悪い豆は人の手で取り除く。1年で作業の早さは3倍に成長。
ところざわサクラタウンが一昨年オープンし、脚光を浴びる東所沢。人気スポットからほど近い住宅街に構えた、角川クラフト Roastery & Cafe が、30センチ四方の木枠いっぱいに広げた珈琲豆に、キャップとマスクの隙間から、高橋さんの鋭い視線が注がれます。小石などの異物や、品質の劣る豆を丁寧に取り除くことが、味わいの決定的な差につながる重要な作業です。
「いつも一番、集中して作業しているのが高橋さん。豆の種類によって、大小があったり、割れてしまっているものがあったりするのですが、作業のえり好みもしないし、脇目も振らずで、本当にすごいです」と、取締役の河田聡さん。
ものづくり事業のひとつとして、角川クラフトでは、南米、中米、アジア、アフリカなどのコーヒーの生豆を世界中から仕入れ、焙煎したうえで販売しています。豆は焙煎の前後に2回、高橋さんたちによって厳しく選別されてから商品化。ドリップバッグなどに加工、封入して完成です。その商品は、ところざわサクラタウン内のオフィスや、レストラン、カフェで提供されているほか、通信販売でも楽しむことができます。
高橋さんの採用を、当初は難しいと考えていたという河田さん。ご家族以外と話すのを苦手としていた高橋さんは、2日間の実習で、ほとんど言葉を発していなかったからです。
「それが、最後の面談で、ここで働きたいです。面接日を教えてください、と。はじめて耳にする、大きな声のアピールに心を動かされました。多少は苦労しても、周りでカバーすれば良いと採用しましたが、今はほっといて大丈夫。着実で、うっかりすることも少ない。任せられます」。
大きな声でぶつけた、働きたい、という気持ちが扉を開き、新たな成長を見せた高橋さん。
「すごく楽しくて。毎日、楽しくて、楽しくて、よかったなって思います」
そう話す高橋さんの目は、キラキラしていました。
角川クラフト Roastery & Cafe のみなさんと、高橋 ユウナさん。
ペルソナ5、25周年イベント向けのコラボ商品も、真心込めて、珈琲豆を選別しました。
見逃しません。雑味につながる、状態の悪い豆は全体の5パーセントほど。
「この作品は、うちのコーヒーを飲んで作られました、となったら、楽しい」。取締役、河田 聡氏。
株式会社角川クラフト。
編集業務や、バックオフィス、間接部門業務の支援、ものづくり事業などをビジネスの柱とする Kadokawa グループの特例子会社です。2019年に設立され、現在では28名の障害者スタッフが活躍しています。
社会福祉法人ヤマト自立センター、スワン工舎。
就労に必要なスキルの習得はもちろん、就労先の開拓から、ジョブコーチによる就労後のサポートまで、一貫したプログラムで、障害者の自立支援に取り組んでいます。
高橋 ユウナさん。
株式会社、角川クラフト、2021年7月1日、入社。ゲームが得意で、ペルソナ5 は大のお気に入り。同社でイベント向けのコラボ商品を販売することになり、高橋さんはますます張り切っています。