地域活動支援センター、つばさが、クロネコ DM 便配達を開始したのは、2010年。障害者のクロネコメール便(後に DM 便)事業を、当時の所長が知り、DM 便配達を活動の中心に据えて、施設を立ち上げたのが始まりです。スタート当初、メイトさんは5人でしたが、今では、登録しているメイトさんは16人。その中から、4人のメンバーが中心となり、徒歩でカートを引きながら配達をしています。
すべての作業をダブルチェック。
つばさ の仕分け作業のための部屋には、作業の流れ、というタイトルの、大きな紙が貼られています。書かれているのは、仕分けの順番と作業内容。この表に沿って、この日、仕分けを任された森恒春さんと、今野満幸さんがテキパキと作業を始めました。
最初は かぞえ。ヤマト運輸が運搬してきた箱に書かれている DM 便の冊数と、実際の冊数が合っているかを確かめるステップ。
まず、2人で DM 便を10冊ずつの束にして、冊数を確認します。数えてみると、箱には63冊と表記されていましたが、62冊しかありません。再度、丁寧に数え直すと、今度は63冊。2人でしっかり確認できました。
次に、中区分。4つのエリア別に DM 便を分類します。さらに、小区分では、番地順に並べたあと、お互いの作業をチェックし、正しく並べているかを確認します。
注意すべき DM 便は、地図にコメ印。
丸付けと読み上げ では、1人が番地と名前を読み上げて、もう1人が、地図に赤い丸を付けていきます。名前を読み上げた後に、「コメ」と言うと、コメ印を地図にマーク。ポストに はいらないかもしれない、厚みのあるものなど、注意の必要なものは特別に、コメと呼んで、別の場所に分けて置きます。
そして、ルート決め。今回は、今野さんが配達ルートを決める役割を担っています。地図全体を見渡しながら、赤丸の位置を確認。どのルートが効率よく回れるか悩んでいると、職員の阿久津真由美さんがアドバイス。スムーズに回れるルートが決まり、今野さんは配達する順番を、地図に、緑色のペンで書き込みます。
ラストは組み立て。ここでは1人が地図を見て、配達順に番地と名前を読み上げ、もう1人がそれを確認しながら DM 便をバッグにいれていきます。コメの DM 便は別の袋にいれて、仕分けが完了しました。
何度も確認してからポストイン。
配達は、1チームに、メイトさんが2人と、職員が1人。毎朝、メンバーを選んで2つのチームを作り、配達をします。冊数が少なくて時間があるときは、慣れていない人も加わり、主力メンバーが作業を教えてあげながら配達します。
投函の前には、確認タイム。バッグから DM 便を取り出す人が番地と名前を読み上げて、もう1人のメイトさんに手渡します。受け取ったメイトさんは、地図で確認。さらに、ポストの前で、表札や DM 便を再度チェックし、端末機を操作してからポストインします。
雨の日と、猛暑の日は団地から配る。
雨の日や、日差しの強い日は、団地の多いエリアからスタートするのが基本ルール。屋内のポストで雨が避けられ、日陰になる場所もたくさんあるからです。戸建ての多い住宅街は日陰が少ないので、夏場は36度以上になると、配達は一旦お休み。暑さのピークが過ぎるまで待つ、などの対策が取られています。暑い日は休憩を3回取る、必ず水筒を持って保冷剤をクビに巻いたり、帽子の中にいれたりする、などの細かなルールも決められています。
魔法のノートと地図は、たからもの。
つばさ では、以前、配達していたメイトさんから、団地の住人や、転入した家の名前を細かく書き込んだ、小さな手帳と地図を受け継いでいます。この手帳は、みんなが魔法のノートと呼ぶほど、便利な虎の巻。配達の際にも持参し、不明なことはすぐにチェックしています。手帳と地図は、使いながら少しずつ更新。どちらも、つばさ のたからものです。
配達が好きと語る、キラキラした目に感動。
ヤマト運輸、川崎主管支店、サービスセンター、半田浩章センター長は、「何度も確認することが基本となっていて、それが誤配ゼロに繋がっています。一生懸命さを再認識しました」と、つばさ の仕事ぶりを高く評価します。
ヤマト運輸、川崎主管支店、宮前野川支店、畠山直己支店長は、「イキイキと配達していることが伝わってきます。配達が好き、と言っていたときのキラキラした目に感動しました。これからも笑顔で、楽しく続けてほしい」と期待を込めて話しました。
つばさは3年前に、ヤマト運輸、関東支社から DM 便、誤配ゼロチャレンジの、年間、誤配ゼロ達成で表彰されました。この受賞をみんなが誇りに思い、その後も、確認と、工夫を積み重ねています。それぞれのつばさで、より大きく羽ばたけるように。ひとりひとりの能力を活かしながら、誤配ゼロへのチャレンジは今日も続いています。