ヤマト福祉財団賞

伊藤 静美さん

  • 社会福祉法人「一麦会・麦の郷」常任理事

推薦者:南方 悦男氏
(社会福祉法人きのかわ福祉会理事長)

【推薦理由】
伊藤氏は、知的障がい者施設の建設に携わりながら、1986年、対象外である精神障がい者の家族会を結成すると共に共同作業所設立の先頭に立つ。当時、和歌山県の精神障がい者福祉は行政的にも当事者運動としても大きく遅れており、氏は権利侵害を受けて苦しんでいる精神障がい者やその家族の支援に積極的に取り組む。 障がい者の自立を目ざす「障がい者自立工場」設立への参加、社会復帰施設「麦の芽ホーム・むぎ共同作業所」の建設を推進、これがその後の県内20ヵ所を超える作業所、地域家族会結成などの当事者活動の発展につながる

さらに社会福祉法人麦の郷を中心に、労働支援、生活支援、地域支援の仕組みづくりを進めると共にあらゆる障害種別を超えた総合リハビリテーション施設構築の牽引車となった。
現在、「麦の郷」常任理事として若手の育成、指導に当たっている。

ヤマト福祉財団賞

金子 鮎子さん

  • 株式会社ストローク 代表取締役

推薦者:舘 暁夫氏
(職業能力開発総合大学校助教授)

【推薦理由】
金子氏は、NHK在職中、精神障がい者のための「日曜サロン」に参画、分裂症など心の病を持つ人々と出会い、「この人たちは就職も難しい、友人もなく殻に閉じこもりがち。仕事があれば働くことができるのに」と思ったのが定年退職を機に精神障がい者の支援活動に取組む動機となる。
退職した年の翌89年、自ら清掃業務を体験、「これなら出来る」と確信するや私財を投じて清掃会社「株式会社ストローク」を設立、多数の精神障がい者に就労の場を提供する。清掃業を選んだのは(1)多額の設備投資を要さない(2)特殊な技能技術を要さず、障害があっても互いに助け合いながら仕事ができる(3)会社設立時に業務需要があった、などの理由による。また福祉施設ではなく民間企業としての手段を選んだのは、働く障がい者により高い賃金を保証し、精神障がい者でも努力次第で十分働けることを一般に示したかったから。けだしこれらは氏の深い人間愛と持ち前のチャレンジ精神にもとづく。