ヤマト福祉財団 小倉昌男賞の贈呈

第10回 受賞された方々


ヤマト福祉財団 小倉昌男賞

大場 俊孝さん 特定非営利活動法人 栗原市障害者就労支援センター「NPOステップアップ」理事長
株式会社 大場製作所 代表取締役
大場 俊孝さん

【略歴】
1949年  宮城県栗原市築館生まれ
1975年  県職員(岩手県立南光病院勤務)
1990年  先代社長(父親)死去につき会社の後継者となる。
 同時に会社を法人化する。(株式会社大場製作所 代表取締役就任)
1996年〜 宮城県精神保健職親会 会長
2002年  厚生労働省 精神障害者職業自立啓発事業 企画委員
2005年〜 NPO法人 全国精神障害者就労支援事業所連合会 理事長
2006年〜 宮城労働局より「障害者就労アドバイザー」に委嘱
2006年  厚生労働大臣表彰(精神保健福祉事業功労)
2007年〜 厚生労働省の精神障害者職業自立啓発事業の企画委員
2007年〜 NPO法人 栗原市障害者就労支援センター 理事長
2008年  厚生労働省 精神障害者自立支援研究プロジェクト委員
2008年  厚生労働省「働く精神障害者からのメッセージ発信事業」企画委員

【推薦者】 佐藤 勇さん(栗原市長)

【推薦理由】
特定非営利活動法人栗原市障害者就労支援センター(略称「NPOステップアップ」)理事長の大場俊孝氏は、宮城県栗原市の株式会社大場製作所の二代目社長である。
同社は創業25年になるトラクターや自動車用ハーネスの一貫生産及び携帯電話加工業に携わる会社で、創業者である父親の代から精神障害者の社会適応訓練事業を通じて、障害者、特に働くことが難しいとされる精神障害者を訓練から育て、最近では10名余りの障害者を社員として雇用し、精神障害者雇用の分野で全国的に先鞭をつけて来た。
大場社長は従来から、“精神障害者は働けない”と決め付けることには反対で、障害や病気を抱えていても、本人が“働きたい”という気持ちがあり、周囲の適切な支援があれば働ける人はもっと多いと考え、さまざまな機会を通じて地元だけでなく、全国各地の障害者の就労や雇用促進の研修会で“働くことを諦めるな”と粘り強くアピールしてきた。

大場氏の精神障害者の職場受け入れについては以下のような信念に基づいている。

  1. 病気を隠さず、通院・服薬をきちんとすることと、困ったらなんでも相談する。
  2. 社会適応訓練など短時間の訓練からフルタイム雇用へのステップアップを目指す。
  3. 慣れると潜在能力を発揮する人が多く、仕事面・雇用面での差別をしない。
  4. 当初働けなかった人を指導し、その可能性を伸ばすための社員の関わりや喜びが、即ち会社全体としての「社員教育」である。
また、こうした実践を基に大場氏は、自社だけでなく広く精神障害者の雇用を進めるには、保健・医療・就労支援機関やハローワーク等との顔の見える連携が不可欠なものであるとして、平成16年「栗原市障害者就労支援ネットワーク会議」(事務局は市の市民生活部健康推進課で隔月開催)をスタートさせ、関係者の意識を高めるとともに、全国レベルの当事者を含めた精神障害者のシンポジウムを毎年栗原市で開催、関係者の就労への意欲を盛り上げるのに貢献して来た。
さらに続いて地元の企業主たちに働きかけ、23社の企業主が理事になった全国でも例を見ない障害者の就労支援のためのNPO法人を立ち上げ、平成20年4月、栗原市障害者就労支援センター「NPOステップアップ」の活動を開始した。
栗原市は、5年前に宮城県北部の10町村が合併した新しい市であり、人口78,400人余り、宮城県内一広い面積の市で高齢化と過疎化が著しく、昨年の岩手・宮城内陸地震では大きな被害を受けた地域であり、大企業はない。
この新しく始まった栗原市の就労移行支援事業所の利用者は47人(就労移行28人、就労継続B型14人、地域活動支援センター5人、平成21年8月末現在)を数えている。
NPOステップアップが出来たおかげで、障害を持つ人達にも働く喜びを持つ可能性が新たに生まれた。訓練後、このNPO法人の理事が経営する企業に雇用された例も、既に1年で3例になるが、現在、職場実習中の者が多いので今後も期待できる。
障害者の訓練や雇用を通じて、地域住民の障害者理解は一層探まると同時に、NPO法人に参加する企業・行政・福祉関係者等の連繋がより密接になり、障害者雇用をきっかけとした地域おこしにも広がると期待されている。
働くチャンスに恵まれにくい精神障害者の就労の壁を、従来の福祉の観点とは違った“仕事を供給する事業主グループの力を結集し、障害者の就労を進めるというユニークさ”はヤマト福祉財団小倉昌男賞の候補者としてふさわしく、大場俊孝氏を推薦します。



ヤマト福祉財団 小倉昌男賞

中崎 ひとみさん 社会福祉法人共生シンフォニー 常務理事
就労継続支援A型事業所「がんばカンパニー」所長
中崎 ひとみさん

【略歴】
1964年 滋賀県甲賀郡信楽町生まれ
 池田太郎氏(※)の実践の中、知的障害者が普通に働き暮らす町で
 生まれ育つ。息子は重度の知的障害者。
1982年 大手ゼネコン勤務
1990年 栗東市の社会福祉協議会でヘルパー勤務
1991年 障害者団体臨時職員
1992年 小規模作業所「今日も一日がんばった本舗」に就職
1995年 小規模作業所「今日も一日がんばった本舗」事業代表
2000年 小規模作業所「がんばカンパニー」設立 代表
2002年 小規模作業所「ふぉれすとデイズ」設立 代表
2003年 社会福祉法人「共生シンフォニー」設立 常務理事
2004年 小規模通所授産施設「がんばカンパニー」施設長 就任
2006年 社会的事業所「あんふぁんカフェ」所長 就任
2008年 就労継続支援A型事業所「がんばカンパニー」所長

(※)池田 太郎(いけだ たろう)
1908年 福岡県生まれ。
1952年 信楽寮(現信楽学園)、1962年 信楽青年寮を開設し、現在のグループホームにあたる民間下宿を全国で初めて発足させるなど、知的障害児・者の療育に力をそそぐ。
1987年 逝去、信楽町名誉町民となる。


【推薦者】 高橋 信二さん(社団法人 滋賀県社会就労事業振興センター センター長)

【推薦理由】
小規模作業所時代から、利用者との間で「雇用契約」を結び、労働者性を重視し支援者と垣根なく「共働」と「共生」をめざす実践を積み重ねられてこられた実績は顕著であり、滋賀県並びに全国への影響は大である。
その精神は法人化後も確実に受け継がれ、現在、がんばカンパニーでは、知的障害者を中心に29名の障害者従業員と17名の健常者支援員が焼き菓子事業で年間1億3千5百万円を売り上げている。
また、(社福)共生シンフォニーでは、多機能型事業所、滋賀県の社会的事業所制度を活用したカフェレストラン事業、加えて老人デイサービス事業を展開しており、まさしく、地域のニーズに応えるべく共生社会の実現に対する実践そのものであると言える。
これらの実践の牽引車として中崎氏の業績は誠に顕著であり、第10回ヤマト福祉財団小倉昌男賞に推薦するものである。

【推薦者】 柳田 勉さん(社会福祉法人 滋賀県大津市社会福祉協議会 会長)

【推薦理由】
社会福祉法人 共生シンフォニーは、1986年に「今日も一日がんばった本舗」として発足し、以後、法人格を取得し、事業の拡大をはかってきた。

  1. がんばカンパニーは、就労継続支援事業A型施設として、クッキー作りと、販売を担っている。
  2. まちかどプロジェクトは、多機能型事業所(生活介護・就労継続B型)として、障害者の個性を生かした演劇・舞台づくりや、講演会活動などに取り組んでいる。
  3. あんふぁんカフェは、社会的事業所(滋賀県単独事業)として、食育を中心としたメニューで子どもたちや大人向けのカフェを営業している。
  4. ぬくとばは、老人デイサービスセンター(介護保険事業)として、高齢者の介護事業を提供している。
社会福祉法人 共生シンフォニーは、4つの施設を持ち、合計で38名の障がい者を雇用し、26人が利用者としてまちかどプロジェクトで活動している。健常者もスタッフとして44名が、障がい者とともに働いている。また、障害者ではなく、母子家庭や高齢者、ニートなどの就労困難な人達スタッフとして雇用している。これらの施設は、地域の活動にも積極的に参加しており地元の社会福祉協議会の役員からの応援も得ており、地域に根ざした施設として発展をしている。

中崎ひとみさんは、1992年から「今日も一日がんばった本舗」の職員として働き始めて、現在は社会福祉法人 共生シンフォニーの常務理事として、また、「がんばカンパニー」の所長として、日夜奮闘している。

「がんばカンパニー」の売上は、クッキーやケーキなどを含めて昨年度一億八千万円。同種の施設としては、全国的に見ても異例の売上金だといわれている。
ここで働く障がい者の月給は、約6万円から20万円。時給以外に、職務、住宅、扶養など各種手当もあり、平均月給が約11万9千円である。滋賀県の障害者の働く授産施設・共同作業所の平均的な給料が1万6千円であり、「がんばカンパニー」は、平均を大きく上回っている。
「がんばカンパニー」の成功の様子は、新聞でも取り上げられており、中崎ひとみさんから、売上の秘密を探ろうと全国から年に500人以上の方が見学に訪れている。
中崎ひとみさんは、継続的に安全安心に食べられる商品開発を続けており、商品価値を高めて障がい者雇用を広げてこられた。障がい者が、社会の一員として認められるようになることを目指して、中崎さんの取り組みは今後も続く。
こうした中崎所長の障がい者雇用の熱い取り組みに、本会としても、年末のクッキー販売や日常の訪問販売などで応援させていただいているところです。
今回のヤマト福祉財団の小倉昌男賞の推薦として、よろしくお願いいたします。