導入部農業を仕事に、成長し、楽しむ利用者さんに、農福師の称号を。

1月31日から2月1日、滋賀県で開催された、自然栽培パーティー、第4回、全国フォーラムは、ひと味違った盛り上がりを見せました。「農業で楽しく働く利用者さんを農福師と呼ぼう。そして、自然栽培パーティー アワードで、多くの利用者さんをみんなで表彰し、讃えよう」。利用者さんを主役にする、新しい試みもおこなわれています。

主部美味しい、安心なだけではなく、環境保護でも、自然栽培に注目。

障害のあるかたが、無農薬、無肥料、無除草剤で、付加価値の高い農作物を育て、地域農業の新たな担い手に。この主旨に賛同する福祉施設などが集い、初日の琵琶湖ホテルは、定員を大きく上回る、380名の来場者で埋め尽くされました。

主催者である自然栽培パーティーの磯部竜太理事長は、「私も最初は半信半疑でしたが、やってみると、自然栽培はとても面白く、新しい発見の連続です。みなさんも挑戦してみてください」と挨拶しました。当財団のやまうち理事長からは、「先日おこなわれた車椅子バスケットの天皇杯、皇后杯の賞品に、みなさんが自然栽培で育てたお米を贈呈しました。選手たちは、自然の力でパワーアップできる、と喜んでいましたよ」と報告。来賓代表では、「持続可能な社会をみんなの力で」と、メッセージの、はいった、みかづき たいぞう 滋賀県知事のビデオレターが紹介されました。

続いて奇跡のリンゴの木村秋則氏と、愛弟子である、自然栽培パーティーの佐伯康人顧問の基調対談へ。

「自然栽培を実践する福祉施設は、北海道から沖縄まで、全国に広がっています。私は、そんなメンバーたちのもとを巡り、それぞれの地域に合った作物の育てかたを、一緒に考えています。そこで度々、耳にするのは、自然栽培の作物は、肥料を使った野菜に比べ、豊かに実るのに腐りにくく、害虫もつきにくい、との感想です。自然栽培には、本当に不思議なことがたくさん起こりますね」と佐伯顧問。

木村氏も、「いまでは、すっかり目にしなくなってしまったメダカや、タガメ、さらに、絶滅危惧種のトキまでもが、自然栽培をおこなう田畑に帰ってきました。これは、自分たちの生きる本来の環境が整ってきたからでしょう」と解説しました。

いまや、自然栽培の持つ力に、欧州の環境保護先進国も注目しています。

「田畑にばらまいた肥料は、ガス化すると、亜酸化チッ素というものになり、これは二酸化炭素よりも300倍強力な温室効果ガスなんです。世界中の農家が使う肥料は膨大であり、その肥料が、このガスを生み出すことを知ってください。しかし、現代の農業は、化学肥料や、農薬に頼り切っていますから、農業の再生 イコール、ルネッサンスを起こすことができるのは、自然栽培しかないと思っています」と木村氏は伝えました。

自然栽培は、作物だけでなく、働く利用者さんも豊かに育てる。

自然栽培で作物を育てる喜びは、働く利用者さんまでも豊かに変えてくれます。そんな成長を続ける利用者さんたちを、自然栽培パーティー アワードでは、ありがとう賞、よかったね賞の2部門から、計29名を表彰しました。

「どんな時も、誰よりも、作物のことを一番に考えて行動するあなたに、農業のありかたを教わりました」。「猛暑も雨の日も、真冬の寒さでも、1日も休まず働く、その後姿はプロそのものです」。「あなたの元気な挨拶を、地域のお年寄りも、毎日、楽しみにしています」。「むむっ、生きている。どこにいても良く、とおる、あなたの声が聞こえてくると、周りもつい笑顔になります」。「あなたがいれてくれる一杯のお茶が、疲れたみんなを心から癒してくれます」。「いつも職員が気づかないことにも、しっかりと目を配ってくれてありがとう」。

そんな各施設長の思いを込めた表彰状が、当日、出席した13名に手渡され、会場は暖かい拍手に包まれました。

最後のパネル ディスカッションには、滋賀県で革新的な農業に挑む、なかみち農園のなかみちただゆき園長、農業を事業の柱に、6次化も進め、給料増額に成果を上げた、社会福祉法人、一麦会のなかはらりきや所長も参加しました。

「いろいろな農法を試し、肥料は必要ないとわかってきました。自然栽培には、農業と、福祉施設の可能性を広げていく、大事なヒントがあります」と、中道氏。

中原氏は、「福祉施設が農業で成功するには、栽培技術だけでなく、人とのつながりや、商売の仕組みづくりも必要」と話します。

磯部理事長は、最初は、田畑を貸していただけるかたを見つけるだけでも大変だった、と振り返りながら、「いまでは、休耕地を斡旋してくれる人も現れ、地域の理解と、つながりは、より深まっています。地域のかたと力を合わせて、取り組んでいける関係をぜひ築いてください」と、来場者に呼びかけました。

翌日は、ピアザおうみで、四つの分科会を開催。福祉施設が農業で成功する方法を、多くの参加者とともに、さらに掘り下げていきました。

写真説明

「自然栽培パーティーの活動が、もっと広がっていくよう、今後も応援します」と、やまうち理事長。

「環境のこと、食べ物のこと、福祉のこと。自然栽培は常識を変えてくれます」と磯部理事長。

自然栽培を実践する現場の写真を会場に映し出し、木村氏と、佐伯顧問のトークセッション形式の基調対談に会場も大いに盛り上がりました。

パネルディスカッションでは、農福連携のこれからのありかたを、農業と福祉のエキスパート、それぞれの視点を交えながら話し合いました。

自然栽培パーティー アワードで受賞された利用者さんたち。

農業をとおし、成長を遂げたかたに、ありがとう賞を、働く楽しさにあふれる毎日を送るかたに、よかったね賞を、施設長から、ひとりひとりへのメッセージとともに。賞状の他に、木村氏の奇跡のリンゴも贈呈されました。

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