめた塾生である、郡山コスモス会の農場に移動しました。郡山市の西部に位置する農場の広さは1ヘクタール。もとナシ園だった耕作放棄地を整備しながら、昨年はブルーベリーの苗木を180本植え、さらに100本植える予定です。ハウスにはブドウの苗が植えられたばかりでした。

高台にあるこの農場は、晴れていれば、北にあだたらやま、南西に那須連峰を臨むことができます。このロケーションを活かして、休憩所などを整備し、観光農園として整備していきたいという目標があります。熊田塾長も、これには大賛成。1ヘクタールのうち、まだ未開拓エリアや、未定植エリアがありますが、そこをどのように活かしていくかも含めて、今後の展開が楽しみです。塾生の水野さんは、「栽培物の選定や、販路を拡大し、工賃アップにつなげたい」と話しています。

郡山コスモス会。

ロケーションが最高な場所で、観光農園を目指す、郡山コスモス会。

昨年はブルーベリーを180本、定植。

ハウスに植えたばかりのブドウの苗。

試験的に植えたもち麦。

森の中のこころんファーム養鶏場。今は地域から感謝をされて。

翌日は、こころんファーム養鶏場を見学。周りが森に囲まれた、約3000平方メートルの敷地に、310平方メートルの鶏舎が建つ、養鶏には申し分のない環境です。

「当初は、匂いや、鶏の鳴き声、汚物などの懸念で、地域の反対があり、なかなか良い場所が見つかりませんでした」と、立ち上げの頃を話す熊田塾長。

ようやく見つかったこの場所は、周りに集落もなく、森に囲まれているので、音も匂いもしません。今は、卵も買ってもらえたり、地域のかたから感謝されているといいます。

鶏舎に10平方メートルあたり10羽が普通と言われているところ、ここでは10平方メートルあたり5羽を目安に、約1500羽が平飼いで育てられ、鶏が自由に動き回っています。

飼料は、こころんファーム養鶏場のオリジナルで、地元のお米をしゅ原料に、トウモロコシ、蛎殻など16種類を配合し、水は深さ200メートルの地下水を汲み上げて使用しています。ストレスなく、元気いっぱいの鶏たちが生む卵は、1日600から800個。美しいオレンジ色としっかりとした黄身は、とろりとやさしい味わいです。

塾生の長倉さんは、「季節によって売上に大きな差があることが大きな悩み。クリスマスなど、売れる月にあわせて鶏を増やすと、そうでない月に卵が余って、安く売ることになる」と言います。販売先をどう広げていくかが課題です。

最後に、熊田塾長は、「コロナ カのこの勉強会も、実施できるかどうか不安なものがありました。今回、特に思ったのは、ただ形式に,はまったことをやっていく時代ではないということ。臨機応変に対応する力が大事です。その場の変化に対応できる人材に育っていただきたい」と、塾生にメッセージをおくりました。

森の中のこころんファーム養鶏場。

卵の収穫を行う塾生。産みたての卵に、「あったかい」と驚きの声。

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