明治工芸のディーエヌエーを受け継ぐ、現代作家が集結。
金属、木、陶磁、ガラスなど、さまざまな素材を使って工芸作品を手がける現代作家、17人の、超絶技巧作品を紹介する展覧会です。
例えば、大竹りょうほう氏が1年を費やし完成させた「月光」は、木彫の花器に水を注げば花が咲く、驚きの作品。「Visible 01, 境界」は、本郷しんや氏の、鉄を叩いて変形させる特殊な鉄鍛金技法で、羽根を1枚ずつ重ねつけたカラスの金工。シーティースキャンをすると、カラスの骨格や体内まで緻密に制作されているのが見えてきます。プロボクサーからサラリーマン、東京藝術大学絵画科を卒業したという異色の経歴を持つ、前原ふゆき氏の「一刻、スルメに茶碗」は、1本の木から彫り出された木彫作品です。
明治工芸の超絶技巧を受け継ぐ現代作家の、鍛錬された日々の実践から生まれる驚くべき技が本展に集結しています。
明治工芸の逸品も、併せて展覧。
時代が大きく動いた江戸時代末期から明治時代。印籠や刀装具など、制作していた幕府や諸大名のお抱え職人たちが、これまで培ってきた高度な技術と感性を、工芸品へと制作の場を移していきました。明治工芸は、その時代に作られた精巧な工芸作品を指し、陶磁、漆工、金工、七宝、木彫など、ジャンルは多岐にわたります。明治政府の政策により、作品の多くが海外に輸出され、ジャポニズムと呼ばれる、一大ブームを巻き起こしたのです。
本展では、明治工芸を積極的に里帰りさせ、国内屈指のコレクションを築いている、京都、清水三年坂美術館の館長、村田まさゆき氏によるコレクションも多数展示されます。ヤマト運輸株式会社は本展作品の輸送、展示に協力しています。