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100周年を迎えるデフリンピック。11月15日、東京にやってきます。

ヤマト運輸は、全日本ろうあ連盟、デフスポーツ振興スポンサー プログラムのゴールド パートナーです。

デフリンピックをご存知ですか? デフ とは、英語で耳がきこえないとう意味で、きこえない、きこえにくい人のためのオリンピックです。今年は、第1回から数えて100周年にあたる、第25回デフリンピック。しかも、日本では初の大会です。その見所などを、一般財団法人全日本ろうあ連盟、デフリンピック運営委員会、事務局長、くらの直紀さんにお伺いします。

東京大会は、多様な人たちとの協働運営の道を選びました。

聞き手:まずはデフリンピックの歴史から教えていただけますか?

くらの 直紀:100年前の1924年、フランスの、ろう者スポーツ連盟のアルケ会長が、第1回パリ大会を開きました。当時は、きこえない人に対する偏見が厳しく、この状況を変えたい、と、国際スポーツ大会を、きこえない当事者が運営することで、きこえなくても、こんな立派な大会を実現できることを社会に示そうとしたのです。

聞き手:では、ボランティアも障害のあるかたしか参加できないのですか?

くらの:東京大会は過去の歴史に縛られず、あえて、きこえる人とともに協働運営する道を選びました。デフリンピックの認知度があまり高くないのは、きこえない人だけで運営してきたことで、逆に、社会との間に壁を作ってしまったからかもしれません。こん大会は障害のあるなし、日本人、外国人などいろいろな壁を取り払い、「共生社会と運営の新しいモデルを形にしよう」と、みんなの意見が一致しました。

聞き手:東京大会の参加者や、規模は、どれくらいになりそうでしょうか?

くらの:今回は約80ヵ国が参加し、選手、スタッフ数は約6,000人と、過去最大の規模を想定しています。そこで約3,000人のボランティアを募集したんです。

聞き手:手話ができなくても大丈夫ですか?

くらの:こだわっていません。より多様な人に関わっていただくことで、きこえないことや、手話言語に対する理解を、世の中に広めるきっかけにしたいんです。

聞き手:どれくらい集まりましたか?

くらの:去年の11月中旬から募集を始め、1月末の締切までに、なんと1万9000人近く、申し込みがあり、私たちも驚いています。

全21種目を12日間で。メダルたいこく、日本の活躍に注目。

聞き手:どんな競技があるのですか?

くらの:団体個人を含めて21種類の競技がおこなわれます。

聞き手:くらのさんが期待されている競技は?

くらの:私は運営側ですし、全競技全選手の活躍に期待していますよ(笑い)。

マスコミが注目しているのは、過去2大会連続で金メダルを獲得した女子バレーや、複数のメダル実績がある陸上、水泳、卓球。さらに今回、新たに日本人の選手が参加することになった射撃、テコンドー、ハンドボール、レスリング。射撃の選手は、きこえる世界の中でもメダルを獲得した選手がいます。

聞き手:射撃選手の濱谷秀平さんは、ヤマト運輸の社員です。2年前に偶然、職場で日本パラ射撃連盟のコーチと出会い、競技を始めて、選手に選ばれたと聞いています。

くらの:そうなんです。彼は、上達が早いですね。 日本はメダルたいこくと言われていて、現在の世界ランキングは6位。それが、東京大会でどう変わるかにも注目しましょう。

競技の感動以外にも、人々に多くのことを考えさせてくれる。

聞き手:パラリンピックには独自の競技ルールがありますが、デフリンピックは?

くらの:まったくきこえない選手にも、目でわかる視覚保障を工夫し、フェアに戦えるようにしています。陸上や水泳では、ピカッと光るスタートフラッシュを、サッカーなどでは審判は笛とともに旗を揚げたりしているんです。

聞き手:いろいろ工夫されていますね。

くらの:でも基本的な競技ルールはオリンピックとほぼ同じ。だからデフ競技には特別な審判資格はなく、一般競技の国際審判の資格で良いのです。世界中から、きこえない審判員に集まっていただき、日本人のきこえる審判員と力を合わせ、運営する姿にも注目ください。

聞き手:日本では、きこえないかたが国際審判資格を取るのは難しいのでは

くらの:日本では福祉の手話通訳制度を、病院や市役所での手続きなど、日常生活の範囲でしか利用できないことが多い。しかし、世界は違う。たとえば、国際サッカー連盟は、多様性の考え方に基づき、障害のある審判員や指導者を増やす取り組みを進めています。

聞き手:デフリンピックの開催は、改めて多くのことを考えさせてくれますね。

くらの:選手たちは、プレイヤーとして純粋に競技を楽しみ、高みを目指し努力しています。それは、芸術でも、仕事でも同じです。障害の有無など関係なく、社会や企業が正しく評価できるか。選手たちの姿を見て、そんな問いかけもできたらと思っています。

一般財団法人全日本ろうあ連盟、デフリンピック運営委員会、事務局長、くらの 直紀さん。

第23回、夏季デフリンピック競技大会、サムスン2017。写真提供:一般財団法人、全日本ろうあ連盟。

写真提供:一般財団法人、全日本ろうあ連盟。

ヤマトと日本の期待の星、射撃の濱谷秀平さん。

ヤマト運輸株式会社、東京都内営業所で受付業務を担当する、濱谷 秀平さんが、東京2025デフリンピック、射撃 10メートルエアライフルの選手に選ばれました。 彼の活躍からも目が離せませんね。

情報、写真提供:特定非営利活動法人、川崎市、ろう者協会。

4年に1度の熱戦が、21種類の競技で。

デフリンピックには、こんな見所や、凄い技術も。

きこえないからこその駆け引き。

たとえば卓球のダブルス戦。チームメイトに、目に見える形でサインを出しますが、それは相手にも見えてしまう。そこで、真偽織り交ぜ、「このサインは嘘? 本当?」と相手を混乱させる作戦が陰で展開されているんです。

ユニバーサル コミュニケーション技術。

東京都が進めるユニバーサル コミュニケーション技術にも注目これは、音声で話したことが、瞬時に文字化され、透明ディスプレイに映し出される技術で、公共施設や交通機関に設置される計画になっています。

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