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この街で、一緒に生きていく。公益財団法人ヤマト福祉財団、障害者のクロネコ DM 便配達事業

待っている人のもとへ。1冊1冊、情熱と責任感を持って

北海道札幌市の北西部に位置するていね区。 JR ていね駅は、札幌駅から函館本線で15分ほど。そこから、車で約10分の山側の住宅地に、社会福祉法人アンビシャスの生活介護事業所、自由工房はあります。クロネコ DM 便の配達冊数は、月に200から300冊。2人のメイトさんが、施設の近隣エリアを、徒歩で配達しています。

生活介護事業所、自由工房が、クロネコメール便事業(後に DM 便)を開始したのは、2009年。職員が、利用者の工賃アップのための仕事を探していた時、外部研修で、この事業のことを知りました。メイトさんの希望者を募ったところ、2人が手を挙げたため、まずはチャレンジしてみよう、とスタート。それから約10年。2人は、 DM 便配達という仕事に、格別の情熱と、愛情を持って取り組んでいます。

すべてを任せて安心。職員は最終チェックだけ

DM 便配達を担当するのは、メイトさんの石川潤さんと、佐々木康太さん。仕分けから配達冊数の記録まで、すべてを任されています。地図は手作り。新しい住宅が建つと地図に加えるなど、随時更新しています。集合住宅の転居、退去者はパソコンでリスト化。部屋番号と、名前を必ず確認します。

仕分け作業では、佐々木さんが DM 便の住所と宛名を読み上げ、石川さんが地図に配達先をマーク。 DM 便を番地順に並べて、配達ルートを決めると完了です。石川さんがお休みの金曜日は、佐々木さんが、この作業をすべて1人でおこないます。最後に、職員の中山雄太さんがチェックして、配達の準備が整いました。

冬のホワイトアウトの日は、配達を断念

自由工房は山側にあり、配達路の多くが坂道です。札幌市は、12月から4月の終わりまで降雪期間。時には、5月の初旬まで雪が降ることもあり、1年のほぼ半分、道路は雪で覆われています。雪が降ると、ロード ヒーティング設備を施された道路以外は、道の両側に積み上げられた雪で道幅が狭くなって、歩きにくい状態に。とりわけ坂道は凍って滑りやすくなるため、注意が必要です。吹雪の日など、危険だと思われる日には、職員が、施設より上の、山側方面だけ、配達をサポートします。

また、冬季に何度かある、ホワイトアウトと呼ばれる、数メートル先も見通せなくなる暴風雪の日は、職員が判断して、配達を中止します。

「メイトさんがドライバーさんに直接電話をして、代わりに配達してほしいとお願いします。仕事意識が高いので、できれば配達したいはず。でも、彼らが自分で伝えることで、責任を果たしたと感じるようです」と職員の中山さんは話します。

T シャツの背中に熱い言葉。ブログも綴る日々

「場所に届けるんじゃない、人に届けるんだ」。メイトさんの佐々木さんは、この、ヤマト運輸の CM のキャッチフレーズに感動して、ユニフォームの下に着る T シャツの背中に、同じ言葉を手書きしています。毎日の配達冊数を記すノートの表紙に書いてあるのは、ヤマト隊というチーム名。ヤマト運輸の仕事をすることに幸せを感じていることが、そこここに感じられます。

また、佐々木さんは、自由工房のホームページに、自由工房ゆかい日誌というブログを連載。ブログは毎回、「こんにちは、クロネコ ブログ便公式担当の K です」というフレーズで始まります。カタログが70冊もあった、というニュースや、夏の配達は暑くて、焦げるをとおり越して、干からびる、など、ユーモアたっぷりの楽しい内容も。そして、ブログの最後はいつもこのフレーズで締められています。「場所に届けるんじゃない。人に届けるんだ。また来月」と。ヤマト隊の熱い想いが伝わってきます。

やりがいを感じながらの仕事ぶりが、すばらしい

ヤマト運輸 札幌 新発寒支店、加藤志麻 支店長は、仕事ぶりに感動したと話します。「仕事にやりがいを感じていることを知ってうれしい。週に5日の配達を長く続けていることや、トラブルも、事故もないことはすばらしい」。エリア拡大も考えたい、と語ります。

ヤマト運輸 札幌 主管支店 サービスセンター 菊池光寿、センター長は、「誤配もほぼなく、安心して任せられます。表札のない家や、引っ越しの多いアパートなどがたくさんあって、リスクも高い中、しっかりと対応してもらっています。期待通りの仕事ぶりで、ありがたい存在です」と話しました。

山を宅地開発した、このエリアには、自然が多く残っています。取材日には、配達の途中で、シカの親子、4頭に遭遇。時には、リスやヘビも出るそうです。

ここはマムシに注意、と、地図に細かく書き込むなど、配達地域をすっかり熟知しているメイトさんたち。このエリアを愛し、住んでいる方々を大切に思いながら、1冊1冊、ていねいに、人へ届けています。

札幌主管支店、札幌新発寒センター

面積
6663平方キロメートル
人口
42497人
世帯数
20513世帯

社会福祉法人アンビシャス、生活介護事業所、自由工房

2009年3月、クロネコメール便(後に DM 便)をスタート。1日の配達冊数は約20冊。他には、喫茶コーナーの運営、パソコン作業、バザー品の販売など。

障害者のクロネコ DM 便配達事業

参入施設数
315施設
従事者数
1573人。2019年8月現在
お問い合わせ
公益財団法人ヤマト福祉財団、DM 便担当
電話
03-3248-0691
ファクス
03-3542-5165
ウェブサイト
https://www.yamato-fukushi.jp/

2015年4月1日より、クロネコメール便配達は、クロネコ DM 便配達へと変わりました。

メイトさんの石川潤さんと、佐々木康太さん。急な坂道の多いエリアを、週5日、徒歩で配達しています。冬は、積雪と凍結で歩きにくくなり、とりわけ、吹雪の日には、転倒などの注意が必要となります。

DM 便の仕分けをする、石川さんと、佐々木さん。

パウチした手書きの地図に、配達先を赤くマーク。

ヤマト運輸の CM のお気に入りのキャッチフレーズを、 T シャツに手書きしている佐々木さん。

手の汗で DM 便が汚れないようにと、手袋をしている佐々木さん。 DM 便を持つ、端末機操作、投函などを担当。石川さんは地図の担当。配達先と、配達ルートを確認します。

「おはようございます、 DM 便です」と、元気に挨拶する、佐々木さん。

住所等をしっかり確認して、投函する佐々木さん。

アンビシャス総合施設長の西村正樹さん。「 DM 便の配達業務は、確実にそれぞれの自信につながっている。仕事をとおして、さらに可能性を広げてほしい」。自由工房 職員の中山雄太さん。「配達して分かったのは、不在票を、立ちながら書くのはむずかしいこと。その場合は施設に帰り、不在票を書きこんでから、再度ポストに届けます。あらかじめ、不在が予想される家には、配達前に職員が書いたものを持って行くなど、工夫しています」。

前列左から、アンビシャス総合施設長、西村正樹さん。佐々木康太さん。石川潤さん。自由工房 職員、中山雄太さん。後列左から、ヤマト運輸札幌主管支店、サービスセンター、菊池光寿センター長。ヤマト運輸 札幌新発寒支店、加藤志麻支店長。ヤマト福祉財団北海道支部、安井直子事務長。

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