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ヤマト福祉財団ニュース No. 56.

CONTENTS.

表紙写真.

就労支援事業所ハーベストで、富山ブランド、アルギットにらのそぐり作業を利用者さんと一緒におこなう、ヤマト運輸労働組合富山支部の早川支部執行委員長。

日本障害フォーラムが推進するイエローリボン運動に賛同しています。

リレーコラム、夢をつないで、第7回.

一般社団法人ディーセントワールド、代表理事、天野 貴彦.

私たちの使命。

障害者自立支援法、現,総合支援法が施行された年から、就労継続支援 A 型事業にとりくみ、10年余が経ちました。パンの製造、販売を仕事に1ヵ所10名でスタートした事業は、現在は2ヵ所で40名の障害のある人たちが働く場になっています。この間、ひとりも減額特例制度を適用することなく、最低賃金を保障してきたことも私たちの誇りのひとつです。当初の経営主体は社会福祉法人でしたが、経営の意思決定のスピードアップを図るため、4年前に、 A 型の経営に特化した現法人を設立しました。法人名は、チャップリンの映画、独裁者の有名な演説シーンの言葉からいただきました。

真にディーセントな社会とは、障害のある人も、障害のない人と同等に、企業等で普通に働くことができる社会です。しかし、現実的には企業等で雇用されている障害者は約50万人に過ぎず、その他の大勢は、労働者としての権利すら有していない状況にあります。 A 型は、理想の社会と、そこにはまだ遠い現実の社会とのギャップを埋める中間的、過渡的な働きの場であると考えています。私たちは、障害のある人が、まずはスタートラインとして、労働者の立場に立ち、自らの労働の対価として、生活に足る賃金を得て、夢を叶え、自分や家族の生活をより豊かにしていくこと。更に、希望があれば、私たちの事業所で得た経験をステップに、新たな道を切り拓いていただくことを願いつつ、事業にとりくんでいます。

今年4月から事業の見直しが実施され、 A 型を取り巻く環境は一層、厳しさを増しています。害虫駆除を目的に散布した農薬がいささか強すぎて、本来、作物に育つはずの苗までも枯らしてしまう状況にならないかと、危惧しています。事業者の資質が問われることは当然ですが、制度自体の矛盾や欠陥を改めていくことが何より重要です。逆境にめげることなく、 A 型の矜持を胸に、事業を継続、発展させていくことが私たちの使命であると思います。

Profile.

1960年、大阪府生まれ。1983年、大学卒業後、かたつむりの家を開設。1984年、かたつむりの家共同作業所、副施設長。1993年、あじさい共同作業所を開設。2000年、C スクエアあじさいを開設。2001年、社会福祉法人ウィズ町田設立。2004年、就労支援センターらいむ開設。2013年、一般社団法人ディーセントワールドを設立。代表理事。現在、スワンカフェ & ベーカリー町田店、町田2号店を営業中。2004年、第5回ヤマト福祉財団賞受賞。

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