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私たちの賛助会費が活かされています。新型コロナ感染症対応臨時助成金。助成先レポート、ボリューム45.

今、注目の、白いハチミツで、コロナ禍の不振を挽回する.

特別支援学級に子どもを通わせる、お母さんたちの立ち話がきっかけで発足した、はぁもにぃ。A型事業所としては、菓子製造や、農業、養蜂業など、幅広く展開し、多様性を尊重した、誰もが働くことのできる環境の実現を目指しています。新商品の開発で、新たな扉を開けようとする様子を伺いました。

いっそ、ハチミツづくりから.

一口含むと、なめらかなクリームの舌触りに、ハチミツ特有の、コクのある甘さが広がります。味わいの濃さは、一般的なハチミツとは比べものにならない美味しさです。近年、日本でも注目が集まりつつある、クリーミーはちみつ。温度管理をしながら適切に撹拌すると、きめ細かい結晶が均一に広がった、白いハチミツができあがります。これが、クリーミーはちみつです。

就労継続支援、はぁもにぃは、この、クリーミーはちみつを生産するための設備を、2021年度に実施した、新型コロナ感染症対応臨時助成金を活用して整備。試験製造の段階を乗り越え、待望の販売へ、めどが立つところまで漕ぎ着けました。

養蜂業に取り組まれた経緯から語ってくださったのは、理事長の長浜光子さんです。2008年に、放課後デイサービスから始まった、はぁもにぃは、4年後に就労の場ともなる、コミュニティ カフェを出店することに。そこで、お店に特徴を持たせようと色々な食材を探します。

「できる限り、地の物で、天然の甘味を探すうちに、ホームページの写真をお願いしていたカメラマンの紹介で、鈴木さんに連絡を取りました。ハチミツを仕入れさせてほしい、と」。養蜂園を営み、後に、はぁもにぃ養蜂部を世話することになる鈴木一さんの返事は、「だったら、両方やりませんか?」

最初は、「何を言っているんだろう?」と、思った、と長浜さん。しかし、養蜂が、海外では障害者の自立支援に一役買っていると聞くに及び、すぐに、鈴木さんの元に見学に。こうして、2013年、鈴木さんの養蜂園との共同事業で、はぁもにぃ養蜂部がスタートしました。

国内1号機を、いち早く.

以来、はぁもにぃの店舗や、オンラインで、天然非加熱の、純粋なハチミツを販売するほか、生産者からの依頼で、彼らの作物や、フルーツを乾燥させたものと、はぁもにぃのハチミツを原材料としたコンフィチュールなどの相手先ブランド名製造、オーイーエムで収益を上げてきました。

ちなみに、このオーイーエム事業で活躍しているのが、8年前に、当財団の助成を得て導入したフードドライヤー。「たくさんお仕事をいただき、機械はいまもフル稼働です」と、長浜さん。しかし、新型コロナ感染症と、養蜂資材の高騰による打撃は、遥かにそれを上回るものがあった、と言います。

そこで、現状を打開すべく、白羽の矢を立てたのが、海外では先行して人気の出ている、クリーミーはちみつです。

ポーランドのメーカーが、3、4年前に発売した製造器を、専門誌の記事で目にしていた鈴木さん。とある国内商社が、その取り扱いを始めた、と聞きつけたからです。

そして、一昨年の10月、国内1号機が、無事、はぁもにぃに導入されました。

検証を重ねて、ようやく.

すぐに試作に取りかかり、昨年1月から、複数の商談会に出品すると、「すごく評判が良くて、すぐにも卸してほしい、と引き合いが来ましたが、まだ試作の段階なので、と待っていただいてます」と、長浜さん。手応えは十分でしたが、一般販売には慎重を期しました。ハチミツを、ほどよく結晶化させることがクリーム化の肝ですが、配合や、温度に大きく影響を受けるからです。

鈴木さん曰く、「冷蔵販売なら、もう完成していて、販売できる」そうですが、常温で、品質を長期間保持できるか、現在、実際に、複数のサンプルを室温で保管して、状態を検証しているところです。とはいえ、順調にいけば、正式販売はもうすぐの予定。ひとまず、気温の下がる秋以降を目標にしています。

「取引先の生協さんで、10月からの数ヵ月間、季節限定で販売する話が、ようやくまとまりました」と、長浜さん。

昨年度は、売上が、前年割減で赤字決算になりましたが、「これまで、給料を下げたことは一度もありません」。平均給料月額は、9万円台を達成させました。

「コロナで借入も増えました。でも、自分には言いたいことがあって、環境さえあれば、力を発揮できる子たちがいる以上、やっぱり、諦めるようなことは、うちにはできません。

ただ、収益を出していかないと、法人そのものが、もう、危うくなってしまう、というようなはざまにずっといるのも事実です」。

そう語る長浜さんたちは、現在、事業体制の再編にも取り組んでいます。経費がかかるだけで、今、持つ必要のないものは手放して、スリムに。その代わりに、必要に応じて、外部ときちんと連携するしなやかさを手に入れよう、と模索中です。

ヒットの予感を放つクリーミーはちみつが、はぁもにぃの挑戦に大きな弾みをつけてくれるに違いありません。

取材をした5月は、巣作りが始まり、巣を大きくしていく時期。働き蜂がせい六角形の蜜蝋を作り、その中に蜜を集める。

左が、理事で養蜂部長の鈴木一さん、右が、理事長の長浜光子さん。

ハチの巣箱をバーナーで焦がすのは、防腐のため。

養蜂箱は、内山緑地建設様の協力を得て、事業所内の、きみつのさんぽ道に設置している。

新型コロナ感染症対応臨時助成金で整備した、50Lクリーミング器。ほぼ全自動で、クリーミーはちみつを製造できる。

はぁもにぃ のオリジナルはちみつ。左から、さとのハナ、180グラム、1,728円。クリーミーはちみつ、110グラム、1,836円。からすざんしょう、180グラム、1,728円。

千葉のはちみつであじわう、プリンセスぷりん、80グラム、360円。キャラメル ソースの代わりに、からすざんしょうのハチミツをかけていただく。

労働組合支部執行委員長、助成先訪問、シリーズ40.

ヤマト運輸労働組合、千葉支部執行委員長、伊藤 憲一さん.

共生のための後押しをしていくのは、我々.

今日は、敢えて調べずにこちらに伺いました。先入観を持たずに、実際のところを確認したいなと思ったからです。結論から言えば、障害のあるかたにとって、養蜂が、いかにマッチしているのか、「なるほどな」と、感心しました。

また、利用者さんたちが魂を込めて物づくりをしているさまは、私にとっても見習うべきことで、逆に、元気をもらいました。

それだけに、夏のカンパも精力的に声がけしていきたいと思いますし、助成金で購入した機械がどのように活用されているのか、カンパの意義として、しっかりと伝えていかなくてはいけない、と思いました。

共生社会の実現に向けて、我々が後押しできることは、どんどんしていきたいです。

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