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障害者給料増額支援助成金。私たちの賛助会費が活かされています。助成先レポート、ボリューム43。

ジェラテリアで、またひとつ、利用者さんの夢を形に。

2021年7月に世界自然遺産となった、奄美群島の特産物を使った、トロピカルなジェラートが、ネットで話題になっています。それを製造しているのが、奄美大島にある、株式会社リーフエッヂ、あまみん。今年5月には、本助成を使い、待望の販売実店舗、ジェラテリアもオープンしました。

株式会社リーフエッヂ、あまみん。鹿児島県大島郡龍郷町大勝。

他では作れない贅沢なジェラートに。

目の前に広がる緑豊かな樹木に、サトウキビ畑、鳥たちのさえずりが聞こえるジェラテリア。そんな風景に Toropica Amami, 奄美のジェラートの鮮やかなのぼりと、落ち着いた雰囲気の、お洒落な木造の建物が優しく溶け込み、観光客や、地元のかたの癒しのスポットになっています。それにしても、奄美大島の太陽は強烈。美しい風景よりも、冷蔵ケースに並ぶ、色とりどりのジェラートに目は釘付けです。早速、ドラゴンフルーツなどのジェラートを注文し、風通しの良いオープンカフェへ。一口食べると、すっぱ甘い、さわやかななんごくフレーバーが、口中に広がっていきました。

「2019年にジェラート作りをはじめたのは、農家さんのもとで施設外就労をおこない、そこでいただいた果物をお金に換えるため。労働対価を、金銭ではなく、作物でいただくのは、農家の負担を少なくし、互いに支えあう関係にしたかったからです」と、代表取締役の田中基次さん。

「簡単にマネされない、また食べたくなる、買いたくなる商品を」と、工房を建設します。そして誕生したマンゴー、スモモ、たんかんなどのトロピカルフルーツをふんだんに使った、果汁50パーセントの贅沢感あるジェラートは、島内のホテルや、ショップで販売いただけることになりました。

しかし、2020年、春、コロナウイルスの感染拡大で、観光客が激減します。落胆する職員や、利用者さん。田中さんは、「これを機に、島外にも販路を拡大する」と宣言し、福岡で開かれた大規模商談会に参加。高島屋の2021年お中元ギフトのオンラインショップに出品できることになり、表紙も飾ることに。これが反響を呼び、売上は想像を超えて、大きく伸びていきました。

実店舗の完成で、目に見えない効果も。

コロナ禍で、お取り寄せを楽しむ全国のお客様にアピールしています。ジェラートの種類は、奄美群島だけでなく、他の島じまの特産品も盛り込み、約16種類に。さらに、自家栽培したハーブティーも加えた商品ラインアップは、じつに華やかです。

「でも、ウェブだけではダメ。実店舗がないと、百貨店や、お客様からの信頼性は大きく異なります。実店舗を利用したかたのSNSなどでの宣伝効果も期待できると、ジェラテリアの建設費をヤマトさんに申請したのです。ジェラテリアには、他にも、接客業をやりたい、という利用者さんの希望をかなえる目的もあります。2階には休憩室も備え、農業チームもここで一息つける、そんな、働く環境を整えました」。

ジェラテリアは、ウッドショックや、地震など、さまざまな困難を乗り越え、今年5月に、やっとオープンしました。そこからは、数字や、目に見えないさまざまな効果も生まれています。

「目の前でジェラートを食べたお客様に、美味しかったよ、と声をかけられたらうれしくなりますよね。それを、他チームにも話すことで、みんなが仕事の喜びを共有できるようになっていったのです。ジェラート作りは大変そうだから嫌だ、と言っていたかたが、私もやりたい、と自分から申し出てくるなど、ひとりひとりの仕事へのモチベーションが、ぐっと上がってきています」。

青空の下、農園で汗を流し、働く人。工房で収穫した作物を材料に製造する人。自宅でPCを使い、ホームページや商品のパッケージをデザインする人。そして、ジェラテリアでお客様をおもてなしする人。みんなが力を合わせ、連携することで、ジェラート事業は動いていきます。

大切なのは、全利用者さんが希望する仕事、職場で、無理なく働くことができるようにケアすること。田中さん自身が作業療法士であり、他にも精神福祉士の資格を持つスタッフもいて、ひとりひとりの体調などを管理し、支援しています。

「あまみんが目指すのは、ずっと通いたくなる、ここち良い居場所に、さまざまな仕事を用意し、より高い給料を支払うこと。現在、平均月額給料は、約2万6000円まで増えましたが、まだ上にいけるはずです。そこで考えたのが、農業体験をして宿泊もできる、農泊です。ジェラテリアの2階に宿泊部屋も作りましたが、その窓から眺める満天の星空は、最高ですよ」。

海の見える農園を新たに購入し、A型事業所を作り、農泊施設を整える計画も進めています。どこまで事業が広がっていくのか、楽しみです。

ジェラート工房で、ジェラートマシンを使いこなす利用者さんたち。当初は、1日100個程度でしたが、いまでは午前中に2人で500個も。

本助成で建設した、モダンな木造2階建ての建物の前で、利用者さんと記念写真。1階がジェラテリア、オープンカフェもあります。

「接客業にずっとあこがれていたんです」と、とびきりの笑顔でおもてなしをしてくれた利用者さん。

ジェラテリアの2階に農泊すれば、ベランダからの素敵な風景を独り占め。

株式会社リーフエッヂ、代表取締役、田中基次さん。

世界自然遺産に登録された、奄美群島の素材を使ったジェラート。現在では、南西諸島まで、素材の種類が広がり、全部で16種類のフレーバーを楽しめます。

新たに購入した、農地の前に広がる太平洋。

労働組合、支部執行委員長、助成先訪問シリーズ38。

ヤマト運輸労働組合、鹿児島支部委員長、内村 秀幸さん。

まずは現場を見て、体験することから。

田中さんのお話を伺って、どんなときも前向きで、先を読みながらいろいろと考え、行動されている、その視野の広さに驚かされました。

いま全人口の約8パーセントが、なんらかの障害のあるかたで、これからも、もっと増えていくでしょう。そんな日本の未来を考えると、私たちも夏のカンパだけでなく、いろいろ考え、実践していく必要があります。

まずは、この島の組合員がジェラテリアを訪ね、ジェラートも食べて、利用者さんの働く姿を見てもらい、感じたこと、発見できたことを、みんなで共有していきましょう。そこから、私たちになにができるか、新しい活動のヒントも生まれていくかもしれませんね。

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