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この街で、一緒に生きていく。公益財団法人、ヤマト福祉財団、障害者のクロネコ DM 便配達事業。

仕事で芽生えた自信が、みんなをたくましくしていく。

奈良県の北西部にある、北葛城郡広陵町。 JR 西日本の奈良駅から車で約30分のこの町で、特定非営利活動法人つくし野会 生活介護事業所、もりのみは、クロネコ DM 便配達事業に携わっています。緑豊かなのどかな町で、10名のメイトさんが交替で DM 便を配達しています。

つくし野会の上田和美理事長は、2009年の、もりのみの立ち上げ時から、 DM 便に取り組みたい、とヤマト運輸に申し出ていました。 DM 便の事業内容について知っていたうえだ理事長は、施設の利用者さんの仕事にふさわしいと考えていたのです。ただ、近隣エリアでは、すでに担当のメイトさんがいたので、叶いませんでした。しかし、6年後。そのメイトさんが引退するタイミングで、エリアを引き継ぐことに。そして、ついに2015年、事業をスタートさせたのです。近隣から始めた担当地区は、やがて農地などを含む地区を加えて、3地区に。5名のメイトさんを中心に、10名のメイトさんが協力して、かなり広いエリアを、徒歩や、さんりん自転車で配達しています。

朝の仕分けは一人。全エリア、責任を持って担当。

配達を受け持つメイトさんの梅本勝己さんは、職員に勧められて、仕分けも担当。始めてみると、几帳面な梅本さんにぴったりの仕事でした。

まず、3つの地区の DM 便を番地別に分け、ラミネート加工した地図に、配達先をマーク。梅本さんが配達を担当するエリアの DM 便は、番地順に並べながら、配達用のトートバッグへ入れます。梅本さんが担当しない地区の DM 便は、番地別に、仕切りのついた段ボール箱に分類。それを、職員がトートバッグに小分けして、配達するメイトさんに渡すという手順です。

最後に、地図にマークした配達先の件数をカウント。すべてを合計して、ヤマト運輸から届いた DM 便の総数と合うかどうかを確認します。この日の DM 便は全部で34冊。流れるような仕事ぶりで、あっというまに仕分け作業は終わりました。

地図にはポストの位置や、フルネームを記入。

ポストは玄関先にあるとは限りません。 DM 便配達を始めた当初は、住宅のポストの位置がわからず、見つけるのに時間のかかることが多かったとか。今ではポストの位置をすべて地図に書き込んでいるため、初めてのメイトさんでも迷わずに配達しています。

また、このエリアは同じ姓が多いのですが、苗字しか書かれていない表札がよくあるため、地図にフルネームを書き込んで、間違わないよう工夫しています。一目でわかるように、番地ごとの色分けも。地図は新しい情報を書き込んで、定期的に更新。メイトさんが配達先を見つけやすいように、職員たちは知恵を絞っています。

仕事をとおして、たくましくなっていく。

つくし野会の、上田和美理事長は話します。「最初は、ヤマト運輸の北葛城支店のメール便リーダーの山本智之さんに2日間、手取り足取り、つきっきりで教えていただきました。端末機でスキャンする音に戸惑ったり、入力しないで投函しようとしたり、ピンポンを押してしまったり、思いもかけないことだらけでした」。しかし、ひとつひとつ乗り越えながら約5年、 DM 便配達を続けてきました。今はひとりひとりが成長していることに気づくと言います。

「みんなが変わったのは、 DM 便配達で仕事の意識が芽生えたこと。たとえ上手くできなくても、仕事以外では得られないものがあります。やりたいと手をあげてくれますし、やりたい仕事をやっているという楽しさで、少しずつでも覚えていく。それに、なんでもへっちゃらだよ、と明るい。仕事をとおしてたくましくなっていると感じます」。

配達の品質が高い、任せて安心なパートナー。

ヤマト運輸奈良主管支店 北葛城支店 橋本光則支店長は、「この辺りは、たとえば10番台と100番台の番地が隣り合わせる古い住宅街。住所が分かりにくく、配達には難しいエリアです。そうした中でのしっかりした仕事ぶりは素晴らしい」と感心します。

ヤマト運輸奈良主管支店 サービスセンター 大西康司センター長は、「誤配は再発させないことが重要。そのために大切なのは情報の共有です。チェックノートを作るなどの仕事ぶりに感動しました。高い品質を保っている、頼れるパートナーだと実感。他の事業所にも、もりのみの事例を紹介したい」と話します。

配達していると、「おはよう」、「頑張ってるね」と町の人が声をかけてくれます。メイトさんをいつも見守ってくれていると感じる、温かさが漂う町。もりのみという名前の通り、まわりの人々に育まれながら、ひとりひとりが仕事を通して実を結んでいく。そんないちにちが今日も始まっています。

瓦屋根の古い家が続く美しい通りで、集合したメイトさんたち。ここから3つのチームに分かれて、毎朝の配達がスタートします。前列左から、最初は道に迷ったけどもう大丈夫と山中翔さん。いつも優しい笑顔の中の尾川椋平さん。ダンスが得意な長井祥子さん。三輪車でスイスイ配達する梅本勝己さん。後列左から、ドライブが大好きな山本修平さん。山本さんと仲良しで配達でペアを組む西逸樹さん。歩くのがとても早く、健脚の尾川椋平さん。

いつかヤマト運輸で仕分けの仕事に就くのが夢、という梅本勝己さん。配達数が多い時はさんりん自転車の後ろに DM 便を積んで、二輪自転車の職員とペアを組んで配達します。

ふだんの配達風景。メイトさんの中央、尾川椋平さんは、地図を覚えていて、配達ルートも自分で決められます。いつもは早足で配達する尾川さんですが、ゆっくり歩く右側のなかざき英里さんを気づかって、この日は 歩く速度を緩めていました。配達のサポートをするのは、左側の職員、松村純一さん。

楽しそうに配達する吉崎あつしさん。職員と一緒にしっかり確認して、投函します。

顔なじみの住民に、 DM 便を元気に届ける、山中翔さん。庭で採れた野菜をいただくこともあるとか。「配達し終わった時は、やった、と達成感があります」。

責任感も意欲も出てきていることが嬉しいと、右側、つくし野会、上田和美理事長と、もりのみ、職員、山田麻稀さん。悪天候の日、職員だけで配達したら、「僕たちもやるのに、できるのに」と、みんなが心配して待っていたことがあったそうです。

前列左から、もりのみ、職員、松村純一さん。山本修平さん。職員、増井伸哉さん。吉崎あつしさん。梅本勝己さん。西逸樹さん。山中翔さん。尾川椋平さん。職員、山田麻稀さん。後列左から、ヤマト運輸奈良主管支店、北葛城支店、山本智之さん。ヤマト運輸奈良主管支店サービスセンター、大西康司センター長。ヤマト運輸奈良主管支店、北葛城支店、橋本光則支店長(3月16日付け、法蓮支店、支店長)。長井祥子さん。なかざき英里さん、つくし野会、上田和美理事長。後藤夏代さん。職員、南浦知代さん。

奈良主管支店、広陵センター。

特定非営利活動法人、つくし野会、生活介護事業所、もりのみ。

2015年2月、クロネコ DM 便をスタート。1日の配達冊数は平均約50冊。他には、さをり織りの製作と販売、古紙回収など。

障害者のクロネコ DM 便配達事業。

参入施設数。
311施設。
従事者数。
1,545人。2020年2月現在。

お問い合わせは、公益財団法人ヤマト福祉財団、 DM 便担当。

電話。
03-3248-0691.
ファクス。
03-3542-5165.
ウェブ。
https://www.yamato-fukushi.jp/.

2015年4月1日より、クロネコメール便配達はクロネコ DM 便配達へと変わりました。

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