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2024年度、障害者の働く場、パワーアップフォーラム。

人は、自立して生活することで、幸せを感じられる。

2024年度テーマ、いま改めて、働く意味を問う。

障害のあるかたを取り巻く環境と、福祉施設のありかたを、ともに学ぶ。

本年度のパワーアップフォーラムは、7月5日に、東京会場で、8月22日に、大阪会場で、リアル開催しました。会場に集まったのは、今後の福祉現場のあり方を模索するかたたちです。

開催にあたり、山内理事長は、「この酷暑のなか、みなさんに、会場まで足を運んでいただけるのか、正直、不安でした。しかし、こうして会場の奥まで、参加者で一杯になっている様子を見て、安心すると同時に、みなさんの熱意に、心が震えています」と、挨拶。

「いま、障害のあるかたと、福祉関係者を取り巻く環境は、急激に変化し、同時に、世間の目は、現場を支えるみなさんに集まっています。その目線の先に、障害のある方々と真摯に向き合うみなさんの姿があれば、人々の信頼も、より高まっていくでしょう」と、伝えました。

7月5日 金曜日、東京会場、東京都立産業貿易センター、浜松町館、3階展示室。

8月22日 木曜日、大阪会場、マイドームおおさか、2階展示ホールD。

山内理事長。

有識者や、福祉現場をリードする、先駆者の考え方や、体験から、新たな気づきとヒントを。

障害のあるかたたちの、働く意味を改めて考える。

本年度は、東京会場に114名、大阪会場に125名が参加しています。テーマは、人は自立して生活することで幸せを感じられる、を大切に。さらに、今年度は、いま改めて働く意味を問う、をサブテーマとしました。

その狙いは、障害のあるかたの働く意味について問い直すとともに、これからの障害者福祉や、共生社会のあり方をさまざまな視点から見つめ直すことで、参加者に、新たな気づきを得ていただくことにあります。

本フォーラムの学びの方向性は、大きくふたつです。ひとつは、障害のあるかたと、福祉に関わるかたたちを取り巻く状況と、環境の変化などをより深く知り、認識を高めること。

時流講座では、エヌピーオー法人日本障害者協議会、藤井克徳代表が、両会場で、"障害のある人の今をどう読むか"を講演。さらに、東京会場は、埼玉県立大学の朝日雅也名誉教授が、"働いて暮らすを実現する"、大阪会場は、日本社会事業大学専門職大学院のかもはらもとみち客員教授が、"障害者支援と地域共生について"と題し、それぞれ基調講演をおこないました。

福祉現場を変える先駆者たち。その苦労と喜びを共有する。

もうひとつのポイントは、障害者福祉の現場最前線で活躍される、先駆者たちの考え方や、取り組み方の実践例を学ぶことです。

今回は、第24回ヤマト福祉財団、小倉昌男賞受賞者が登壇。東京会場は社会福祉法人福祉楽団の飯田大輔理事長が"越境する福祉"、大阪会場は社会福祉法人オリーブの樹の加藤裕二理事長が、"働く中で喜びを"のタイトルで、それぞれの実績を紹介しながら、現在の課題と、これから目指すことなどを語りました。

実践報告では、両会場で有限会社まるみのみかもみちこ取締役社長と、エヌピーオー法人縁活の杉田健一常務理事が、日々試行錯誤しながら、利用者さん、ひとりひとりと向き合い、実践している活動内容を報告しています。

さらに、関東と関西の福祉事業所の利用者さんが、2名ずつ登壇し、当事者の声を発表。どんな仕事をしているのか、手にした給料で生活はどのように変化して来たかなどをうれしそうに語る姿に、会場は温かい拍手に包まれました。

最後は、藤井さんがコーディネーターとなり、講演者、報告者が話した内容をふかぼりするシンポジウムへ。その場で、来場者から質問を募り、登壇者がその悩みに答えるアドバイスタイムも。まさにリアル会場だからこそのメリットを活かした有意義な時間となりました。

東京会場の写真。

基調講演、働いて暮らす、を実現する。埼玉県立大学、名誉教授、朝日雅也氏。

小倉昌男賞、受賞者講演。越境する福祉。社会福祉法人福祉楽団、理事長、飯田大輔氏。

実践報告1。東京都認証ソーシャルファーム、3年間の取り組み。有限会社まるみ、取締役社長、みかもみちこ氏。

実践報告2。この街でおもろいことしょ。ほんで繋がろう、が好きな人。エヌピーオー法人縁活、常務理事、杉田健一氏。

当事者の声、東京会場。左は社会福祉法人さつき福祉会、グーチョキパン屋さん、大江晴樹さん。右は社会福祉法人ふたかみ福祉会、はびきの園、三好優太郎さん。

大阪会場の写真。

小倉昌男賞、受賞者講演。働く中で喜びを。社会福祉法人オリーブの樹、理事長、加藤裕二氏。

基調講演。障害者支援と、地域共生について。日本社会事業大学専門職大学院、客員教授、かもはらもとみち氏。

時流講座。障害のある人の今をどう読むか。エヌピーオー法人日本障害者協議会、代表、藤井克徳氏。

当事者の声、大阪会場。左は社会福祉法人武蔵野千川福祉会、佐藤隆憲さん。右は社会福祉法人きょうされん、リサイクル洗びんセンター、渡辺正人さん。

閉会後には交流会も。

フォーラム閉会後には、登壇者たちと来場者たちが自由に語り合える交流会も開催。講演、報告された内容に、より関心をいだいた点を質問したり、互いの活動を伝え合い、ネットワークを広げるために名刺交換をおこなうなど、まさにリアル会場開催ならではの利点を存分に生かすことができました。

会場アンケート。参加者から、こんな声が集まりました。

多様な働き方、価値観を取り入れるため、まずは自分の意識改革ですね。

医療従事者として、福祉と利用者の視点を意識した、横断的なつながりを築きたい。

利用者さんとのかかわりかた、職員自身が見つめ直すこと、事業所に持ち帰りたいものが一杯。

私も地域のかたたちを巻き込み、共に成長していける関係を築きたい。

私の中の福祉感が、今日、大きく、変わりました。

初めての参加です。堅苦しい内容かと思ったら、どれも面白く、心に響きました。

福祉にはクリエイティブな挑戦が必要など、仕事に活かせる言葉がたくさんありました。

オンラインにはない熱さを感じた。リアル開催って良いですね。

現場目線での、歯に衣着せない発言に、日々のもやもやが解消されました。

同じ志のかたたちが集まり、同じ問題を一緒に考える、実りある時間を過ごせました。

当事者のリアルな声が良かった。もっとたくさん聞いてみたい。

いろいろな視点、意見が聞け、会場まで足を運んで良かった。

パワーアップフォーラムの歴史を紐解く。

現在のパワーアップフォーラムの前身は、小規模パワーアップセミナーで、1996年に小倉昌男,初代理事長が、財団の事業としてスタートしました。当初は、全国各地の作業所運営者から参加者を募り、少人数による2泊3日の研修会、というスタイルでした。

小倉さんが目指したのは、障害者の自立であり、それを、働いて、収入を得て、生活すること、と定義づけます。しかし、当時は、障害のあるかたたちのご家族が運営する共同作業所の時代。そこでは単価の安い下請け作業と、魅力的には見えない自主製品が作られていました。

「これでは儲からないし、とても自立できる給料を支払えない。福祉にも経営を持ち込むべき。福祉の知識はないが、経営のことなら私にもわかる」と、自ら登壇。「月1万円しかもらえない人がいて良いのか」と説く小倉さんの講演は、福祉は金のためにやっているわけではないという参加者の意識を次第に変えていきます。この時代のセミナー参加者には、大阪会場で、小倉昌男賞受賞者講演をおこなわれた加藤氏もいました。

回を重ねるごとに参加者の意識は強まり、実績は上がって来ます。しかし、その数は限られていました。そこで、もっと多くのかたが学べるように、2010年、大会場で200人規模の参加者が集う、現在のパワーアップフォーラムへとスタイルを変えたのです。

本年度のパワーアップフォーラムの開催で、これまでの累計参加者は、1万3000人を超えました。なお、2022年度の日本全国の福祉施設の平均給料は、就労継続支援A型事業所で、8万3551円、B型事業所で1万7031円となっています。

これからもヤマト福祉財団は、小倉さんの意志を受け継ぎ、障害のある人も、ない人も、みんなが一緒に幸せに暮らせる社会の実現を目指し、活動を続けていきます。

就労継続支援事業所:障害のあるかたに、働く場や、その他の活動の機会を提供して、能力向上のために必要な訓練を支援する障害福祉サービス事業所。雇用契約を結び最低賃金を保障するA型と、雇用契約を結ばないで利用するB型があります。

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