ここ数年、 A 型事業所 [脚注] の障害者の大量解雇や、相次ぐ廃業があちこちで問題に。ほとんどが、営利、非営利を問わず、新規参入組の失敗。今まで、全国のさまざまな障害者団体が、実態を目の当たりにして、この結末への警鐘を鳴らし続けてきたのに、なぜ、行政は対応してくれなかったのか。
A 型は、他の福祉サービスとは違う。他のサービスは、どれだけ利用者に良いサービスを提供するかが評価となり、わかりやすい。
しかし、 A 型は、利用者の、労働者としての権利の保障と、福利厚生や、あらゆる支援をおこない、なおかつ、その給与分の利益を、給付金を含めない事業で捻出しなければいけない。支援が高くなると生産性が落ちやすくなる。売り上げを上げようとすると、利用者に生産性を求めなければいけない。
普通の企業ならば、コストカットで人件費を減らす。消耗品や、福利厚生をカットすることができるが、 A 型では、それを減らすと、利用者への支援の低下に繋がる場合もある。このバランスが非常に難しい。
法定雇用率も上がってきている昨今、障害者が企業に就職することは昔ほど難しくない。福祉的な A 型よりも、企業就労のほうが望ましいかもしれない。しかし、企業では つらい人も出てくる。だから、 A 型が必要なのである。セーフティー ネットとして、働きたい障害者の働ける場所が必要なのである。
新規参入が増えて、現在では、全国で4000ヵ所以上の A 型ができた。新規参入の A 型は、障害者の働く場所を創る、という目的があって参入したと願いたい。障害者を収入としてカウントするのではなく、ひとりの人として働く事を支える場として欲しい。
そうなったら、日本では世界に勝る、障害者の働くことに取り組む先進地となるはずである。
特に、若い経営者にエールを送り、未来を託したい。私たちが囚われてできなかったことを、新しい発想と、価値観で是非、突破して欲しい。重たいお願いかも知れないが、若者の力を信じている。
[脚注] 就労継続支援 A 型事業所とは、利用者と雇用契約を結び、最低賃金を保障する制度。