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スワン工舎,卒業生訪問、38、株式会社,せいこうしゃさま.

厚くて重い紙が来たって、期待に応えて頑張ります.

製本業に16年、ベーカリーに10年務めた、職人肌の田中将和さん。現在の業務も、しっかり板につき、今後は、「不得手な確認作業も、努力して覚えたい」と、意気込んでいます。

体得したノウハウを、着実に仕事に生かせる強み.

一枚なら、秋の初風にも揺れる紙も、工場で印刷機にかける大きな紙束ともなれば、その重量は相当なもの。

「重い紙を運ぶには、身体の原理をうまく使ってやるといいんだけど、田中さんはそのコツが分かっている。最初からセンスがありました」と仰るのは、工場長の芹澤真さん。

田中将和さんは3ヵ月のトライアル期間を経て、昨年からせいこうしゃあさか工場で、紙積みの作業を中心に、日々、汗を流しています。

紙積みは印刷機に用紙をセットする責任重大な仕事です。複数あるサイズ、用紙の中から、指示書に従って、印刷物に合ったものをストックから抜き、整えて並べ直し、適切な枚数を印刷機にセットしなくてはなりません。

田中さんを採用した経緯について、総務管理部,執行役員の中村博幸さんに伺いました。

「以前、聴覚障害のある社員が、校正の仕事で働いていましたが、高齢で退職されました。障害のあるかたの雇用を、弊社としても真剣に考えているのですが、専門性も高く、厳しい印刷の現場です。しっかりと戦力となっていただけるかたを、と探していたんです」

じつは、田中さん、10年以上も前ですが、製本所に長く勤めた経験がありました。工場長も、その点が決め手になった、と語ります。

「印刷と関連するノウハウを、田中さんはすでに持っていた。それと一番びっくりしたのが、きちんと安全確認ができること。印刷も製造業なので、欠かせないところなんです」

田中さん自身は、「最初は難しかったけど、仕事も覚えて、褒められるようになった」と手応えを感じています。いま、同じ職場に、障害者は田中さんだけ。独りぼっちは寂しい面もあるけれど、「穏やかに働けるのはいいところ」と、長く働きたい意向です。

田中さんの安定した仕事ぶりを、芹澤工場長は高く評価しつつ、より自律的な活躍ができるよう、今後の成長に期待しています。

株式会社,せいこうしゃ.
大正2年に神田で創業、今年110周年を迎えた印刷会社です。福音館書店様や、岩波書店様など、多くの出版社から発注いただき、絵本や書籍を中心に、丁寧で、クオリティの高い印刷物を生産しています。障害者雇用の課題解決に向けて模索中です。
社会福祉法人,ヤマト自立センター,スワン工舎.
就労に必要なスキルの習得はもちろん、就労先の開拓から、ジョブコーチによる就労後のサポートまで、一貫したプログラムで、障害者の自立支援に取り組んでいます。
田中 将和さん.
株式会社せいこうしゃ。2022年9月27日入社。趣味はウォーキングのほか、笑点、世界遺産の番組視聴。通勤のために、気象情報のチェックも欠かしません。コロナが明けたら、特急あずさに乗って、甲府へ家族旅行するのが、目下の夢です。

あさか工場のみなさんと。前列まん中が田中将和さん.

湿度の影響を避けるために、ラップで梱包。この作業、田中さんは、初めから教わらずにできたそう.

印刷機にセットする前に、台の上で、用紙の間に空気を入れます.

せいこうしゃで刷った絵本たち.

総務管理部,執行役員の中村博幸さん、 取締役,あさか工場長の芹澤真さん.

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