名古屋市の西、金城ふとうに近い、中川区下之一色町。庄内川と新川の2つの川から海の香りを感じる、静かなまちです。ここで、平成16年にクロネコメール便(のちに DM 便)配達事業を始めたのが、さくらんぼ。15年目となる現在、メイトさんは3名。10区画に分けたエリアを、1人は自転車で、2人は職員と徒歩で配達しています。
まちの人がすすめてくれた、クロネコ DM 便配達。
「そもそも、さくらんぼで DM 便配達をやることになったのは、地域のかたが障害者の社会参加にいいのでは、と勧めてくれたからなんですよ」。そう話すのは、さくらんぼの会の大野健志理事。
メイトさんと職員が一緒に取り組めるうえ、車の はいれないエリアなら安全。また、地域に根ざすことを大切にしてきたこの施設にとって、 DM 便の配達で、地域の役に立てることは、何よりうれしいことだったとか。
平成16年、現在の半分のエリアからスタート。年々増える配達冊数は、現在、多い時で1日200から300冊になることも。ありがとう、ごくろうさま。そんな言葉をかけてもらい、地域の人とのつながりも、ぐっと密になっています。
迷路のようなまちで、間違えずに届ける工夫。
かつて、ここは漁師町としてにぎわい、町並みもほぼ昔のまま。家と家の間を、くねくねとした細い道が入り組んで、まるで迷路です。古いまちなので、同じ姓や同じ番地の人が多く、配達泣かせのエリアともいえます。そこで、さくらんぼでは、配達エリアを10区に分割。毎朝、営業所から DM 便を受け取ると、住宅地図と照らし合わせながら、一冊ずつ丁寧に仕分け。地域の一軒一軒をしっかり把握することで、誤配を防いでいます。
湯浅和洋さんは、仕分けから配達までをひとりでこなす、自転車配達担当のベテランメイトさん。配達しながら、まちの変化もチェックし、新しい情報を、いち早く施設に持って帰ってくれます。それを職員がすぐに地図に反映。情報の更新と共有は、配達品質を守るために欠かせません。
いつでも、しっかりとしたサービスが提供できている。その実感が、メイトさんたちの自信と、やる気につながっています。
メイトさんの体調を最優先する。
仕分けが終わったら、配達に出発。2人のメイトさんは職員と一緒に出かけます。「 DM 便配達を始めて、メイトさんたちは体力がつき、活発に会話をするようになったと感じます」と語るのは職員の藤田紀子さん。「メイトさんの体調を守るために、日によっては、配達冊数や、作業内容の調整が必要になります。それができるのはヤマト運輸さんとの信頼関係があってこそ。メイトさんたちのことを理解してくれているので、助かっています」。
地域にも、ヤマト運輸にも、なくてはならない役割。
ヤマト運輸名古屋主管支店 名古屋中川東起支店 大橋甲支店長は、「このエリアで DM 便のサービスが提供できるのは、さくらんぼがあってこそ。配達品質の維持に貢献してもらっています」と高く評価します。
「このエリアは道が細くて、一般車両が乗り入れできません。とはいえ、どこかに駐車して歩いて配達するのは大変です。まちを熟知している さくらんぼだからこそ、安心しておまかせできる。むしろ、お願いできなかったら困ります」とも。
また、ヤマト運輸名古屋主管支店 サービスセンター、大島秀浩センター長は、「エリア的にも大変なこの地区の配達は、メイトさんはもちろんですが、職員のかたがたの意識の高さに支えられています。工夫があって、丁寧で、真摯に取り組まれている、こちらの施設を紹介することで、名古屋をはじめ、中部地区における DM 便配達のさらなる拡大につなげたい」と意気込みを語りました。
さくらんぼのメイトさんは、ヤマト運輸のクロネコメイト連絡会にも参加。ヤマト運輸と情報を共有しながら、配達品質の向上に励んでいます。
DM 便配達という仕事をとおして地域に貢献し、地域とのつながりが深まっていることを、メイトさんたち自身が日々実感しているようです。