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リレーコラム、夢をつないで、第35回。

10パーセントの先へ。

株式会社コトノネ生活、代表取締役、里見 喜久夫。

季刊コトノネは2012年1月に、障害者の生きること、働くことをテーマに生まれました。一番の狙いは、障害者がつくった商品を目にとめて、買ってもらうことでした。そのために、健常者の顧客を呼び込みたい。目に止まるように、写真には神経を使いました。では、消費者は障害者のつくった商品に関心があるのか、を、知りたくて資料を漁ったが、どこにもない。仕方がないので、コトノネで調査をしました。

コトノネ出版から半年後、「障害者を愛する人よ、どこにいる」として調査結果を報告書にしました。とても面白い結果がでました。「障害者の商品を買いたい人」は10.6パーセント。そのうち、「買ってみてよければ、友達にげたい人」が36.0パーセント。さらに、その目的に驚きました。「障害者がつくっていることを知ってほしかった」が31.9パーセント。障害者への関心を押し付けるのではなく、それとなく伝えたかったのです。

10パーセントの人は、誰が何といおうと、障害者を支える。逆に、「買いたくない人」は13.0パーセント。では、そのあいだの80パーセント弱の人はどんな人でしょうか。こどもの虐めについての研究書、『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』(著、山岸俊男。発行2008年)によると、「絶対虐めない人」10パーセント、何が何でも「虐める人」10パーセント。コトノネと似た数字でした。虐めない10パーセントは信念の人とすれば、あの、あとの11パーセント以降はどんな人でしょうか。

いきなり、障害者のことから問いかけない。多くの人が関心のあるテーマから入って、障害者につなげていく。「障害者を押し付けない」アプローチです。もうすぐ、リメイク コモンをテーマにした活動を立ち上げます。モノだけでなく、生き方も含めて、つくり直し、育て直す、リメイク。当然、障害者もその中にいます。

最後に。突然ですが、季刊コトノネは、今年1120日の56号をもって休刊します。主力を雑誌から、リメイク コモン 活動に移します。厚かましくも、いままで以上のご支援をお願いします。

1948年、大阪生まれ。株式会社コトノネ生活、代表取締役。自然栽培パーティー(一般社団法人、農福連携自然栽培パーティー全国協議会)、全Aネット(エヌピーオー法人、就労継続支援A型事業所全国協議会)の設立に関わる。季刊コトノネの出版のほか、著書に、絵本『ボクは、なんにもならない』(美術出版社)、『ボクも、川になって』(ダイヤモンド社)、『もんばんアリと、月』(長崎出版)、共著に『障害をしゃべろう!』(上下巻。せいど社)、『農福連携が農業と地域をおもしろくする』(コトノネ生活)など。

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