社会福祉法人、いわて共生会、あけぼの がクロネコメール便事業(後に DM 便)を開始したのは、2006年。メイトさんに適任と思える利用者さんがいたことから、事業をスタートさせました。しかし、そのメイトさんは配達の大変さにギブアップしてしまいます。
そこで、あとを担当したのが、八重樫あつしさん。メイトさんにふさわしい真面目さで、すでに12年以上続けています。また、八重樫さんの仕事ぶりを見て、やりたいと手を挙げた佐藤和貴さんは、8年以上のキャリア。そして、3ヶ月前、見習い期間を経て独り立ちした、千葉公雄さんが、ここに加わりました。八重樫さんをリーダーとする3人のメイトさんたちが、責任をもって担当エリアを配達しています。
ウソをつかず、真面目なこと。メイトさんの必要条件。
あけぼの 職員の佐藤宗徳さんは、メイトさんとしての条件は、ウソをつかないことだと話します。「誠実で真面目なら、たとえ間違えても、反省してしっかり修正すれば、その経験が自信になっていく」と。最初の1年は、職員が一緒に配達。少しずつメイトさんに任せる度合いを増やして、遠くで見守るようにしたそうです。「独り立ちの日、困った時は電話をするように、と言って送り出したものの、心配で電話ばかり気にしていました。でも、今ではすっかり安心して任せています」と語ります。道が凍結した日などは、安全第一で、時間がかかっても、確実な配達を心がけること、午後の配達が終わらない時は、あせらず翌日に回すこと、などをアドバイスするそうです。
リーダーになんでも相談。すぐに答えてくれるから安心。
朝、 DM 便が届くと、3人はまずエリア別に分類。次に、自分が担当する地域の DM 便を、住所別に棚の中へ入れていきます。その後、地図に配達先の小さなシールを貼り、配達ルートを決めます。
千葉さんはまだ不慣れなこともあり、配達ルート選びに迷った時は、八重樫さんに相談。佐藤さんもわからないことや不安に思ったことは八重樫さんにアドバイスを求めます。どんなことにもすぐに答えてくれるので、八重樫さんは2人にとって頼れる存在です。
最後に配達順に DM 便を並べ替えて、仕分けは終了。3人のメイトさんは、絶妙なチームワークで、毎日仕事を順調に進めています。
頻繁にタイヤがパンク。湿った雪の日は大変。
あけぼの のメイトさんは、およそ5キロメートル四方に及ぶ広いエリアを、四季をとおして自転車で配達しています。長い坂道があるので、変速スイッチがついた自転車でもかなりハード。畑や工業地帯では、強風が吹き抜けます。
最も大変なのは、12月の終わりから3月までの降雪期。とりわけ道が凍結すると、滑って転ばないように注意が必要です。また、湿った雪の降った日や春先の雪解け時には、泥混じりの雪が自転車の泥除けの内側に、はいって、タイヤが回らなくなることも。パンクもたびたび起きます。そんな時は電話で、職員の佐藤さんにエスオーエス。迎えに来てもらって、施設でパンクを修理してもらいます。タイヤの状態をそれぞれが気にかけていても、朝、配達前に空気が抜けていて慌てることがあるとか。職員の佐藤さんはすっかりパンク修理が得意になっているそうです。
手を抜かない熱心さに感動。長く続けてほしい。
ヤマト運輸岩手主管支店、北上支店、東公一支店長は、「どんな悪天候にもめげずに続けていて、とても頼もしい。この周辺は、市に企業が誘致されて団地が増え、転勤族が多いエリア。届け先がわかりにくいことも多いと思う。もっとヤマトのドライバーが持っている情報を、メイトさんと共有しなければと痛感した。これからも安全と正確性を第一に続けてほしい」と話します。
ヤマト運輸岩手主管支店、サービスセンター、長沼一彦、サービスセンター長は、メイトさんたちの仕事ぶりに感心します。「 DM 便を投函する直前に、ポストの前で端末機を操作するというルールをきちんと守っている。誤配もほぼなく、ていねいに仕事をしていることが分かる。地域を熟知していることもすばらしい。メイトさんは私たちの強い味方。これからも怪我なく、事故なく、長く続けてほしい」と語りました。
「いつもご苦労さん」と言われるのが嬉しいというメイトさんたち。町の人を見かけたら、自分のほうから挨拶をします。ひとつひとつの仕事を積み重ねて生まれた自信が、3人を輝かせています。そして今日も、「おはようございます」という元気な声とともに、一軒一軒ていねいに DM 便が届けられています。