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社会福祉法人シンフォニー、理事長、村上 和子。

動いて得られた、地域の信頼。

1952年生まれ。1974年、大分大学教育学部卒業後、臨時講師を経て、8年間、公立学校に勤務する。1991年、まちで働く原点となる、ネバーランド1号店をオープン。1998年、社会福祉法人シンフォニーを設立。理事長に就任し、現在に至る。休日はトレッキングでエネルギー チャージ。

軽トラックに乗ったお客様が到着された。

公民館で地域住民に配布する花苗を受け取るためだ。

「わあ、お久しぶりです。お元気でしたか」。

「ああ、みんなも元気かい。コロナでずっと会えんで、もう、2年くらい経つなあ。ほんとに久しぶりやなあ」。

懐かしさが先に立ち、肝心の花苗のことは忘れたかのように、会話が止まらなかった。

気づくと、農業担当の利用者さんが、次々と、花苗が入ったコンテナを、軽トラのそばまで運んできてくれていた。

土づくり、種まき、水やり、ポット移植など、毎日、毎日、コツコツと積み重ねてきたからこそ、大勢の人に喜んでもらえる花苗に成長している。

トラックに積み終えたときに、地区のかたが話し始めた。

「昔、校区運動会の朝、雨が降ったことがあったなあ。あの時は、グラウンドに池みたいな水たまりがいっぱいできて、これはもう駄目だ、運動会は中止だ、と思ったなぁ。そうしたら、シンフォニーのみんなが何十人も来て、バケツと雑巾で、グラウンドの水を吸い取ってくれて。今でも忘れんよ。本当に有り難かったなあ」と。

すると、もうひとりも、「本当にそうや。シンフォニーのみんなの頑張りで、運動会ができたんや。校区のみんなは、今でも忘れず感謝しちょる」と、話しながら、何度も頷いていた。

働くことで労働の対価を得ることは非常に重要なことであるが、もちろん、この場合は対価を期待したものではない。それは、私たち自身も運動会の参加者であり、この日のために一生懸命に準備をしてきたことや、ここに集まっている2000人の住民の楽しみを、何とか実現したいとの思いが、利用者さんや職員の体を動かしたのだろう。

適切な額の対価を求めておこなう労働と、金銭ではない対価があとから得られる労働、どちらも、共生社会の実現には欠かせない。

ところで、働くという文字は、人が動く、と書くことに今、気づいた。障害のあるかたが、ここで働きたいと願う就職先と出会えるよう、これからも動いていきたい。

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