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この街で、一緒に生きていく。

雨や猛暑、吹雪の日だって、楽しい配達の日に変わりはない。

秋田県の大仙市大曲。 NPO 法人障害者自立生活センター、ほっと大仙。障害福祉サービス事業所、ほっぺは、この街ですでに13年以上、クロネコ DM 便配達に携わっています。配達冊数は、月平均、約1000冊。メイトさんたちは、チームで助け合いながら、配達しています。

秋田県の南東部にある、8つの市町村が統合して生まれた大仙市。統合された中で最大の し であった大曲は、大仙市の中央部に位置し、日本有数の花火の街として知られています。 JR 東日本の大曲駅から、徒歩で約5分。商店街の中にある障害福祉サービス事業所、ほっぺは、2006年に、障害者のクロネコメール便(後に DM 便)配達事業をスタート。6名がメイトさんとして登録し、その中の4人が中心となって、徒歩で毎日、元気に配達しています。

当初の不安を、メイトさんのやる気が消した。

ほっぺの奈良克久施設長は、 DM 便を始めるにあたって、不安があったそうです。大仙市の冬は、気温がマイナス10度以下になったり、降雪は2メートル以上のことも。つららが落ちてきたり、ブルドーザーで除雪後の道はツルツル滑るなど、危険なことが多く、また、夏になると気温が30度を超える日も。この厳しい気候の中で、利用者さんたちは嫌がらないだろうか、果たして安全に配達ができるのだろうか、と悩んだのです。

「ところが、どんな暑さや寒さでも、たとえ吹雪の日でも誰も文句を言わない。むしろ積極的に配達に出かけようとするんです。仕事をしたいという、みんなのやる気が、私の不安を消し去りました」。 DM 便配達事業を引き受けて良かった、と話します。

毎朝、大きな声で挨拶を練習。

ほっぺの朝は、朝礼と、挨拶の練習から始まります。「おはようございます」、「ありがとうございます」、「お先に失礼します」と、みんなの大きな声が響きます。きちんと挨拶ができることによって、仕事への意識が高まり、一般就労に繋がる、と考えられているのです。そして、その後、全員で掃除。それぞれの仕事の分担が決まると、一斉に作業の場所に移動し、ほっぺの一日が動き出します。

DM 便モードにスイッチオン。

DM 便の担当者は、テーブルにあつまり、仕分けを開始します。エリアごとに分類し、地図にマークをしながら配達先を確認。配達ルートを決定して、あっという間に準備が完了しました。職員は、配達の順路についてのアドバイスをするだけ。ほぼ、メイトさんたちに任せています。

職員の今野充さんは、メイトさんたちの仕事ぶりについて話します。「 DM 便の仕事に はいるときは、みんなが一気に DM 便モードに切り替わります。スイッチがはいるんですね。そして、嬉々として出かける。とても頼もしいですよ」。

腰が痛くなったチームメイトに、肩を貸してサポート。

配達に出かけたのは、4人のメイトさん。しかし、あいにく、取材日は雨が降っていました。雨による歩きにくさなどから、途中でメンバーのひとり、鎌田瑞希さんが、腰に手を当てながら歩き出します。時々、座って休む鎌田さんに、さりげなく肩を貸す、伊藤翔太さんと、山中諒太さん。職員の鈴木たえ子さんが、「事務所の車で、迎えに来てもらおうか」と声をかけますが、最後まで配達したい、と主張。鎌田さんは、ついに歩きとおしました。メイトさんたちのチームワークの良さと、仕事への意識の高さが感じられた出来事でした。

メイトさんのとおる時間が、街の人の時計がわりに。

「ほっぺのメイトさんたちが家の外をとおると、そろそろお昼かな、お茶の時間にしようか、って。まるで時計がわりですよ」という声が届くそうです。また、見知らぬ人に、利用者さんたちがからかわれていたりすると、街の人が助けてくれることも。

「これは DM 便配達や、年間70回以上のイベントへの出店をとおして、利用者さんたちが、街に溶け込んでいる証拠」と奈良施設長。「同じ街の仲間のように思ってもらえている、と感じます」。

DM 便にとって欠かせない、重要な存在。

ヤマト運輸秋田主管支店、秋田大曲支店、三浦信也支店長は、「真面目な取り組みを改めて知った。 DM 便には欠かせない存在」と、ほっぺの熱心な仕事ぶりを高く評価します。「これからも、さまざまな要望に、前向きに応えていきたい」と話します。

ヤマト運輸秋田主管支店、サービスセンター、佐々木秀和センター長は、「一生懸命、そして、楽しく仕事をしていることを知って、嬉しかったし、感動しました。これからも、安全第一で続けてほしい」と結びました。

行き交う街の人から、「頑張って」と声をかけられる、ほっぺのメイトさんたち。いつも明るく挨拶を続けて、楽しそうに仕事をしていることが、今に繋がりました。

「いつもの街を歩いても、知らないところを見つけると、新鮮に感じる」と話す、菊地望実さん。「いろんなポストに入れたり、いろんな人に渡したりできるのが楽しい」と、戸井田章吾さん。そんなメイトさんたちは、ほっぺに笑顔を咲かせて、今日も元気に、街の中へ出かけて行きます。

雨の中でも、明るく楽しそうに配達する、4人のメイトさんたち。右から、伊藤翔太さん、平野凜さん、山中諒太さん、鎌田瑞希さん、職員 鈴木たえ子さん。

メイトさんのリーダー的存在の伊藤翔太さん。テキパキと仕分けのサポートをする、平野凜さん。

配達ルートについて、職員と相談する鎌田瑞希さん。

老舗の和菓子屋さんの店頭で、 DM 便を、店主に笑顔で手渡す、伊藤翔太さん。一緒に届けたのは山中諒太さんと、平野凜さん。

腰が痛くなった仲間に肩を貸したり、腕を支えたりしながら、さりげなくサポートするメイトさんたち。左から、伊藤翔太さん、鎌田瑞希さん、山中諒太さん、職員 鈴木たえ子さん。

雨に濡れないように気をつけながら投函する、山中諒太さん。「ひとつもミスなくできるとうれしい」。

丁寧に投函する平野凜さん。「配達することも、街を歩くことも楽しい。馴れたら、もっとたくさん配達したい」。

前列左から、ほっぺ 奈良克久 施設長、平野凜さん、菊地望実さん、戸井田章吾さん、山中諒太さん、伊藤翔太さん。後列左から、職員 今野充さん、ほっと大仙 石川和美 理事長、職員 佐藤泉さん、職員 鈴木たえ子さん、ヤマト運輸 秋田主管支店 秋田大曲支店 三浦信也 支店長、ヤマト運輸 秋田主管支店 サービスセンター 佐々木秀和 センター長、ヤマト福祉財団 東北支部 小原守事務長。

ほっぺの奈良克久施設長、「仕事は人を成長させます。わがままというのではなく、イヤなときはイヤとはっきり言う、主張できるチカラもつきます。閉じこもっているだけではできなかったことを、確実に身につけています。 DM 便配達は、一般就労に繋がる、確かなステップです」。職員の今野充さん、「体力は確かにつきますね。最初、ついてこられなかった女性のメイトさんも、配達しているうちに、男性と同じ速さで歩いています」。

秋田主管支店、秋田大曲センター.

NPO 法人 障がい者自立生活センター、ほっと大仙、障がい福祉サービス事業所 ほっぺ.

就労継続支援 B 型、就労移行支援、就労定着支援事業所. 2006年、クロネコメール便(後に DM 便)をスタート。1日の配達冊数は約50冊。他に軽食の提供(食堂)、弁当、惣菜の製造販売、イベント等への出店など。

障がい者のクロネコ DM 便配達事業.

参入施設数.
318施設.
従事者数.
1,594人。2019年5月現在.

お問い合わせは、公益財団法人ヤマト福祉財団、 DM 便担当, 電話 03-3248-0691、ファクス 03-3542-5165.

https://www.yamato-fukushi.jp/

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコ DM 便配達へと変わりました。

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